【2023年4月13日 リヨン(フランス)/ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)のキャサリン・ラッセル事務局長とインターポール(国際刑事警察機構)のユルゲン・ストック事務総長は、世界各国の政府が、インターネット上での子どもの性的搾取や虐待などの問題を防ぎ、対処することを支援するための協力協定に署名しました。
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新協定の下、両組織は、子どもの性的搾取や性的虐待等の犯罪に対する、世界各国の法執行機関の対応を改善するために、協力して以下のような支援を行います。
- インターネット上の子どもの性的搾取や性的虐待を調査する専門部署やチームの設立を支援し、すでに存在する場合はその実効性を高める
- インターネット上の子どもの性的搾取・虐待に関する被害者と犯罪者の特定、デジタルフォレンジック(電子情報の科学的捜査)、子どもにやさしく被害者本位の聴取、インターポールの国際児童性的搾取(ICSE)データベースの利用などに関し、法執行機関の職員が最新の知識と技能を持てるよう、研修と体系的な専門家育成を推進する
- 法執行機関と社会サービスおよびその他の被害者支援サービス提供者との間のよりよい連携を促進し、被害者・サバイバーが、刑事司法プロセスを通して、またそれ以降も、連携のとれた多面的支援が受けられ、全人的な回復が支えられるようにする
「毎日、世界中の捜査官が、インターネット上の子どもの性的搾取・虐待の被害者と加害者を特定するために、骨の折れる重要な仕事を行っています。しかし、この問題への取り組みは、法執行機関の範囲を超えています。今回の協定は、子どもの安全を守るには私たち全員の力が必要であることを確認するものです。ユニセフは、世界中で子どもの保護に重要な役割を果たしています。より緊密な協力を通じて、ユニセフの知識とリソースが、現場での法執行活動を改善するのに役立つでしょう」と、ストック・インターポール事務総長は述べています。
ユニセフの最新データによると、12の低・中所得国で、インターネットを利用する子どもの最大20%が、前年にインターネット上での性的搾取・虐待を経験したと回答しています。また、各国のホットラインや情報センターのデータからは、近年、インターネット上での子どもの性的虐待コンテンツが拡散していることが示唆されています。
法執行機関の中に子どもの保護と被害者を専門に扱う部門を持つ国もありますが、多くの国では、特にデジタル要素を含む事案を効果的に捜査し、被害者の特定を行い、子どもを保護するために必要な専門スタッフやスキル、リソースが不足しています。この新しいパートナーシップは、このような能力の不足を補い、被害者とサバイバーが必要な支援を受け、加害者が裁きを受けるために、より大きな投資と協調的な行動を促進することを目的としています。
ラッセル・ユニセフ事務局長は「子どもの性的虐待と搾取は、世界的にまん延しています。この問題に取り組むには、部門を超え、国境を越えた協力が鍵となります。インターポールと協力することで、法執行の専門知識をユニセフの各国でのプログラムに取り入れ、すべての子どもを保護する手段を強化することができます」と述べています。
ユニセフとインターポールの協定は、インターネット上の搾取やその他の形態の暴力に脅かされている子どもたちの生活を守り改善するために、それぞれの世界的な活動範囲と強みを活用することを目的としています。インターポールの世界的な法執行ネットワークは195の加盟国・地域に及んでいます。一方ユニセフは、190以上の国と地域で活動しており、子どもに対する、デジタル環境でのものも含む、あらゆる形態の暴力を防止し対応するために、子どもの保護プログラムを通じて政府やパートナーを支援しています。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/