「インパクト指標」設定のコンサルティングサービスの提供を開始

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株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎勝教、以下「日本総研」)は、インパクト指標の設定メソッドである「サステナビリティインパクトレビュー」(Sustainability Impact Review、以下「SIR」)を活用した、ネットポジティブなインパクトを創出するためのコンサルティングサービスの提供を開始しました。
  SIRは、企業活動によるサステナビリティへの貢献を論理的に表現するインパクト指標の設定を容易に行うためのメソッドとして、サステナブルファイナンスに関する日本総研の調査・研究実績に基づいて開発されたものです。日本総研は、SIRの提供を通じて、企業による社会的インパクト創出への取り組みを支援していきます。

■背景
ESG(環境、社会、ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)への関心の広がりとともに、自社の本業とするビジネスでサステナビリティの実現に貢献しようとする意欲のある企業が増えています(注1)。一方で、自社の貢献の内容や度合いを実態以上に見せかける「ウォッシュ」であることが指摘され、それが故意か過失かにかかわらず、企業活動に深刻なダメージを与えるケースも少なくありません。
こうした問題は、自社がサステナビリティにおいて取り組むべき範囲や伝えられる範囲を把握していないことなどから引き起こされています。そのため近年では、サステナビリティを推進し、投資家をはじめとする外部とのコミュニケーションを行う前に、自社が取り組む内容を客観的に示す「インパクト指標」を予め設定しておく必要があると考えられるようになってきています。

■SIRの概要
SIRは、ネットポジティブなインパクト(注2)のある企業活動の推進と、企業と外部ステークホルダーとの円滑なコミュニケーションに役立つインパクト指標を設定するためのメソッドです。企業活動によってどのようにサステナビリティに貢献するのかについて、構造化・シナリオ化して論理的に表現するインパクト指標を容易に設定できるように、グリーンボンドなどサステナブルファイナンスに関する日本総研の調査・研究実績(注3)に基づいて開発されました。
SIRでは、企業が製品やサービスを通じて環境・社会に与える影響の内容・程度や時期、対象となるステークホルダーについて、インパクト測定のほか、マネジメントの視点やロジックモデルを用いて分析し、レビューを行います。その上で、ネガティブな影響についての軽減策も含めながら、インパクト指標としてまとめます。
こうして設定されたインパクト指標を活用することで、企業は、実際に環境・社会に及ぼす影響とネットポジティブなインパクトを創出する意欲について、客観的な形で外部に示すことが可能となります。

■SIRの提供先について
SIRの第1号の提供先は、株式会社クラスです。同社は、「“暮らす”を自由に、軽やかに」をビジョンに掲げ、個人・法人向けに家具と家電がレンタルできるサブスクリプションサービス「CLAS(クラス)」として、耐久財のPaaS(Product as a Service)プラットフォーム事業を展開しています。顧客は耐久財を所有せずに利用し、利用後は同社に返却・交換し、同社は回収した耐久財を整備して新たに顧客に提供することで、顧客の空間価値の最大化とサーキュラーエコノミーの実現を目指しています。同社はSIRを活用して環境省の実証事業(注4)に取り組んだほか、サステナブルファイナンスの実践にもつなげています。同社に提供したSIRは、以下からご覧になれます。
サステナブルファイナンスの普及に向けた取り組み(日本総研ホームページ)
https://www.jri.co.jp/service/special/content22/corner136/
※「主な支援実績」の項参照

(注1)例えば、帝国データバンク「SDGsに関する企業の意識調査(2022年)」ではSDGsに積極的な企業が前年比+12.5ポイントの52.2%と半数を超えた。

(注2)ネットポジティブなインパクト
創出されるインパクトについて、環境や社会に対する良い影響(ポジティブ)だけでなく悪い影響(ネガティブ)も考慮し、全体として見たときに良い影響が得られること

(注3)日本総研によるサステナビリティへの取り組みと見解については、以下にまとめられている。
「ESG調査の変遷からサステナビリティ実現に向けた企業評価のあり方を問う」(2023年3月27日)
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=104663

(注4)令和4年度「デジタル技術を活用した脱炭素型資源循環ビジネスの効果実証事業(デジタル技術活用効果実証)」

 

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