また、このコオロギ粉末配合の飼料で生産した養鶏卵が東京銀座のミシュラン三つ星獲得のフレンチレストラン、
「ロオジエ(L’OSIER)」(以下、L’OSIER)のメニューの一品に使用されています。
- サステナブルな卵 L’OSIERのメニューの一品に
L’OEUF DE SAGA ET L’ASPERGE BLANCHE DE LA LOIRE
VOILE « ÉPINARD/SHISO », FONDUE D’OIGNONS CARAMÉLISÉS AU VIEUX XÉRÈS, JAMBON DE KINTOA
SAUCE VIOLINE
ほうれん草と紫蘇のブルーテを纏った佐賀県産半熟卵 ロワール産ホワイトアスパラガス
キャラメリゼした玉葱のフォンデュ ジャンボン・キントア
ソースヴィオリーヌ
- 本プロジェクトの背景
エコロギーは新タンパク質素材として昆虫コオロギの事業開発を進める早稲田大学発ベンチャー企業です。
現在の養鶏市場では飼料の多くを海外からの輸入に依存している為、円安などの世界情勢を背景に高騰が続いています。また、鳥インフルエンザの多発を背景に2023年2月、卵の卸売価格は1993年以降で最も高くなっており、消費者の生活に支障をきたしています。
そこで、エコロギーは持続可能性に配慮した鶏卵の生産を実現すべく、ミシュラン三つ星レストランL’OSIERと素ヱコ農園(株式会社sueco運営)と共同し、コオロギ粉末を活用した新たな養鶏飼料の開発を始めました。
- 本プロジェクトの経緯と実証実験について―鳥インフルエンザが流行する中でも死亡率0を実現
本プロジェクトはエコロギーのビジョンに共感をいただいたL’OSIERと共にコオロギ粉末を配合した新たな養鶏飼料とサステナブルな養鶏卵の開発を目指して、2022年3月に始まりました。
共同開発に賛同していただける養鶏農家を探す中で、2022年8月に佐賀県伊万里市の素ヱコ農園に出会いました。
素ヱコ農園では、国産の未利用資材を餌にするなど”循環型農業”を大切にしていたことから、本プロジェクトに共感いただき、3社による新飼料(コオロギ粉末と乳酸菌)を用いた共同開発がスタートしました。
コオロギ粉末:
エコロギーの開発するコオロギ粉末は、養鶏にとって良質なアミノ酸を豊富に含む自然由来の新タンパク質素材です。またタンパク質だけでなく、鉄分や亜鉛などミネラルを豊富に含有しており、少量添加の場合でも免疫力向上が期待できます。
また、エコロギーはコオロギの生産段階において、工場から発生するフードロスを餌として利用しています。そのため、本プロジェクトでコオロギを養鶏飼料の一部として利用することで、年間約873.6kg相当のフードロス活用を実現し、SDGs12「つくる責任、つかう責任」の貢献に繋がります。
乳酸菌Aquabiota(アクアビオータ):
イノベーションラボ(東京都中央区)が開発した乳酸菌のブレンド。
⼟壌に撒くことで独⾃の微⽣物の⽣態系が⽣まれ、化学肥料や農薬を使わなくとも、害⾍を寄せ付けない有機農業の仕組みを⽣み出すことができます。
本プロジェクトでは、鶏の飼料に混ぜて使用。コオロギ粉末に不溶性⾷物繊維や抗酸化成分が含有されていることから、乳酸菌との相性がよく、飼料に混ぜることにより鶏の腸内環境改善、免疫活性効果が期待されています。
給餌による共同開発/実証実験は2022年11月より開始しています。2023年3月時点で鳥インフルエンザが流行し、多くの鶏が殺処分の対象となっていますが、新飼料を給餌している素ヱコ農園の鶏は死亡率0を記録しており、新飼料による効果が見受けられます。
今後もエコロギーは自然由来の新タンパク質源であるコオロギを活用したサステナブルな飼料の開発を目指して、研究開発を重ね、持続可能な食文化の構築とSDGsの貢献に向けて邁進してまいります。
<オリヴィエ・シェニョンL’OSIERエグゼクティブシェフからのメッセージ>
私が推進している「マイクロバイオーム農法」とのエコロギーさんのサステナブルな取り組みに多くの共通点を感じ、この卵プロジェクトを開始しました。
素ヱコ農園さんの協力を得て、サステナブルな卵を共に⽣み出すことができ、実際にロオジエのメニューの⾷材として使い始めることができて良かったです。
自然環境にも優しい素ヱコ農園さんの卵を今後も使い続けたいと思っています。
<株式会社sueco 松本様からのメッセージ>
今回、エコロギーさんからお話をいただいて、プロジェクトに参画させていただきました。素ヱコ農園の松本です。同じ思いを持ったエコロギーさんや歴史あるロオジエさんと一緒にプロジェクトを進められたことがすごく光栄でした。私たちに出会うまでにたくさんの養鶏場さんに断られたと聞いています。そんな中で私たちの養鶏場が一緒にできてよかったです。循環をテーマにし、自分達で餌作りを行っている私たちだったからこそ、柔軟に対応できたのかなと思います。
これからも自分達の思いをブラさずにいろんな方々と協力して、みんなでより良い世の中をつくって行けたらいいなと思っています。
- 本取り組みを進めるパートナー企業について
<L’OSIER>
シェフ自らが全国各地の生産地を巡り、環境問題に向き合いながら、生産方法に着目した食材選びを行っています。オリヴィエ・シェニョンシェフは「マイクロバイオーム農法」と呼ばれる生産方法を推進しています。同農法で作られた食材はビタミン・ミネラル等の栄養価を豊富に含み、この農法で作られた食材を最大限に使って調理することにより、「健康と長寿」を可能にする「マイクロバイオーム・ ガストロノミー」が生まれます。
店名:L’OSIER
URL:https://losier.shiseido.co.jp/
所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座7-5-5
設立:1973年
Executive chef(エグゼクティブシェフ):オリヴィエ・シェニョン / Olivier CHAIGNON
<素ヱコ農園>
素ヱコ農園(すえこのうえん)は、「優しいこと」をテーマに農園を運営してます。鶏は平飼いで本来の動きができる環境を作り、ニワトリのストレスを最小限にしています。また、地元の農家さん漁師さんと協力し、地域で取れる資源を餌として活用し、鳥の糞でまた米を作る、という優しい循環を目指しています。
会社名:株式会社sueco
URL:https://suecofarms.com/
所在地:佐賀県伊万里市黒川町福田1405-1
設立 2022年2月2日
代表取締役 松本啓
- 株式会社エコロギーについて
株式会社エコロギー(ecologgie inc.)は、早稲田大学での昆虫コオロギの研究成果により創業した早稲田大学発ベンチャー企業です。“地球と生命が、食を通じて健やかになる持続可能な生態系を創る”というビジョンの実現のために、未利用資源である昆虫の用途開発を行います。現在はカンボジアで新タンパク質素材であるコオロギを量産し、それを食品や飼料としてグローバルに販売しています。
会社名:株式会社エコロギー(ecologgie inc.)
URL:https://ecologgie.com/
本社所在地:東京都新宿区西早稲田 1-22-3 早稲田大学インキュベーションセンター12室
設立:2017年12月1日
代表取締役:葦苅 晟矢
事業内容:昆虫コオロギの養殖生産および昆虫コオロギを活用した食品、飼料の開発・製造