精神障がい者の雇用拡大とキャリアアップを支援する新会社「SUPERYARD」を博報堂と設立、事業開始

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 三井不動産株式会社(代表取締役社長:植田俊、以下「三井不動産」)は、株式会社博報堂(代表取締役社長:水島正幸、以下「博報堂」)と連携し、企業での精神障がい者の雇用拡大と雇用後におけるキャリアアップの支援をおこなうSUPERYARD株式会社(代表取締役社長:大益佑介、以下「SUPERYARD」)を2023年2月に設立し、4月より業務を開始したことをお知らせいたします。

 SUPERYARDは、精神障がい者への合理的配慮のある環境整備として、三井不動産の働き方・オフィス活用の知見を生かし感覚過敏などにも対応しながら業務に従事できるシェアオフィスを用意します。そして産業医や専門家と一緒に開発した、障がい者への業務の切り出し手法で業務を特定。また、博報堂が広告業務で培ってきた“良い部分を見極めて周囲に知ってもらう”ノウハウで、ひとりひとりの特性の異なる障がい者に合った業務を依頼し、雇用する企業の不安を解消するサービスを提供します。

■障がい者雇用に関する事業環境について
 ESG投資が拡大する中、その判断要素の一つである人的資本への注目度が近年高まっており、企業は、自社の価値向上や持続的な成長の源泉である人材の課題に積極的に取り組むことが求められています。

 日本の民間企業で雇用される障がい者の数が伸び悩み、法定雇用率未達成の企業も多い中、厚生労働省は2026年には法定雇用率を2.7%まで段階的に引き上げることを決めています。しかし、精神障がい者の就労機会はまだ十分ではありません。なぜなら、企業は適切な業務設定や業務依頼、環境整備の経験不足により活躍できる状況を十分に提供できていないからです。雇用実績の成功事例がまだ少ないこともあり、いろいろな側面での改善が求められています。

■サービス内容について
 従来の障がい者雇用と以下の5つの点を兼ねそろえている点で新しい手法となっています。

①人材募集は就労移行支援事業所など働きたい障がい者が準備を進める福祉組織と連携する。
②採用は障がいの特性と業務の適性の確認のために実習を通じて、マッチングする。
③担当業務は一人ひとりの障がいの特性にあった内容を独自のスキームで企業の本業から切り出す。
④業務環境は一人ひとりの障がいの特性に対応したオフィスを用意する。
⑤雇用後も常駐スタッフが産業医や就労移行支援事業所と連携しながら障がい者をサポート

 採用する際には、どのような業務を設定するべきか専門家と共にコンサルティングをおこない、適切な人材紹介を行っていきます※。雇用後は精神障がい者が働きやすい設備・常駐スタッフを整えたシェアオフィスで安心して業務に従事できるように支援していきます。企業が障がい者への合理的配慮を行いながら適切な業務依頼をすることが、障がい者の継続的な業務従事につながり、結果として雇用企業内での信頼関係を作り出し、障がい者自身の能力開発と業務拡大を通じたキャリアアップを目指すことを可能にしていきます。
※人材紹介については、有料職業紹介事業が許可されたのちに実施していきます。

<合理的配慮とは>
採用時においては、障がい者と障がい者でない人との均等な機会を確保するための措置をさします。
雇用後においては、障がい者と障がい者でない人の均等な待遇の確保または障がい者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための企業による措置をさします。
2024年4月の障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)の一部法改正施行により、民間事業者による合理的配慮の提供が努力義務から法的義務へと変わります。

<参考資料>
 現在、日本の障がい者937万人※1のうち、民間企業で雇用された障がい者は、わずか61.3万人※2です。手帳区分の精神障害でみると、10.9万人※2となっており、精神・発達障害の方がなかなか就労の機会を得られていない状況です。一方で企業に目を向けると、障害者の法定雇用率未達成の民間企業は51.3%※2にも上る状況です。さらに厚生労働省は今後2.7%※3まで拡大させることも分科会で議論されております。
(引用元)
※1 「令和4年版 障害者白書」より2018年のデータ
※2 令和4年 厚生労働省 障害者雇用状況の集計結果 
   https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29949.html
※3 令和5年1月18日 厚生労働省 労働政策審議会 (障害者雇用分科会) 資料より
   https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126985.html

■「SUPERYARD株式会社」の概要
社名:SUPERYARD株式会社
本社:東京都中央区日本橋室町3-2-1
代表取締役:大益 佑介
主要株主:三井不動産株式会社、株式会社博報堂
設立:2023年2月27日

■SUPERYARD株式会社 代表取締役 大益 佑介 のコメント

 この事業を着想した理由の1つに、企業の人的資本としての”障がい者が持つポテンシャル”があります。現在においても企業と福祉は大きく離れており、課題は山積されていますが、両者の橋渡し役がいれば、”障がい者雇用” の価値をより高めることが可能だと信じています。障がい者雇用において、安定して活躍できる”人材”に向けて、必要な環境や情報を整備した本サービスが企業と障がい者の役に立てるように推進してまいります。
 

■三井不動産グループの事業提案制度「MAG!C」について
 三井不動産グループの「イノベーションを起こすDNA」を再起動し、「不動産業そのもののイノベーション」を全社的に推進していくため、2018 年度に創設した制度です。提案者が事業責任者となり、自ら提案した事業を推進することを原則としております。「SUPERYARD」もまた、「MAG!C」発の事業となります。

■三井不動産グループのSDGsへの貢献について
https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわち ESG経営を推進しております。当社グループの ESG 経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。
また、2021年11月には「脱炭素社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」に関し、下記の通りグループ指針を策定しました。今後も、当社グループは街づくりを通じた社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。

【参考】
・「脱炭素社会実現に向けグループ行動計画を策定」
  https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1124/
・「ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言および取り組み方針を策定」
 https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1129_02/

*なお、本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における3つの目標に貢献しています。
目標8  働きがいも経済成長も
目標10 人や国の不平等をなくそう
目標17 パートナーシップで目標を達成しょう

  

 

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