今年も米国が首位の座を維持し、2位にはカナダが浮上、日本は昨年より順位をひとつ上げ3位でした。
今年で25年目を迎える当調査は、将来の海外直接投資(FDI)における投資家心理をまとめたもので、今回の結果は世界経済に対する投資家の慎重な楽観論を反映しています。実際、4分の3以上(82%)の回答者が、今後3年間でFDIの増加計画があると述べており、86%は今後3年間で企業の収益性と競争力にとってFDIがより重要であると述べています。しかし、この前向きな心理は、下振れリスクに対する懸念によって抑えられています。
当FDICI調査報告書の著者で、A.T. カーニーのマクロ経済部門シンクタンクであるグローバル・ビジネス・ポリシー・カウンシル(GBPC)のパートナー兼マネジング ディレクターであるエリック R. ピーターソン(Erik R. Peterson)のコメント:
「投資家は 海外直接投資の見通しについて概して楽観的ですが、今回の調査結果はある程度の慎重さを反映しています。今後3 年間の最大のリスク要因として、商品価格の上昇、地政学的緊張の高まり、新興市場における政治的不安定性の高まりを挙げています。」
米国は11年連続で首位。昨年3位のカナダは今年は2位に浮上、日本は昨年の4位から3位へと順位を上げました。昨年2位のドイツは順位を下げ今年は4位となりました。これは、東ヨーロッパの地政学的危機により経済とエネルギーの問題に直面した結果と考えられます。英国は5位を維持し、フランスがすぐ後に続きます。中国が10位から7位に急上昇したのは、おそらく2022年第4四半期に北京がゼロコロナ政策を撤回したことが原因と思われます。今回の調査でも、先進国市場に対する投資家の選好が示されており、指数の25カ国中19カ国を占めました。
今回の調査で、ビジネスリーダーたちが、グローバル化が海外直接投資の牽引力であり、今後もそうあり続けると考えていることも明らかになりました。回答者の約3分の2(66%)が、今後3年間でグローバル化が進むと予想しているのに対し、低下すると予想しているのはわずか23%でした。グローバル化の拡大を予想する人々は、主要な推進力として、拡大する貿易機会と制限された貿易障壁に加えて、コネクテッド(接続された)デジタル・インフラストラクチャの組み合わせを挙げています。しかし投資家は、グローバル化が変化していることも認識しています。
当FDICI調査報告書の共著者でGBPCのマネージャーであるテリー・トーランド(Terry Toland)のコメント:
「当社の調査結果は、投資家がグローバル化の利点を信じており、それが強化されることへの期待を示していますが、彼らはまた、今後3年間でさらに地域化が進み、各国政府が自給自足を高めるための戦略を追求するだろうと予想しています。このような結果は、グローバル化が続く一方で、その性質は変化している可能性があり、ビジネスリーダーたちはそれに応じて準備する必要があるという認識を示唆しています。」
*最新版および過去の調査報告書全文(英語)はこちらをご覧ください
https://www.kearney.com/foreign-direct-investment-confidence-index