漢方は、体の一部にスポットをあてるのではなく、体全体のバランスを総合的に見直すという特徴があるため、ストレスによる心身の不調や更年期症状など、検査数値では測ることのできない不調に対応することが可能です。漢方薬は幅広い症状にアプローチできますが、 “何となく難しそう”や“詳しくはわからない”といったイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?そこで今回、本調査の実施を通して、漢方の理解度や関心を図るとともに、基本の考え方や豆知識等を解説します。
- 漢方の服用経験:2人に1人が“漢方薬を飲んだことがある”と回答
当社が行った調査では、全体で半数以上が漢方薬を服用したことがあると回答しており、不調改善の選択肢に漢方が認識されている様子がうかがえます。そのうち、23.2%は1年以内に服用していることから、一定数の方の生活において漢方薬が浸透していることも分かります。一方で、45.5%の方は服用したことがないと回答しており、漢方薬の需要には、拡大の余地があることがうかがえます。
- 50代以上より、30代・40代が漢方への関心が高い結果に
続いて、漢方への興味・関心を尋ねたところ、全世代の44.4%の方が興味があると回答しました。世代別で見ると、40代(56.3%)が最も高く、次いで30代(47.5%)が上位となりました。一般的に漢方を使用している世代は、50代・60代以上をイメージする方が多いと思いますが、30代・40代の漢方への興味の高さがうかがえる結果となりました。
この傾向は特に30代・40代女性の方が高く表れています。近年、フェムテックなど女性特有の悩みや症状に対する商品やサービスが話題になり、更年期に伴う不調や生理痛など、女性特有の悩みに対する漢方の有用性への認知が高まっていることも要因の一つと考えられます。
※1 調査概要
○調査対象:全国の20代~70代の男女400名(有効回答数) ○調査期間:2023年2月27日 ~ 2023年3月2日
○調査方法:インターネットアンケート/クラシエ調べ(株式会社ドゥ・ハウスmyアンケートlight利用)
- 「医食同源」「西洋薬との違い」を知っていると答えた方は約4割
漢方薬に関して知っていることを尋ねたところ、「医食同源という考え方」(46.3%)が最も多い回答となりました。医食同源とは、「食べるものと、薬になるものの源は同じ」という意味で、もともとは中医学の「薬食同源」が語源とされています。自分の体調に合わせた食材を摂っていればカラダの調子を整えることができるという考え方で、薬膳料理の基本としても知られています。
次いで、「漢方薬と西洋薬(新薬)の違い」(42.1%)が上位になりました。漢方薬と西洋薬は、治し方に対する考え方が異なります。また、漢方薬は天然の生薬を使用し、一つの薬方(処方)は原則として2種類以上の生薬で構成されるのに対し、西洋薬の多くは一つの成分で構成されており、一つの疾患や一つの症状に強い薬理作用を示すことも特徴です。
一方、「本治と標治の違い」の認知率は19.0%に留まる結果となりました。本治とは治癒・根治を目的とした原因療法、標治とは一時的又は継続的な緩解を目的とする対症療法を指し、漢方では重要な考え方の一つです。漢方は、個人の体質などを考慮していることから、根本的な治療と主症状の緩解を同時に行うことが多いのが特徴です。
- 2人に1人は「自分の体質に合った漢方薬」を知りたいと回答
漢方薬について知りたい情報を尋ねたところ、「自分の体質に合った漢方薬」が上位となりました。次いで、「漢方薬の選び方」が続くことから、どの漢方薬を使用すれば良いかを知りたい方が多い結果となりました。漢方は同じ病名でも、人や症状により処方が異なるため、自分の体質に合った漢方薬を選ぶ事が大事です。
当社では60秒で体質チェックができる 「からだかがみ」を展開しています。8つの質問に答えて自分の体質を知ることが、症状の改善・体質改善につながります。また、4月3日には新サービスも提供開始致します。是非お試し下さい。
URL:https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/karadakagami/
- 【漢方基礎情報】 正しい飲み方を解説 ~湯・散・丸の違いとは?~
●漢方薬の服用方法
▶湯・散・丸について
漢方薬の処方名は、名前の最後が「~湯」「~散」「~丸」のような形になっており、作り方を表しています。「~湯」とは生薬を煎じた薬のこと、「~散」とは散剤で生薬を細かく刻んで粉末状にしたもの、「~丸」は丸薬で、散剤を蜂蜜などで固めて粒状にしたものです。現在普及している漢方薬は、服用のしやすさを追求し顆粒剤や錠剤タイプが主流となっています。
▶飲み合わせについて
相反する効果を持つ複数の漢方薬を同時に服用してしまうと、それぞれの漢方薬に含まれる生薬のバランスが乱れ、適切な効果を発揮することができない場合があります。また、漢方薬に限らず併用に注意が必要な薬もあるため、併用前に確認することが必要です。
▶飲むタイミングについて
一般的には、食前(食事の30分~1時間前)や食間(食事と食事の間のことで食後2時間位)など、胃に食べ物が入っていないときに飲みます。水や白湯を口に含んでから、水の上に漢方薬を落として一緒に飲むことで、スムーズに服用できます。体を温める作用のある処方はお湯で飲んだり、香りを嗅ぎながら飲むといいとされています。
- 【漢方基礎情報】 漢方“キホンのキ” ~気・血・水~
漢方では、人の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つで構成されていると考えられています。
この3つは、お互いに影響しあっています。3つのバランスが保たれていれば、健康を保つことができます。しかし、外からの病原菌や、ストレス、不摂生、心労などでバランスが乱れると、病気や心身の不調が生じやすくなります。
▶気=目には見えないが人の体を支えるすべての原動力のようなもの
無形のエネルギーであり、内臓を始めとする肉体機能や精神活動の源となるものです。不足すると、食欲不振、倦怠感、無気力、かぜをひきやすくなる、停滞すると、のどのつかえ感、情緒不安などの症状が現れます。
▶血=全身の組織や器官に栄養を与えるもの
血液を始めとする全身に栄養を与える赤い液体を指します。全身を循環し、各器官に栄養を与えることで機能を支えます。不足すると、貧血、肌荒れ、足のつり、停滞すると肩こり、月経痛、冷えのぼせなどの症状が現れます。
▶水=飲食物中の水分からできた、体をうるおすもの
人体を潤す無色の液体のことで、“血”を除いた体液成分を指します。水分代謝を表す用語としても用いられ、水が不足すると、乾燥、脱水、停滞すると、むくみ、排尿や発汗の異常、めまいなどの症状が現れます。
- 【漢方豆知識】 意外と身近な漢方 ~葛根湯も防風通聖散も実は漢方薬~
漢方薬を服用したことがない、漢方薬名を1つも知らない・・・という方も、漢方薬と知らずに服用しているケースがあるかもしれません。例えば、風邪薬として知られる「葛根湯」も、実は漢方薬の一つです。「葛根湯」には、植物の葛(クズ)の根である葛根に加え、麻黄、桂皮、芍薬、生姜、大棗、甘草など7種類の生薬が配合されています。また、お腹周りの脂肪燃焼に効果的で肥満改善薬としても有名な 「防風通聖散」も漢方薬です。
特にドラッグストア等で販売されている一般用の漢方薬には、製品名に漢方の名前が使用されていないことも多くあるため、服用している薬が”実は漢方薬だった”というケースも考えられます。
- クラシエ薬品について
クラシエ薬品は漢方のプロフェッショナルとして、半世紀以上にわたり日本に暮らす人々の健康で豊かな暮らしをサポートしてきました。漢方薬を中心に一般用医薬品から医療用医薬品まで自社一貫体制の下で幅広く提供しています。
近年、健康の価値や暮らしのあり方が大きく変化している社会の状況を受けて、クラシエ薬品は漢方事業における医療用分野と一般用分野の連携を強め、「クラシエの漢方」として事業一体で漢方薬を通じた健康価値の提供を高めていくことに挑戦していきます。
漢方を通じて、日本に暮らす人々が自らの健康を総合的に見つめ、理想とする健康的な暮らしをつくることをサポートしていきます。