- 調査の背景
金融庁は、早ければ2023年(令和5年)3月期の有価証券報告書から段階的に「人的資本開示」の適用を開始すると述べるなど、「人的資本経営」の推進に向けた動きは年々加速しています。これらの時代背景を踏まえ、経営者・人事関係者・キャリア支援者の意識調査を行うとともに、3月31日に開催するセミナー「人的資本経営2023マニフェスト~その戦略と実行プラン~」における論点の整理を行う。
- 事前アンケートの中間レポートを公開!~人的資本経営に関する意識調査の主な結果~
■「人的資本経営を実践していく上で課題になる」と回答が最も多かったのは「社員のキャリア自律意識の醸成」
「自社又はクライアントにて人的資本経営を実践していく上での課題について”最大3つ”次の中からチェックお願いします。※企業勤めでない方は、日本企業における推進上の課題で認識しているものを選択ください。」との問いに対し、回答の多かった上位3項目は「社員のキャリア自律意識の醸成」「人的資本の把握(社員のスキル・能力の把握とデータ化)」「経営戦略に基づいた人材戦略の実行」であった。そのうち、回答数200を超えているのはキャリア自律意識の醸成のみであり、何よりもまず社員のキャリア自律意識を醸成することが重要であるという意識の高まりを確認することができた。
■「人的資本経営推進にあたりもっとも重要な課題と認識するもの」で回答が最も多かったのも「社員のキャリア自律意識の醸成」
続いて「前問で上げた中で人的資本経営推進にあたりもっとも重要な課題と認識するものを1つ選択してください。」という問いに対して回答の多かった上位3項目は、「社員のキャリア自律意識の醸成」「経営戦略に基づいた人材戦略の実行」「経営/管理職の意識改革(人を活かすマネジメントへの変容)」であり、前問に対し人的資本経営推進には経営戦略や経営陣/管理職といったリーダーの意識改革が重要であるとの認識が確認できた。
■「複数選択した課題」と「最重要課題」の関係性について
「5.社員のキャリア自律意識の醸成」は、複数選択した課題、最重要課題共に選択される件数が多い傾向であった。また、「1.人的資本の把握(社員のスキル・能力の把握とデータ化)」、「2.人的資本投資(社員のリスキリング、アップデートへの最適投資)」は複数選択の一つには数えられるものの、最重要課題として選択する件数は低い傾向にあった。「4.経営戦略に基づいた人材戦略の実行」、「10.組織文化の変革」は、複数選択の一つに選んだ方の4割以上が最重要課題として挙げていた。
■重点課題を解決するうえで一番の障壁になっていること(共起キーワード分析)
重点課題をお聞きしたうえで一番の障壁になっているものは、キャリア意識を変えていくことという回答が多くみられました。
■今回の調査を通じて
複数選択できる課題、最重要課題の双方において回答数が多かったのは「社員のキャリア自律意識の醸成」であり、「人的資本経営」と「キャリア自律」が切っても切れない関係にあるとの認識がなされていることがわかりました。
また、「経営戦略に基づいた人材戦略の実行」と「経営/管理職の意識改革(人を活かすマネジメントへの変容)」を最重要課題として回答する声が上記に次いで多い結果となりました。この点について共起キーワード分析結果を確認したところ、「経営」や「管理」と結びつきが強い言葉として「理解」が頻出。人的資本経営という経営変革を果たすために「リーダーの理解」が重点課題として認識されていることがわかりました。
重要度の高い項目が明らかになった一方で、「人的資本の把握(社員のスキル・能力の把握とデータ化)」と「人的資本投資(社員のリスキリング、アップデートへの最適投資)」は、重要だと認識されているものの最重要課題には挙がらない(優先順位が低い)という結果となりました。共起キーワード分析において、「スキル」と結びつきが強い言葉に「難しい」が頻出していたことから、スキルを可視化する適切な手段の選定、可視化実施やその後のメンテナンス工数の確保など、実現に向けてまだまだ多くの困難が横たわっている様子が伺えます。
今後の「最終調査結果」も踏まえて、3月31日(金)16:00-18:00のイベント当日は、伊藤教授と田中教授による人的資本経営に関する課題に対する対談を「人的資本経営2023」としてリアルタイムで放映致します。「人的資本経営」そして「キャリア自律」は今後どのように推進されていくのか。最新知見をご紹介いたします。
- 調査の詳細
「人的資本経営2023マニフェスト ~その戦略と実行プラン~」事前アンケート
社会の急激な変化に伴い、人的資本経営をはじめとする人材戦略の重要性が高まっている。そこで、経営者・人事部門・キャリア支援者を中心としたイベント申込者へ「人的資本経営」に関する意識を調査する。
■調査期間:2023年1月31日(火)~2023年3月31日(金) ※中間集計は3月5日時点
■調査方法:イベント申込時のアンケートによるインターネット調査(任意)
■対象者 :イベント申込者 約500名
年代 20代・30代・40代・50代・60代・70代
性別 性別不問
属性 経営者・人事部門・キャリア支援者・その他
■回答者数:444名
- 法政大学キャリアデザイン学部教授 田中 研之輔氏のコメント
社員個人のキャリア形成と企業の成長は切っても切れない関係にあります。コロナ禍を機に、人材戦略の中で「人的資本の最大化」は最重要のテーマになりました。今回の意識調査では、人事関係者を中心に多くの方が同様の意見を持っていることが明らかになっています。
キャリア自律的な人材を育てながら、個人と組織の関係性をよりよいものにしていく。現代版プロティアン・キャリアが日本企業のキャリアブレーキを特定し、社員一人ひとりが生き生きと躍動する「人的資本経営」を推進する処方箋になると確信しています。イベント当日は、今回の調査を踏まえてこれからの人事戦略について語り尽くします。ぜひご視聴下さい。
- 【イベント詳細】
《日時》2023年3月31日(金)16時00分~18時00分 @Zoom
《申込》https://protean-humancapital.peatix.com
《登壇者》
一橋大学CFO教育研究センター長、人的資本経営コンソーシアム会長 伊藤 邦雄 氏
法政大学キャリアデザイン学部教授、プロティアン・キャリア協会代表理事 田中 研之輔 氏
キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム事務局長、パーソルキャリア執行役員 村澤 典知 氏
4designs株式会社代表取締役社長、プロティアン・キャリア協会代表理事 有山 徹 氏
《全体モデレーター》
一般社団法人プロティアン・キャリア協会/4designs株式会社CGO(最高事業成長責任者) 栗原 和也
《対象者》経営者/経営幹部/CHRO/人事関係者/キャリア支援者(コンサルタント/アドバイザー)/組織開発関係者 等
≪当日のタイムスケジュール≫※予定であり変更になる場合があります。
16時~16時15分:協会の3年振り返り/2023年の取り組み (代表理事:有山)
16時15分~17時15分:【第1部】伊藤教授×田中教授「人的資本経営2023マニュフェスト」
17時15分~17時45分:【第2部】伊藤教授×村澤氏×田中教授「キャリアオーナーシップへの取り組み~はたらく未来コンソーシアムから見えたもの~」
17時45分~18時:質疑応答、協会からのお知らせ、アンケート等
- 登壇者のご紹介
伊藤 邦雄氏
一橋大学CFO教育研究センター長。商学博士。
一橋大学商学部卒業。一橋大学教授、同大学院商学研究科長・商学部長、一橋大学副学長を歴任。一橋大学名誉教授。2014年に座長として「伊藤レポート」(経済産業省)をまとめ、国内外から大きな反響を呼んだ。経済産業省「持続的成長のための長期投資(ESG・無形資産投資)研究会」(「伊藤レポート2.0」)座長、同「SX研究会」(「伊藤レポート3.0」)座長、同「企業価値の向上と人的資本の研究会」(「人材版伊藤レポート」)座長、同「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」座長、経済産業省・東京証券取引所「DX銘柄」選定委委員長、経済産業省「GXフィナンス研究会」座長、内閣府「非財務情報可視化研究会」座長、「TCFD(気候変動財務情報開示タスクフォース)コンソーシアム」会長、「人的資本経営コンソーシアム」会長などを務め日本を代表する企業の社外取締役を務める。
村澤 典知氏
キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム事務局長/パーソルキャリア執行役員
一橋大学卒業。トヨタ自動車やA.T.カーニー等を経てパーソルキャリアに入社。パーソルキャリア執行役員として、CMOやCSO、子会社取締役などを経て、現在はキャリアオーナーシップに関するコンソーシアムや新規事業領域を管掌
田中 研之輔氏
法政大学 キャリアデザイン学部 教授 /一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事
UC. Berkeley元客員研究員 University of Melbourne元客員研究員 日本学術振興会特別研究員SPD 東京大学 /博士:社会学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。 専門はキャリア論、組織論。社外取締役・社外顧問を33社歴任。著書30冊。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。著書に『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』。最新刊に『キャリアの悩みを解決する13のシンプルな方法 キャリア・ワークアウト』 日経ビジネス 日経STYLE他メディア多数連載 プログラム開発・新規事業開発を得意とする。大手企業など8社が参画し4月20日に立ち上がった「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」の顧問・ファシリテーターも務める。
有山 徹氏
4designs株式会社代表取締役社長/一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事
早稲田大学卒業、大手メーカーに就職後、経営コンサルティング会社を経て一部上場のIT企業、デジタル広告企業、ベンチャー企業での管理本部長や経営企画にて中期経営計画策定等の戦略策定並びに大手外資系PEファンドのMBO/IPOプロジェクトグループERPプロジェクト、M&A案件等の数多くのプロジェクトを推進、早稲田大学大学院MBA。2019年7月4designs株式会社を設立。2020年3月共同代表の法政大学キャリアデザイン学部田中研之輔教授と一般社団法人プロティアン・キャリア協会を設立。大手企業数十社以上のキャリア自律支援を軸とした組織開発支援を手掛ける。
(全体モデレーター)栗原 和也氏
4designs株式会社/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 CGO(最高事業成長責任者)
外資系総合ITサービス企業にて、総合商社向けの基幹システム開発、業務変革(BPR)プロジェクト等に参画。2017年に人事部へ異動。新卒採用担当として、年間50~300名のエンジニア採用をリード。延べ5,000名を超える学生との対話を実施し、企業・学生双方が納得できる採用の形を探求した。2022年10月より現職。企業の垣根を超え、キャリアについて気軽に越境対話できる『越境キャリアカフェバー』を運営。組織と個人がシナジーを生み、誰もが自分らしいキャリアを築ける世の中を目指す。
- 【協会概要】
正式名称:一般社団法人プロティアン・キャリア協会
所在地:東京都新宿区西新宿3-2-9新宿ワシントンホテルビル本館2F
事業概要:キャリア対話型組織開発支援サービス/個人向けキャリア支援サービス/認定資格制度運営
代表理事:田中 研之輔(法政大学キャリアデザイン学部 教授)/有山 徹 (4designs株式会社 代表取締役CEO)
設立年月:2020年3月
協会WEBサイト:https://protean-career.or.jp/
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