マレーシアにおけるパームオイル産業のサステナブル開発に向けた共同スタディ覚書を締結

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 日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長CEO:佐藤 雅之。以下、日揮HD)と日本エヌ・ユー・エス株式会社(代表取締役社長:近本 一彦。以下、JANUS)は、本日、マレーシアの天然ガス流通・販売会社 Gas Malaysia Bhd (CEO:Ahmad Hashimi Abdul Manap。以下、GMB)と、マレーシアにおけるパームオイルの搾油工程で生じる未利用資源の有効活用を通じた「パームオイル産業のサステナブル開発に向けた共同スタディ」(以下、本事業)の実施に関する覚書を締結しましたので、お知らせいたします。
 マレーシアはインドネシアに次ぐ世界第2位のパームオイル生産国です。パームオイルは食用油や化粧品など多くの生活必需品に利用されている一方、その生産過程でCO2の25倍の温室効果を持つとされるメタンガスを大量発生させる廃液(Palm Oil Mill Effluent。以下、POME)および空果房(Empty Fruits Bunch。以下、EFB)残渣を排出し、同国のカーボンニュートラル化を妨げる環境課題となっています。また、パームオイル産業では、間伐材や廃木など、バイオ原油やバイオ化成品の原料に活用できる資源が未活用のまま廃棄されているという課題もあります。

 本事業では、メタンガスの発生源であるPOMEおよびEFBの回収・加工を通じてバイオメタン燃料やペレット燃料への変換、ならびに間伐材や廃木原料のバイオ原油、バイオ化成品への変換を想定し、その実現可能性を調査します。ひいては、パームオイル産業から発生する未利用資源の有効活用を通じて同業界のサステナビリティに貢献するとともに、エネルギー需要家やバイオ原料需要家によるスコープ1のCO2排出量の削減に寄与していくことを目指します。
 具体的には、GMBは半島マレーシアに存在するPOMEおよびEFBなどの原料へのアクセスが良好な施設、ならびに天然ガスネットワークを含むバイオエネルギーの流通網に関する情報を提供します。日揮HDとJANUSは、パームオイル産業で発生するPOME、EFB、間伐材、廃木のバイオ燃料およびバイオ化成品への変換に必要となるソリューションの検討や、バイオ燃料の液化を通じて同国内の小口需要家に向けた最適な燃料供給手段を含むサプライチェーンの検討を行います。また、本事業を通じて生産される各製品のサステナブル価値を向上するためのカーボンクレジットやバイオメタン認証等の制度活用の検討も実施します。

 なお本事業は、日本政府が2022年に発表した「アジアゼロエミッション共同体構想(AZEC)」と連携するものです。

 GMBは、「革新的な付加価値エネルギー・ソリューション・プロバイダーに変革する」というビジョンのもと、長期的かつ持続可能な発展に向け、再生可能エネルギー分野における事業活動を推進しています。本事業はGMBの多角化戦略の一環で実施し、ガス業界における地位を一層強固なものにするとともに、バイオメタンの利用を拡大していきます。

 日揮グループは、2021年5月に発表した長期経営ビジョン「2040年ビジョン」と中期経営計画「BSP 2025」に基づき、低・脱炭素社会の実現に向けてエネルギートランジションの取り組みを加速させています。当社グループは、マレーシアにおいて、液化天然ガス(LNG)や製油所などのプラント建設に関する長年の実績を有しており、数多くのプロジェクト遂行で培ってきたプロジェクトマネジメント力を活かしつつ、GMBとともに本事業の実現に貢献していきます。

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