シリア地震:子ども370万人が直面する壊滅的な事態【プレスリリース】

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アレッポを訪れ、地震によって被害を受けた建物の前に立つ、ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセル。(シリア、2023年3月1日撮影)© UNICEF_UN0795051_Deebアレッポを訪れ、地震によって被害を受けた建物の前に立つ、ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセル。(シリア、2023年3月1日撮影)© UNICEF_UN0795051_Deeb

【2023年3月2日 ダマスカス発】

ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは2日間のシリア訪問を終え、先月トルコ南部とシリア北部を襲った巨大地震で被災した370万人のシリアの子どもたちが直面している脅威は増大しており、壊滅的な事態になる可能性がある、と警鐘を鳴らしました。 

地震が子どもたちに与える情緒的・心理的な影響、避難する家族が接触または水を媒介して感染する疾病にかかる脅威の高まり、ほぼ12年間続く紛争によってすでに脆弱な状態になっている家族に対する基礎サービスの欠如は、被災した子どもたちに継続的かつ複合的な大惨事をもたらす危険性をはらんでいます。

ラッセル事務局長は、「シリアの子どもたちは、すでに言語に絶する恐怖と心の傷に耐えていました。今回の地震と余震は、さらに多くの家屋や学校、子どもたちが遊ぶ場所を破壊しただけでなく、最も弱い立場にある多くの子どもや家族の、安全に対する感覚を打ち砕きました」と述べています。
 

シリア・アレッポで、地震で被災した子どもたちと家族のための一時的な集合避難所となっている学校を訪れた、ユニセフのキャサリン・ラッセル事務局長(シリア、2023年3月1日撮影)© UNICEF_UN0795033_Deebシリア・アレッポで、地震で被災した子どもたちと家族のための一時的な集合避難所となっている学校を訪れた、ユニセフのキャサリン・ラッセル事務局長(シリア、2023年3月1日撮影)© UNICEF_UN0795033_Deeb

ラッセル事務局長はアレッポで、250人以上の子どもが暮らす集合避難所を訪問し、子どもたちが教育や移動式医療サービス、レクリエーション、心理的応急処置の支援を受けられる仮設学習スペースに赴き、子どもたちに会いました。

またラッセル事務局長は、アレッポ近郊のAl Masharqa地区のモスクで、紛争中に夫が行方不明になり、10歳と11歳の2人の娘を1人で育てているエスラアさんと話しました。彼女は、地震で家を失った数万人のうちの一人です。彼女と娘たちは、モスクに避難するまでの間、寒さと雨の中で2晩を過ごしました。現在は、ユニセフからの現金給付支援でしのいでいます。「1週間前に起きた2度目の地震では、娘は恐怖とストレスで気を失ってしまいました」とエスラアさんは語りました。娘の一人、ジャナさんは、望みを尋ねられたとき、「ベッドと家が欲しい」と答えました。

ラッセル事務局長はまた、アレッポの約3分の2の地域に安全な水を供給している、ユニセフが支援する揚水施設を訪れました。現在、多くの家族が避難し、一時的な避難施設で窮屈な状態での生活を送っている中、安全な水と衛生設備を継続して利用できるようにすることは、疥癬(かいせん)、シラミ症、コレラ、急性水様性下痢などの感染症の発生を防ぐ上で極めて重要です。

ユニセフはシリア北西部において、40万人以上の被災者に、栄養支援または水・衛生支援を物資と共に届けました。地震発生前からユニセフは重要な人道支援物資を備蓄しており、最初の地震発生後48時間以内には、子どもたちや家族にそれらの提供を開始していました。シリア北西部のコミュニティと子どもたちを支援するため、ユニセフはこれまでに、180万人分以上の人道支援物資をトラックで輸送しています。
 

シリアのアレッポにあり、地震で被災した子どもや家族のための避難場所となっているモスクを訪問し、ユニセフの支援を受けている家族から話を聞く、ユニセフのラッセル事務局長。(シリア、2023年3月1日撮影)© UNICEF_UN0795098シリアのアレッポにあり、地震で被災した子どもや家族のための避難場所となっているモスクを訪問し、ユニセフの支援を受けている家族から話を聞く、ユニセフのラッセル事務局長。(シリア、2023年3月1日撮影)© UNICEF_UN0795098

ラッセル事務局長は、「単に緊急支援を行うだけでは不十分です。被災した家族に長期にわたって寄り添い、彼らが安心感と希望を取り戻せるよう支援する必要があります。安全な水、医療、心理社会的サポートなど、必要不可欠なサービスへのアクセスを提供することで、子どもたちや家族は、恐ろしい経験から癒され、生活の再建を始めることができるのです」と述べました。

シリアでユニセフは、地震の影響を受けた子ども260万人を含む540万人の命を守る緊急支援を提供するために1億7,270万米ドルを必要としています。ユニセフの支援は、シリア国内および支配地域の境界内外や国境を越えることを含め、すべての可能な手段を用いて、甚大な被害を受けた地域に届けられます。ユニセフとパートナーが支援ニーズのみに基づき、子どもたちが被害を受けている場所であればどこにでも支援を届けられるようにするためには、支援資金が使途を限定しない柔軟なものであることが重要です。

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ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。トルコ・シリア国境で発生した地震の影響を受けた子どもを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。
1. クレジットカード/コンビニ/ネットバンクから
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/disaster/2010.htm
2. 郵便局(ゆうちょ銀行)から
振替口座:00190-5-31000/口座名義:公益財団法人 日本ユニセフ協会
*通信欄に「自然災害」と明記願います。
*窓口での振り込みの場合は、送金手数料が免除されます。
※公益財団法人 日本ユニセフ協会への寄付金には、特定公益増進法人への寄付として、所得税、相続税、法人税の税制上の優遇措置があります。また一部の自治体では、個人住民税の寄付金控除の対象となります。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp )

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