この手交に合わせて行う記者会見では、経営士、弁護士、ライブハウス経営者、産直の八百屋、ヨガ講師、CGクリエイターなど、業界・職種を超えた登壇者がそれぞれの業界・仕事の立場から反対の声を改めて表明します。
また、10月の制度実施予定を前に同会では、統一地方選挙も見据えて、地方からもSTOPインボイスの声を上げてもらうきっかけづくりとして、近日中に都道府県+政令指定都市へ陳情書を送ることを計画しています。今後、地方議会の動きを見ながら、さまざまな街・村・都市で声が上がるようにアシストしていきたいと考えています。
●「STOP!インボイス」署名と激変緩和措置への反対意思
インボイス制度を考えるフリーランスの会では2021年12月より、オンライン署名活動「《#STOPインボイス》多様な働き方とカルチャーを衰退させるインボイス制度に抗議します」を開始(https://chng.it/WwvcvMZQVk)。2023年2月13日までに180,162筆の署名が集まり、現在も増え続けています。これらの署名はフリーランスだけでなく、経営者、会社員も含む多くの方が同制度に問題があると考えた結果です。
さらに、有志団体含めこの一年で約100名の政治家に陳情して分かったのは、制度を推進する与党議員すら、諸手を挙げてインボイス制度に賛成を示している人はいない、ということです。
そんな反対の声を受けて、政府・与党は2022年12月に「激変緩和措置」を発表しましたが、これに対して当会は改めて「緩和措置でなく制度のSTOPを」と訴え、声明文を発表。この投稿には『はじめの一歩』の漫画家・森川ジョージさんや『新世紀エヴァンゲリオン』碇シンジ役などの声優・緒方恵美さんをはじめ、延べ6081人の方が賛同の意思を表明し、30の団体が賛意を寄せてくれました。緩和措置に対して多くの方が「STOP!」の声を上げたのは、これが制度導入時の3〜6年間のみという時限措置であり、免税事業者の排除や事務負担といったインボイス制度が抱える根本的な問題の解消にはならないと感じている証左であると考えます。
私たちは、生活・仕事・生きがいのため、「STOP!インボイス」に向けて一歩も引き下がれません。
●登壇者の予定スピーチ
宇都宮 健児氏(弁護士・公正な税制を求める市民連絡会 共同代表)
弁護士、公正な税制を求める市民連絡会の共同代表として、税制のあり方を考えてきた立場から発言します。
堺 剛氏(経営士)
さまざまな会社で経理顧問を担当する経営士の視点から、会社の経理担当者にとっても負担増となるインボイス制度の問題点を発言します。さらに事務作業が煩雑になるとされる電子帳簿保存法についても言及予定。
甲田 崇恭氏(草木堂野菜店 代表)
群馬の農家から直接仕入れた野菜を都内のフリースペースで販売する新しいスタイルの青果店を経営する甲田氏は、取引先の農家がほぼ免税事業者であることから、消費税の負担増に頭を抱えています。今後事業拡大できなければ廃業も考えざるを得ない、とも。
加藤 梅造氏(ライブハウス ロフトプロジェクト 社長)
ライブハウス「ロフト」を経営する加藤氏は、ミュージシャンをはじめさまざまなフリーランスと仕事をする立場上、むずかしい決断を迫られています。昨秋、ロフト阿佐ヶ谷では「くたばれインボイス!」イベントを敢行し、大盛況でした。
ブンサダカ氏(映像クリエイター)
CGクリエイターは課税事業者が多いものの、設備投資にもお金がかかり利益は薄い。また、アシスタントにインボイスを求めることも難しく、インボイス制度が始まったら仕事の拠点を海外に移すことも視野に入れざるを得ないとも言われています。
塙 律子氏(ヨガインストラクター /フリーランスユニオン 共同代表/ヨギーインストラクターユニオン執行委員長)
ウーバーイーツユニオン、ヨギーインストラクターユニオン、ヤマハ音楽講師ユニオンの有志で結成されたフリーランスユニオンの共同代表・塙氏が、セーフティーネットがほとんどないフリーランスをさらに追い詰めるインボイス制度の問題点について発言予定。
●各界からのコメント
各界の皆さんからもコメントをいただいています。
阿部 敦さん(声優)
この業界に入って約17年になります。新人の頃は多くの方がそうだと思いますが、経済的余裕はありません。ボクも当然そうでした。インボイス制度は、そうした若手の育成の妨げになると感じています。業界の未来も危ぶまれますが、あなたの10年後の推しがインボイスでいなくなってしまうかもしれないんです。一大事です!
阿部徳幸さん(日本大学教授・税理士)
インボイス制度導入に反対いたします。免税事業者は、これまでの取引維持のため、課税事業者とならざるを得ません。なお改正法案では、激変緩和措置が予定されています。しかしこれらはいずれも時限立法です。期間限定です。消費税については事業者の事務負担がいわれてきました。税率が複数となり、さらにインボイス番号を確認して納税額の計算をする。このように煩雑な制度では、期間経過後、零細事業者において適正な申告納税を行うことはできません。国民に課された納税義務を全うできません。
イシヅカユウさん(モデル・俳優)
コロナ禍に始まり世界情勢の悪化、物価高などなど……ただでさえ個人事業主や中小企業に限らず国全体の経済が厳しい今、これ以上個人や企業を圧迫する制度を今施行しようとすることに心から驚いていますし、信じられません。私はインボイス制度に反対します。
岡田 育さん(文筆家)
会社員でもうんざりする経理処理の負担が大きくのしかかり、インディペンデントに「新しい働き方」を模索してきた人々が根こそぎ打撃を受ける制度です。あなたの推しが廃業してもおかしくない。ささやかな将来の夢が、見る前に潰されるかもしれない。まだ間に合います。みんなで止めましょう。
藤井 聡さん(京都大学大学院教授)
今、政府が進めようとしているインボイスの導入は、消費税の害悪を飛躍的に拡大させる最悪の悪手です。なぜならインボイス対応を迫られる中小の非課税事業者が続出し、結果、彼らにとっての激しい増税となるからです。
そもそも中小企業の消費税相当分の支払い免除は、不当な利益でなく正当な権利。全法人から一律に平等に徴税すべしというなら、粗利ベースの消費税でなく、純利益ベースの法人税を増税すれば事足りるのです。我が国の税制の歪みを極限にまで拡大するインボイスは、日本のために導入してはならぬものなのです。
荻原 博子さん(経済ジャーナリスト)
インボイス制度の導入には、反対です。コロナに物価高、燃料高、社会保険料アップ、増税で苦しめられている庶民の家計に、さらに鞭打つようなことはすべきではありません!!
●今後の動き:全国自治体への陳情書送付予定 他
本年9月末日に登録締め切り、10月1日に実施予定のインボイス制度ですが、「STOP!」の声を大きくするため、当会では全国の地方自治体へ陳情書を送付する予定です。まずは都道府県及び政令指定都市への送付を行い、その後地方議会の動きを見ながら、範囲を広げていくことを計画しています。4月に行われる統一地方選挙でもこの問題を争点の一つとして扱ってもらうため、今後も活動を続けていきます。