【評価レポート】ユニバーサルビーチに参加しても「何かにチャレンジする意欲」に変化はなし!?評価の結果「自分への自信」と「充実感」は向上

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NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトは、“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環で協同して「日本全国ユニバーサルビーチ化プロジェクト」を実施。全国・世界にユニバーサルビーチを広げていくとともに、一般社団法人日本体験教育研究所、豊岡短期大学こども学科准教授稲田達也先生の協力のもと体験会の評価を測定。合計約230名が参加し、このうち41名の方にアンケートに答えていただきました。(有効回答数39名:年齢10~50歳、内訳は別途記載)
当チームは2022年8月15日に計25道府県で出張ユニバーサルビーチを実施、全国49都道府県の半分である2分の1全国制覇を達成しています。
URL:https://bit.ly/3X3D2bN

 

 

  • 調査概要

調査対象者:須磨UBPに参加した障がい者または (本人の回答が困難な場合)ご家族 計41名(参加前 41 名、参加後 39 名)、年齢10~50歳
調査時期:2022年7月〜 2022年12月
調査項目:須磨UBPの満足度や現在の気持ち等について5件法で尋ねた。一部の質問に関しては、その理由を自由記述で尋ねた。
 

  • 9割以上が満足度を最高評価

参加後の満足度に関して、以下の3つの質問により尋ねた。

①今回のような企画で誰もが海を楽しめる『ユニバーサルビーチ』は必要だと思いますか?
②今後もこのようなイベントやユニバーサルビーチの環境があれば良いと思いますか?
③イベント参加・ユニバーサルビーチを利用しての満足度を教えてください

①においては39 名中 3 8 名、②においては 39 名中 37 名、③においては 39 名中 37 名が最高評価を選択しており、高い満足度及び今後のニーズがあることが窺えた。
また、その理由を自由記述で尋ねたところ、得られた回答から傾向がみられた。

参加者は、日頃から「障害(障がい)」があるために、様々な場面で「難しい」、「ハードル」が高いと「諦める」ことが多く、普段の「環境」では、また「家族」だけでは「海」に来ることは難しい。しかし、須磨UBPにおいては、スタッフやボランティアの方に支えられ、「家族」とともに「海」を「体験」でき、「楽しむ」こと、「チャレンジ」することができる。「いい」「経験」が「思い出」になる。そのような点に、 須磨UBPの意義を見出す回答が多く見られた。

 

  • ユニバーサルビーチの魅力

どの要素が高い満足度及びニーズに結びついているのかということに関して、「アクティビティ自体」「人との触れ合い」「自然との触れ合い」の満足度を尋ねた。

「アクティビティ自体」「人との触れ合い」「自然との触れ合い」の順に平均値が高かったが、いずれの項目もほとんどの参加者(質問順に 37 名、 34 名、 39 名)が最高評価の 5 と回答していることから、優先順位があるというよりは、いずれの要素に関しても参加者が非常に魅力を感じているということが読み取れた。
また、自由記述のアンケート結果からは、上述した 3 つの観点以外に、とにかく「楽しい」と感じられること、普段はなかなかできない「非日常性」あふれる活動であること、「障害(障がい)へのサポート」がしっかりなされていることにも魅力を見出していることが読み取れた。

  • ユニバーサルビーチは「チャレンジする意欲」を刺激し、レジャー・社会参画に繋がる

参加者の満足度及び参加前と後での気持ちの変化について、「 A:自分に自信がある」「 B :充実感がある」「 C: 今後、何かにチャレンジしたい」 という3つの項目を尋ねた。

須磨 UBP に参加することを通じて、自分への「自信」、及び「充実感」が向上していることが明らかになった。
自由記述の回答の中でも、参加者の多くが、日頃から障害(障がい)のために、様々な場面で難しい、ハードルが高いと感じ、諦めることがあることが示されており、そのような中にあって普段はできないことを家族とともに体験できる須磨 UBPは、「やればできる」という参加者の自信を高 め、また「できた」「楽しかった」という充実感を高めるものであると考えられる。

一方、「何かにチャレンジする意欲」に関しては、統計的に有意な差とまでは言えなかった。これは、 須磨 UBP に参加する直前の参加者にとっては、 須磨 UBP に参加すること自体が チャレンジ であり、すでにチャレンジ する意欲が高い状態にあったため、参加後も大きな向上 は見られず、高い意欲を維持する結果となったと考えられる。

当然、 須磨 UBP が参加者の意欲 に見合った「楽しさ」や「やりがい」を提供できなければ、参加後に挑戦する意欲が低下してしまうということも起こり得る。

須磨 UBP が参加者の「チャレンジする意欲」を刺激し、その後の様々な形での活動、社会参加につながっていく取り組みであることを示唆していると考えられる。実際に、自由記述の回答には、今後、様々なレジャーや、進路、職業、社会貢献活動等にチャレンジしたいという多岐に渡る活動への意欲が表れていた。

 

  • できないをできた!に変える。須磨ユニバーサルビーチプロジェクト

2016年に神戸の須磨海岸で発足。みんなの”できない”を”できた!”に変えるを合言葉に、障がいを持っている方やお年寄り、小さなお子さんまで、誰もが楽しめるユニバーサルデザインなビーチを普及していく活動をしています。令和3年度より、中学社会公民の教科書に「持続可能な未来を目指す人々」と題し、SDGs達成に向けた先進事例として掲載されています。
<主な受賞歴>
・観光庁ブルーツーリズム推進先進事例(2022年度)
・教育出版中学公民の教科書掲載(2021年度 )
・持続可能な観光の実現に向けた先進事例(2020年度)
・IAUD国際ユニバーサルデザイン賞金賞(2019年)
・ひょうごユニバーサル社会づくり賞(2018年)
【本部】
<神戸>
法人名:NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト
所在地:兵庫県神戸市長田区駒ヶ林町1丁目 14-10ドルフ21-102
代表者:木戸 俊介 設立:2017年11月2日
URL:https://sumauniversalbeach.com/

<協力>
一般社団法人日本体験教育研究所
所在地:大阪府八尾市八尾木6丁目120-1
設立:2018年11月
URL:https://jeel.or.jp/
事業内容:
① 学校教育支援事業 ・体験教育活動の指導/プログラム開発/研究
② 人材育成事業 ・人間関係構築研修の指導/プログラム開発/研究
・キャリア教育研修の指導/プログラム開発/研究
③ 指導者養成事業 ・保育園・幼稚園教諭対象の指導者資格(自然保育リーダー)
・災害発生後の自助・共助の指導者資格(72時間サバイバルキャンプリーダー)
・直接体験活動のファシリテーション資格(JEELファシリテーターEntry/Business)
・国際救急法・子供のためのケア資格、インストラクター資格(MFA-ベーシッククラス/ケアプラス/チャイルドケアプラス)

豊岡短期大学 こども学科 稲田 達也 准教授

著書
・教育原理-保育・教育の現場をよりよくするために-(共著)嵯峨野書院 2018年
・『新・保育と環境』(共著)嵯峨野書院 2019年
・『子ども家庭福祉入門』テキスト(共著)ミネルヴァ書房 2020年
・『家族会議のススメ』(共著)晃洋書房 2020年
・『子ども家庭支援の心理学入門』(共著)ミネルヴァ書房 2020年
・『新・子ども家庭福祉』-私たちは子どもに何ができるか-』(共著)教育情報出版 2020年
・『新・社会福祉』(共著)教育情報出版 2021年
論文
・『中学校・高校の部活動を通して身につく力の検討-個人属性と部活動への取り組み方の観点から-』(共著)聖徳大学児童学研究所紀要19号 2017年
・『要保護児童対策地域協議会における調整担当者に関する研究―ある調整担当者へのインタビュー調査を通して―』(共著)豊岡短期大学論集17号 2021年
・『施設実習における日誌の記述に関する文献レビュー』(単著)豊岡短期大学論集18号 2022年
・『アドベンチャーカウンセリングプログラムにおけるファシリテーションプロセスの検証 ―保育者養成校における実践を視野に入れて―』(共著)大阪総合保育大学紀要16号 2021年

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/

お問い合わせ先
NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト PR事務局    
土原翔吾
(email:sumauniversalbeach@gmail.com、TEL:080-3782-4405)

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