- チョコレートにも物価高じわり 1粒価格は昨年から約7%上昇 砂糖などの価格高騰響く
- 国内ブランドに比べ、インポートブランドのチョコレートで大幅な値上げ 円安も影響
- 「7%の値上げ」以上に水面下で広がる物価高と円安の影響 「ホワイトデー」商戦にも注目
[注]全国の百貨店・ショッピングモールなどに展開する135のチョコレートブランドを対象に、前年と価格が比較可能な商品について調査を行った。対象商品は売れ筋となる1粒バラ売りまたは複数個入りのセット、アソートまたはボックスタイプ(詰め合わせ)の商品
チョコレートにも物価高じわり 1粒価格は昨年から約7%上昇 砂糖などの価格高騰響く
値上げの波がチョコレートにも押し寄せている。全国の大手百貨店やショッピングモール、ホテル、著名な洋菓子店などで販売される135のチョコレートブランドにおける、2022-23年シーズンで比較可能なバレンタイン向けチョコレート(1粒バラ売りまたはアソートタイプ等、税込)の1粒当たり価格を調査した結果、2023年は135ブランドのうち80ブランドで値上げが判明し、平均価格は1粒390円に上った。前年(365円)に比べ、約7%・25円の上昇となった。このうち、国内ブランドは前年から18円アップの355円、ハイブランド品が多いフランスやベルギーなどインポート(輸入)ブランドは33円アップの433円だった。
2月には約5500品目に及ぶ、今年最初の大規模な食品値上げラッシュが到来したなか、バレンタインチョコも原材料価格の上昇による影響を受けた。チョコの製造に欠かせないカカオ豆の価格(推定)は、昨年12月に比べ円ベースでおよそ2割上昇した。エネルギー価格の上昇に加え、海外からの輸入量も多く円安の影響を受けやすい砂糖、乳牛向けの飼料代や電気・ガス代の上昇で取引価格が引き上げられる牛乳のほか、チョコを包むアルミ箔やセロハン、箱などの包装資材も値上がりしたことで、価格の引き上げに踏み切らざるを得なかったチョコレートが相次いだ。
国内ブランドに比べ、インポートブランドのチョコレートで大幅な値上げ 円安も影響
前年から価格が上昇したチョコレートをみると、値上げ幅では1粒当たり「50円超」「30円以下」がそれぞれ最も多く24ブランドだった。次いで「50円以下」(21)、「10円以下」(11)と続き、大幅な価格引き上げとなったブランドの割合が多いものの、値上げ幅の判断は総じてモザイク状となった。一方、1粒当たりの価格について「据え置き」としたブランドも調査対象の4割を占める55ブランドに上った。
国内と海外のブランド別にみると、ともに「据え置き」となったブランドが多かった。他方、値上げを行ったブランドでは、日本は「30円以下」が最も多かったのに対し、フランスなど輸入ブランドでは「50円超」が最も多かった。特に輸入ブランドは昨年内に進んだ急激な円安の影響も重なって調達価格が上昇し、「価格の引き上げを決めた」というケースがみられた。
「7%の値上げ」以上に水面下で広がる物価高と円安の影響 「ホワイトデー」商戦にも注目
飲食店情報サイト大手のぐるなび(東京・千代田区)が全国1000名の女性に対して行った「バレンタイン」調査では、購入金額について8割が「変わらない」と答えるなど、現状では購買力に大幅な低下はみられない。本命や義理チョコ以外に、家族や友人、自分へのご褒美など多様化しており、高級ブランドチョコでも売り上げは比較的堅調との声もきかれる。ただ、値ごろ感を維持するため個数を減らすケースや、チョコの成形をハートや丸形から方形に改めることでコスト削減に努めるなど、物価高や円安の影響は「7%の値上げ」以上に水面下で広がっている。
一方、ぐるなびの同調査では、価格上昇時の対処法について「価格を抑えた商品選びをする」と答えた割合も4割を占めており、物価高を受けた節約志向の強まりも同時に表面化している。バレンタインのお返しとなる「ホワイトデー」商戦も3月に控えるなかで、各社の価格戦略と消費者の財布の間における「駆け引き」も熾烈化しそうだ。