京都府福知山市にゆかりのある高校生が、地域の大学生にアドバイスをもらいながら、まちづくりに関わる「やってみたいこと」や「私たちにできること」を主体的に考え活動する「ふくちゼミ」。参加した高校生・大学生23名による今年度の4プロジェクトのレポートをお届けします。
2022年5月からの約8か月間で、学生たちは何もない所からまちの礎を築いた武将・明智光秀ゆずりの挑戦心「光秀マインド」を遺憾なく発揮し、移住・廃校・大河ドラマ・映画といったテーマを自ら選び、まちづくりのアイデアを企画し、実現させました。
本プロジェクトは、福知山市が主催する、主体的に行動できる「光秀マインド=まちづくりへの挑戦心」を持った人材を育成するための事業「若者まちづくり未来ラボ事業」のプロジェクトです。
- ふくちゼミプロジェクト 概要
▼コンセプト
福知山市在住・在学の高校生が大学生からプロジェクトに関するアドバイスをもらうとともに、まちづくりに関わる「やってみたいこと」や「私たちにできること」を主体的に考え活動する。
ふくちゼミプロジェクトは、2022年5月より福知山市主催、福知山公立大学協力のもとスタートしました。福知山市にゆかりのある高校生・大学生23名が4つのプロジェクトに分かれ、吹風舎(※1)などを拠点に活動しました。
プロジェクト
①移住者発掘プロジェクト
②廃校利活用プロジェクト
③アフター大河バトンプロジェクト
④ニューふくシネマパラダイスプロジェクト
(※1)福知山公立大学まちかどキャンパス「吹風舎(ふくちしゃ)」は、福知山公立大学の教職員・学生と地域の人々が集い、交流する機会と場をつくる「いえ(舎)」です。
- ①移住者発掘プロジェクト 「Uターン経験者の方に聞く 福知山の暮らしとは?」
多くの若者が高校卒業後、進学や就職を機に福知山を離れてしまうことに着目し、福知山出身者のUターンを促進しようと活動を始めました。
まず、移住支援を学ぶために、移住定住促進施策を行っている福知山市役所まちづくり推進課や三和地域の移住サポートをしている三和地域協議会に話を聞き、その後、三和地域のお試し住宅を見学しました。市移住定住促進施策の現状や福知山の暮らしの魅力、移住希望者が求めている情報、移住サポートをしている方の想いなどを知ることができました。
次に、実際にUターン移住者に、福知山へのUターンの魅力、地域との関わりを中心にインタビューし、福知山市移住情報サイト「FUKUFUKU LIFE」の記事を作成しました。
■FUKUFUKU LIFE インタビュー記事
https://www.welcomeiju.city.fukuchiyama.lg.jp/people/uturnbank/
学んだことをもとに、福知山へのUターンの魅力を伝えるため、福知山出身の若者やUターンに興味のある人を対象としたイベントを実施することに決めました。プロジェクトメンバーでミーティングを重ね、チラシや資料作成などの準備を進めました。そして、2022年12月4日に「Uターン経験者の方に聞く 福知山の暮らしとは?」と題して、Uターン移住者の講演と、ライフプランを作成するワークショップを開催することができました。
前半の講演では、プロジェクトメンバーから見た福知山の良いところの紹介や、Uターン移住者から“Uターンしたからこそ分かる福知山の魅力”などについて話し、後半のワークショップでは、ライフプランをそれぞれ作成し、グループで意見交換を行いました。
イベントの参加者からは、「Uターンした人から見た福知山の印象を聞けた」、「色々な方と知り合え、移住や将来の考え方を聞け参考になった」などの声があがりました。
このプロジェクトをとおして、プロジェクトメンバーは、「福知山の良さを発信していけばUターン者の増加につながるのではないかと思った」「地域について考える機会になった。これを機に地域の活動に積極的に参加したい」と語りました。
- ②廃校利活用プロジェクト 「動画上映会~思い出の川合小学校~」
廃校利活用プロジェクトでは、福知山にある多くの廃校を、地域の資産として守り未来に繋げるため、若者と地域住民が一体となった利活用を目指しました。
まず、利活用する学校候補の視察から始まり、どのような利活用ができるかを、プロジェクトメンバーでモデルケースを調べ提案していった結果、旧川合小学校での活動が決定しました。プロジェクトメンバーと旧川合小学校の関係者でお互いの意見を交換し、2022年12月11日に旧川合小学校の思い出を振り返る上映会を開催しました。
廃校記念誌や昔のスライドやビデオテープから、小学校の歴史を物語る写真や音声を集めたり、11月に開催された「第6回川合元気まつり」の様子と校歌を合わせて動画にしたり、上映会場に模型を運んだり、来場者に川合小学校で過ごした日々を懐かしんでもらえるイベントとなりました。
プロジェクトメンバーは、「廃校についてより理解を深めることができ、プロジェクトによって廃校や地域の人を元気にできてとても嬉しい」「プロジェクトを計画から実施に至るまで円滑に進行することに必要なことの気づきができた」と語り、このプロジェクトが新たな成長の場となりました。
- ③アフター大河バトンプロジェクト 「黒板アートグランプリ大会」
大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公・明智光秀ゆかりの地にある福知山高校の生徒が主体となって、全国各地の高校生が大河ドラマをきっかけにつながり、相乗効果での地域活性化をめざし活動しました。
その一環として、今年度は各地にゆかりのある大河ドラマをテーマにした「黒板アートグランプリ大会」を豊岡市出石町にある最古の芝居小屋「永楽館」にて2022年12月17日に開催しました。
『麒麟がくる』『青天を衝け』『鎌倉殿の13人』『八重の桜』がテーマの作品が制作され、Zoom参加の深谷商業高校と鎌倉女学院中・高等学校を含む出場5校が制作時のエピソードや作品に対する思いなどを発表し、審査員が質問やコメントをしました。
作品のメッセージ性、華やかさ、プレゼン内容などから厳正な審査の結果、鎌倉女学院中・高等学校の作品「鎌倉 由比ヶ浜、日射る」がグランプリに選ばれました。
グランプリ審査の依頼や、出場各校への参加賞・グランプリの賞品として用意した地元のお菓子の選定、協賛依頼、大会の司会進行なども福知山高校の生徒が行い、作品制作以外にも多方面に活動する機会となりました。また、グランプリ大会の様子は参加校のHPや高校生新聞オンラインなどにも掲載され、昨年より多くの人の目に触れるプロジェクトとなりました。
プロジェクトメンバーは、「このプロジェクトをきっかけに、全国各地のアフター大河の地のわかものが様々なまちおこしを企画して欲しいです」と思いを述べました。
▼「アフター大河バトンプロジェクト」公式SNS
YouTube https://youtube.com/channel/UCFq8_1SDRuSwZgg83VBkSeg
Twitter https://mobile.twitter.com/after_taiga
Instagram https://instagram.com/after_taiga_ig
- ④ニューふくシネマパラダイスプロジェクト 「映画版ビブリオバトル」
2022年6月4日に実施した「ふくちゼミプロジェクトキックオフ会議」で、参加した大学生の「福知山を映画のまちにしたい」という想いに賛同した高校生・大学生11人により、プロジェクトが立ち上がりました。
当初は、映画上映会をする予定でミーティングを重ねましたが、上映するための費用や場所の関係で開催することが難しく、映画上映会を断念しました。
話し合いの中で、映画のまちにするためには、まず映画に親しみやすい環境や映画に興味をもってもらう機会をつくることが大切だとし、市民を巻き込んだ映画版ビブリオバトル(※2)を開催することにしました。
リハーサルで機材や当日の流れを確認し、12月11日に新町商店街にあるシンマチサイトをお借りして、「映画版ビブリオバトル」を開催しました。
当日は、たくさんの映画に触れてもらうために映画クイズを用意し、参加者の方に積極的に声をかけ、楽しんでもらえるような工夫をしました。
プロジェクトをとおしてメンバーは、「好きなことを伝えるのは楽しい」「イベントを行う時の事前準備や宣伝の重要性が分かった」と語りました。
(※2)発表者がおすすめの映画を紹介し、どの映画が見たくなったか投票でチャンピオンを決めます。チャンピオンの紹介した映画の予告動画を鑑賞し、意見交換を行います。
- ふくちゼミプロジェクト成果報告会
2022年12月18日に開催しました。各プロジェクトが活動内容や成果、プロジェクトをとおしての学びなどを発表しました。
- (参考)若者まちづくり未来ラボ事業とは
福知山にゆかりのある高校生・大学生に向けて、福知山市で活躍する大人と出会い、福知山愛を醸成するとともに、主体的に行動できる光秀マインドを持った人材を育成するための事業で、地域に関わるプロジェクトに取組んでいます。プロジェクトには福知山公立大学の学生がプロジェクトマネージャーとして関わり、参加者に伴走して活動しました。
① わかもの会議
多様な価値観に触れるため、福知山で活躍する20代〜40代の大人と出会います。ライフヒストリーを聞くとともに、なぜ福知山で活躍されているのかヒントを掴みます。対話を通して、自分自身の人生において、前向きに取り組むヒントを得ていきます。
② ふくちゼミプロジェクト
大学生からプロジェクトに関するアドバイスをもらうとともに、まちづくりに関わる「やってみたいこと」や「私たちにできること」を主体的に考え活動します。