タ イ ト ル： 「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」 一回戦第一局
日 程： 2022年6月25日（土）
場 所： 夢メッセみやぎ 展示ホールA・B（住所：宮城県仙台市宮城野区港3-1-7 ）
【JTプロ公式戦結果】
対 局： 佐藤 康光 九段（先手）対 糸谷 哲郎 八段（後手）
結 果： 94手にて糸谷八段の勝ち
【「JTプロ公式戦」今日のハイライト】
糸谷八段、快勝で二回戦進出！
先手佐藤九段の角交換向い飛車に対し、後手の糸谷八段は馬を作るという将棋。1筋も詰められた佐藤九段は37手目▲3六角の勝負手を放つ。そこから激しい攻め合いに突入するが、糸谷八段が優位を築いた端から攻め、守っては馬の堅さを生かして冷静に押し切った。糸谷八段は快勝で二回戦に進出。
【対局前の両者のコメント】
佐藤九段「『JTプロ公式戦』は4年ぶりで、出場できて光栄に思います。糸谷八段は独創的な将棋で、受けに強みを発揮する棋士だと思っています。早指しで戦うのは久しぶりですが、始まってみないとどういう将棋になるのか予想がつきません。近年若い世代の活躍が目立ちますが、負けなようにいい将棋をお見せしたいですね。」
糸谷八段「『 JTプロ公式戦』に出場できて光栄です。まだこの棋戦では活躍できていないという思いがあります。まずは目の前の一勝ですが、できれば最低二勝は上げたいという気持ちがあります。佐藤九段は非常に力強いというか腕力が強い将棋です。見に来ていただいた方に面白いなと思ってもらえるような将棋を指したいですね。」
【勝利棋士 糸谷八段のコメント】
早繰り銀▲7六歩△3四歩▲5六歩の出だしは後手に「何かやってこい」という挑発です。元からこちらも行くつもり満々でしたから、受けて立たないわけにはいきません（笑）。馬を作って後手に悪い理屈はないんです。序盤の△4二銀は作戦というよりは、△4二玉だと普通でつまらないからです。△1四歩に対し、佐藤九段はちょっと考えてました。▲1六歩と受けるのもありますが、実戦的にはちょっと受けづらい。▲3六角から攻め合いになりましたが、本譜のように端を詰めて5七に【と金】を作ればまあ負けないだろうという方針で戦いました。自陣の馬が堅かったです。これでまずは一勝。次は永瀬王座との対戦ですが、昨年負けているのでぜひリベンジしたいですね。
講評
独創的な将棋が特徴である二人の対局ですから、どういう戦いになるのか楽しみでしたが、やはり序盤早々から角交換になる力のいる戦いになりました。糸谷八段は馬を作ってじっくり指そうという姿勢で、さらに1筋も詰めることができ十分な棋勢です。後手の36手目△5五歩を▲同歩と取るのは△同馬から△5四馬と使われて7六の桂頭を狙われます。佐藤九段の▲3六角はやむを得ない勝負手です。45手目▲7四歩のところで▲7一銀は、△7二飛▲7三歩△同飛▲同飛成△同桂▲6三角成△2二玉▲8二銀不成△5七歩成でやはり後手良し。馬を引き付けた糸谷八段が冷静な対応で、佐藤九段の攻めをいなした一局でした。快勝といってよいと思います。 中村 修 九段談
JTプロ公式戦（一回戦第一局）結果
【投了図】 佐藤 康光 九段（先手）対 糸谷 哲郎 八段（後手）
【棋 譜】 佐藤 康光 九段（先手）対 糸谷 哲郎 八段（後手）
▲７六歩 △３四歩 ▲５六歩 △８八角成 ▲同飛 △５七角 ▲６八銀 △２四角成 ▲８六歩 △３三馬 ▲７七桂 △６二銀 ▲８五歩 △４二銀 ▲４八玉 △５四歩 ▲３八玉 △６四歩 ▲２八玉 △６三銀 ▲３八銀 △１四歩 ▲７八金 △１五歩 ▲５七銀 △３二金 ▲６六銀 △７四歩 ▲８六飛 △４一玉 ▲７五歩 △３一玉 ▲７六飛 △７五歩 ▲同銀 △５五歩 ▲３六角 △６二飛 ▲７四銀 △同銀 ▲同飛 △６三銀 ▲７六飛 △５六歩 ▲７四歩 △５七歩成 ▲７三歩成 △同桂 ▲同飛成 △７二金 ▲６三角成 △同金 ▲７一龍 △５一歩 ▲７五桂 △７六歩 ▲６三桂成 △同飛 ▲５四金 △７七歩成 ▲６三金 △７八と ▲５二金 △２四桂 ▲２五銀 △２二玉 ▲４二金 △同 馬 ▲７二飛 △１六桂打 ▲同歩 △同桂 ▲同銀 △同歩 ▲２五銀 △４八銀 ▲１六香 △同香 ▲同銀 △１一香 ▲１五歩 △４九銀不成 ▲同銀 △４八金 ▲３九香 △４九金 ▲３五銀 △３九金 ▲４二飛成 △２九金 ▲同玉 △１七桂 ▲２八玉 △３九角 まで94手で後手の勝ち
※圭は成桂のこと 杏は成香のこと
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