NTT東日本とグリラスによる食料問題の解決に向けた「食用コオロギのスマート飼育」の確立をめざす実証実験の開始

この記事は約7分で読めます。
 徳島大学発のベンチャー企業として、食用コオロギに関連する品種改良・生産・原料加工・商品開発・販売を一貫して国内で行う株式会社グリラス(本社:徳島県鳴門市、代表取締役:渡邉 崇人、以下「グリラス」)と、東日本電信電話株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:澁谷 直樹、以下「NTT東日本」)は、2023年1月より、ICT/IoTを活用した食用コオロギのスマート飼育の確立をめざす実証実験を開始します。

 またその第一歩として、NTTe-City Labo内の一室を食用コオロギの飼育施設として新たに整備し、実証の基礎となるコオロギの飼育における環境要因のデータ収集および分析を開始します。

  • 実証実験の背景と目的

 2019年6月に国際連合より発表された報告書※1によると、今後30年で世界人口は97億人への増加が見込まれ、これに伴う食料問題への対応が課題となっています。

 特に「タンパク質危機」と称される動物性タンパク質の不足は顕著で、その解決策として国際連合食糧農業機関は昆虫食を推奨しています※2。一方で世界では年間約9.3億トンの食品ロスが発生しており、その量は全世界で生産されている食品の約3分の1に相当します※3。

 グリラスではこれらの社会課題の解決策として、飼育時に必要な餌や水の量と、温室効果ガスの排出量が少ない食用コオロギを、食品ロス由来100%の独自配合飼料を用いて生産してきました。しかし最新の情報工学的アプローチを取り入れることは、十分にはできていませんでした。

 こういった状況を踏まえて本実証実験では、グリラスの有する食用コオロギの飼育ノウハウとNTT東日本が提供するICT/IoTソリューションを掛け合わせることで、より最適な食用コオロギの飼育環境の構築および確立などをめざします。

※1:https://www.un.org/development/desa/pd/sites/www.un.org.development.desa.pd/files/wpp2022_summary_of_results.pdf
※2:https://www.fao.org/3/i3253e/i3253e.pdf
※3:https://www.fao.org/3/i2697e/i2697e.pdf
 

  • 飼育施設の概要

 NTTe-City Labo(NTT中央研修センタ)※1内にスマート食用コオロギの飼育施設を設置します。本施設は稼働後の一般見学の受付も予定しており、「タンパク質危機」や「食品ロス問題」、「食料安全保障」といった社会課題の解決策として期待される食用コオロギ※2に関する展示と共に、実際の飼育風景をご覧いただけます。

・名称  :食用コオロギ養殖ブース
・住所  :東京都調布市入間町1-44(NTTe-City Labo内)
・開放時間:平日9:00~17:00

※1:NTTe-City Laboの詳細はこちら(https://business.ntt-east.co.jp/content/regional_revitalization/labo/
※2:詳細はページ下部をご確認下さい。
 

  • 飼育施設での実施内容

1:データ収集
 コオロギの飼育と密接な関わりを持つ、飼育室内の温度や湿度、CO2濃度をはじめとした環境データを、センサーによって収集します。また、センサーと飼育室内の各種電子機器をHEMS(Home Energy Management System)によって可視化および一元管理を行うことで、コオロギにとって最適な環境を自動で制御します。

2:AI分析
 画像認識AIを用いて、各種センサーによって収集したデータを分析します。これにより、コオロギの飼育環境内で発生した異常やその原因の検知、コオロギが食べた餌の量の測定などを行うことで、飼育方法のさらなる向上や、各種コストおよび工数のスリム化をめざします。またここで得られた分析結果を基に、自動給餌などの高度な飼育方法の開発への寄与をめざします。

3:飼育における省人化および効率化
 NTT東日本の保有するその他のDXソリューションや製品などの活用に関しても、上記の実施内容と共に本施設にて効果検証していくことで、食用コオロギの飼育における更なる環境負荷の低減や、飼育環境の自動化や省人化をめざします。
 

  • 今後の展望

 本実証実験を通じた食用コオロギのスマート飼育環境の構築・確立をめざすとともに、今後の需要拡大を見据えて、飼育施設拡大も含めた事業化に向けての検討を進めます。

 また、SDGsや食育分野などにおける情報発信等の活動においても連携を深めることで、事業と普及活動の両軸を推進し、食料問題の解決や地域産業の振興といった社会課題解決への寄与をめざします。
 

  • 実証実験における両社の役割

・グリラス :食用コオロギ飼育ノウハウの提供
       分析結果を活用したコオロギ飼育環境の開発
       食用コオロギの加工・流通・販売

・NTT東日本:ICT/IoTソリューションを活用した飼育環境の構築
       食用コオロギ飼育における環境要因データの収集・分析・フィードバック
 

  • 食用コオロギ関連事業について

 2019年6月に国連より発表された報告書によると、今後30年で世界人口は97億人への増加が見込まれ、これに伴う食料問題への対応が課題となっています。特に「タンパク質危機」と称される動物性タンパク質の不足は顕著で、その解決策として国際連合食糧農業機関は昆虫食を推奨しています。昆虫は既存畜産と比べてタンパク質の生成に必要な餌や水の量が少なく、資源の有効活用が可能です。また温室効果ガスの排出量も少なく、環境負荷の低いタンパク源といえます。

 一方で世界では年間約9.3億トンの食品ロスが発生しており、その量は全世界で生産されている食品の約3分の1に相当します。コオロギは雑食性のため餌の制限が少なく、グリラスでは国内で発生した食品ロス由来100%の餌でコオロギの飼育を行っています。これらの特徴からグリラスは、捨てられるはずの食品ロスを新たなタンパク質へと循環させることのできる食用コオロギを“サーキュラーフード”と位置付けて、食用コオロギ関連事業を行っています。

※食用コオロギ関連事業の詳細はこちら(https://gryllus.jp/why-cricket/
 

  • サーキュラーフードについて

 サーキュラーフードとは、持続可能な社会の実現にあたり環境負荷の低減をめざし、かつ食品ロスを主要原料として活用すべく開発された新技術を用いて生産された循環型の食材及び食品のことを指します。国内で発生した食品ロスに由来するサーキュラーフードの普及は、SDGsのターゲット12.3や、食料安全保障への寄与が見込めます。

 またグリラスは、サーキュラーフードの推進を通じて、2040年までに国内における年間253万トンの食品ロスの活用・循環をめざす「サーキュラーフード推進ワーキングチーム」の幹事企業です。

※サーキュラーフード推進ワーキングチームの詳細はこちら(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000070046.html
 

  • 株式会社グリラスについて

・社名     :株式会社グリラス(https://gryllus.jp/
・事業内容   :⾷⽤コオロギの⽣産
         ⾷⽤コオロギを⽤いた⾷品原材料および加⼯⾷品の製造、販売
         ⾷⽤コオロギの研究開発 等
         動物用コオロギの生産、販売 等(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000070046.html
・代表取締役  :渡邉 崇人
・所在地    :徳島県鳴門市撫養町黒崎字松島45-56
・資本金    :5億2,210万円(資本準備金等を含む)
・設立     :2019年5月
 

  • 東日本電信電話株式会社について

・社名     :東日本電信電話株式会社(https://www.ntt-east.co.jp/
・事業内容   :東日本エリアにおける電気通信業務、附帯業務、目的達成業務 等
・代表取締役社長:澁谷 直樹
・所在地    :東京都新宿区西新宿3丁目19番2号
・資本金    :3,350億円
・設立     :1999年7月1日

 

タイトルとURLをコピーしました