国内事業においては、一昨年の新型コロナウイルス感染拡大の影響が緩和したことで汎用塗料や工業用塗料を中心に、市況の回復が見られる中、汎用領域で長年ご愛顧いただいているパーフェクトシリーズの「ニッペ パーフェクトトップ」が昨年、発売10周年を迎え、新製品の発売とともにブランドリニューアルを実施しました。また、コロナ禍で誕生した抗ウイルス・抗菌ブランドPROTECTON®では、新たに3製品を発売しました。
ほか国内向けの設備投資も、老朽化している設備更新をメインに継続しております。予定より少し遅れましたが、昨年12月に日本ペイント・オートモーティブコーティングスの岡山新工場が竣工しており、今年秋ごろから量産を開始する予定です。
海外事業においては、アジア地域で複数に分かれていた事業体の統合も推進しており、昨年5月に中国にある自動車用塗料事業会社5社を完全子会社化しました。今後、急速な成長が見込まれるアジア・中国地域での一体運営によるシナジーの発揮や事業体制の強化を図ってまいります。
一方、既存事業のみならず、昨年M&Aで新規連結した2社、欧州で第4位の建築用塗料メーカーCromology社と、中東欧諸国で建築用塗料や塗料周辺事業を手掛けるJUB社も初年度から業績に貢献しております。この2社が保有する強力な販売網と高い認知度を活用することで、中国に次ぐ世界第2位の塗料市場である欧州においても市場拡大が可能になりました。
持続可能な社会に向けて、弊社グループは、事業の成長とともに、サステナビリティ戦略の推進も強化しております。昨年、ESGインデックスの組み入れを進め、「FTSE4Good Index Series」および「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に選定されたことに続き、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄にも初めて選定されました。これにより、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用する5つのESG国内株式指数すべてに選定されたことになります。
今年度は、中期経営計画(2021年-2023年度)の最終年を迎えます。私たちを取り巻く外部環境は相変わらず不透明ではありますが、アジアを中心とした根強い塗料需要をベースに、引き続き価格転嫁の更なる進展やマージン改善を通じて、中計の目標達成に向けて取り組んでまいります。
国内に向けては、事業の収益性改善とともに、CASEやMaaSなどの対応に向けた加飾フィルム事業の拡大や、自動運転を支える「ターゲットラインペイント」の開発など、今年度も、引き続きカーボンニュートラルを見据えた環境配慮型製品・技術の開発に取り組んでまいります。
更に弊社では、塗料・コーテイングという既存分野だけでなく、SAF(密封剤・接着剤・充填剤)やCC(建築化学品)などの塗料周辺分野へと、事業領域を積極的に押し広げていきます。これからも自律分散型経営モデルのもと、各パートナー会社の自律的な成長を加速させながら、積極的なM&A戦略で、市況の変化に負けず、弊社グループの世界市場でのさらなる成長を追求してまいりたいと思います。
最後に、本年が皆さまにとって、実りの多い、佳き年となりますことを祈念いたします。本年も変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
以 上