2022年、世界経済は全世界で拡大した新型コロナウイルス感染症のまん延による影響から回復傾向にありましたが、ロシアによるウクライナ侵攻によって、世界経済の成長を鈍化させています。両国は一次産品の主要なサプライヤーであり、食料やエネルギー価格の高騰を引き起こしています。これに加えて、急激な円安が進み、日本経済に大きな影響を及ぼしています。弊社でも企業努力では解決困難な状況となり、やむを得ず価格改定を行うこととなりました。そうした状況下でも弊社商品を多くの方にご愛用いただきましたことに感謝申し上げます。2023年も皆様に安心・安全をお届けし、経済活動を前進させるため尽力していく所存です。
こうした厳しい年ではありましたが、弊社にとっては、無添加石けんの製造・販売に切り替えて48周年という節目の年でした。弊社社名「シャ(48)ボン玉」とみなさまへの「感謝(48)」の語呂から「48」はシャボン玉石けんにとって特別な数字です。その記念すべき年に「日本ネーミング大賞2022」において、弊社の社名である「シャボン玉石けん」が、シンプルだが時代を超えて愛され続けるネーミングであること、石けん業への強い信念が込められている点を評価いただき、社名等の部門において優秀賞を受賞いたしました。
また、2021年に実施した福岡県宗像市地島での生活排水の環境及び生物への影響に関する実証実験プロジェクトの結果を発表することができました。島で使用する洗浄剤を石けんに切り替えたことで、下水処理場内の微生物が豊かになることや水中の有機物(汚れ)を低減させること、生態系に影響を与える可能性がある物質の排出量が減ること等がわかりました。住民アンケートの結果から、実験を通して環境問題に関心がある人がさらに増えたこともわかりました。全住民の理解と協力を得て島全体で行った実証実験は、業界内を始め世界的にも珍しく、石けんが実際の環境中で環境・生物に対して好影響を与え、改善することを示唆する社会的意義の高い結果を得ることができました。
サステナビリティの取り組みとしては、本社・工場の電力を再生エネルギーに100%切り替え、自治体と製造・販売・回収・再生に関わる複数の企業等が“競合”の垣根を超えて“協働”でつめかえパックの「水平リサイクル」を目指す、全国に先駆けた試みにも参画いたしました。
これまで「人」「健康」をテーマにした貢献活動を進めてまいりましたが、世界的に不安定な情勢の中、当社としても「平和」に何か寄与・貢献できないかと考え、本土復帰50周年を迎えた沖縄県の平和祈念財団、ひめゆり平和祈念財団に寄付いたしました。両施設がある糸満市に新設された観光文化交流拠点施設のネーミングライツを取得し、「シャボン玉石けん くくる糸満」と命名いたしました。海・地域の暮らしや伝統文化の魅力、最後の激戦地となった沖縄戦の悲惨さから学ぶ平和への祈りなどの切り口で情報発信するこの施設を通じて、みなさまとともに、豊かな自然を守り、平和を伝え、紡いでいければと考えております。
また、コロナ禍で見送っていたパーム農園視察を3年ぶりに実施いたしました。石けんの原料油脂であるパーム油などは、熱帯雨林の直接的な破壊を防ぐため、農園拡大の抑制に努めるマレーシアから取り寄せています。無添加石けんの原料としての品質維持はもちろん、パーム油産業全体の社会問題である森林破壊や人権侵害の解決といった視点を持ちながら持続可能な生産体制の維持・向上を目的として、定期的に現地のパーム農園・プラントの視察を行っています。弊社では今後もみなさまに安定して商品をお届けできるよう持続可能な調達にも努めてまいります。
「健康な体ときれいな水を守る。」という企業理念のもと、変化や課題に柔軟に対応し、無添加石けんの更なる普及・認知に努め、環境保全ならびに持続可能な社会に貢献してまいります。今後とも皆様のご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。本年が皆様にとって輝かしい一年となりますことを祈念しまして、新年の挨拶とさせていただきます。
シャボン玉石けん株式会社
代表取締役社長 森田隼人