物価高のインパクト、内閣支持率に陰り <6月定例世論調査>

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社会調査研究センター(本社:さいたま市、代表取締役社長:松本正生)は、2022年6月18日(土)に、RDD方式による全国世論調査を実施し、安定基調だった岸田内閣の支持率が前回5月から5ポイント減少しました。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きを見せる一方で、物価上昇という家計への打撃が安定基調だった内閣支持率に影響を与えている可能性があります。

 社会調査研究センターは、2022年6月18日(土)、RDD方式による全国世論調査を実施しました。調査の方法は、携帯電話(スマートフォン)へのSMS(ショートメッセージ) + Web(インターネット)、および、固定電話へのIVR(オートコール)を複合した、新しいミックス・モード手法 = 「ノン・スポークン (Non-spoken) 調査」を採用しています。有効回答者数は、携帯700人、固定295人、計995人でした。

<調査手法について> https://ssrc.jp/materials/159175689910301.pdf

調査トピックス
 1.岸田内閣の支持率、5ポイント減の48%
 2.イシューの転換か?~コロナから物価・経済へ
 3.参院選比例代表の投票先分析

■岸田内閣 : 支持率48% vs 不支持率44%
 今月の岸田内閣支持率は、前回(5月)から5ポイント減の48%、不支持率は7ポイント増の44%となりました。支持率と不支持率の差は、5月の16ポイントから4ポイントに縮まりました。
 【図1】を参照してください。年齢別の支持率・不支持率のグラフです。岸田内閣の支持率は、ここのところ、4月(左図)のような若年層で低く、年齢の上昇とともに比率の上がる「若低-老高」型の階段構造を示していました。支持と不支持の付置関係については、18~29歳、30代の若年層では不支持が支持を上回っているものの、40代以上の中高年層では支持が不支持を上回り、とりわけ60代や70歳以上の高年層は4月、5月と支持率が上昇し、徐々に支持≫不支持が拡大するという安定的な傾向が続いていました。
 ところが、今月(右図)は、50代で支持と不支持が逆転したのをはじめ、30代では不支持率が12ポイント上昇して不支持と支持のポイント差が拡大するなど、18~29歳から50代までの若・中年層における内閣評価の低落が生じました。

  【図1】内閣支持率・不支持率(年齢別)

コロナから物価・経済へ:イシューの転換か 
 次に【表1】をご覧ください。岸田内閣の支持・不支持と政権の新型コロナ対策への評価について、推移をまとめたものです。5月から6月にかけて、内閣支持・不支持とは対照的に、コロナ対策評価には全く変化がみられません。コロナ対策評価と内閣評価との間の連動関係に、何らかの変容が生じたように思われます。

   【表1】岸田内閣支持・不支持とコロナ対策評価

 今月(6月)の調査では、従来の「岸田政権の新型コロナウィルス対策への評価」に加え、「岸田政権の物価対策への評価」、さらに「岸田首相が打ち出した『資産所得倍増プラン』への評価」を問いました。これらの質問に対する年齢別の結果は【表2】にまとめました。コロナ対策に関する評価の( )内の数値は5月の結果に相当します。全体の比率のみならず、年齢別の値にもほとんど変化のないことがわかります。むしろ、18~29歳では「評価する」と「評価しない」が逆転し、肯定的評価へのシフトが確認できます。にもかかわらず、内閣支持が低下し、不支持は上昇しました。

    【表2】岸田政権の対策・政策評価(年齢別)

 物価対策への評価に注目すると、「評価しない」の比率は、30代の76%を最高に、40代から60代までの実年世代で6割を上回っています。同時に尋ねた「物価の上昇で家計が苦しくなったと感じるか」に対する回答結果は、全体で「感じる」が66%、「感じない」が17%でしたが、とりわけ実年世代における「感じる」の比率は、30代=77%、40代=65%、50代=68%、60代=66%と非常に高い値を示しています。
 表中の下段、岸田首相が打ち出した『資産所得倍増計画』に対する受け止め方も、全年代を通じて芳しいものではありません。コロナウィルスへの感染状況が落ち着きを見せ、社会に終息感のようなものが広がる中で、今度は物価の上昇という新たな経済的打撃が到来し、世間はさらなる試練を強いられています。

参院選直前の政党支持率比例代表の投票予定は?
 さて、6月22日には参議院議員の通常選挙が公示されます。直前の情勢はどうなっているのでしょうか。昨年の衆院総選挙以降の、内閣支持率と主要政党の支持率の推移を【表3】にまとめてみました。岸田内閣の支持率の低下にともない、自由民主党の支持率も5月から6月にかけて若干減少したとはいえ、安定基調にあると推測されます。立憲民主党は一桁の支持率から浮上せず、日本維新の会は回復基調にはあるものの、総選挙直後の勢いは感じられません。「自民の一強状況」に大きな変化は見受けられません。

    【表3】内閣支持率と主要政党支持率の推移

 今度は、【図2】を参照してください。「参院選の比例代表でどの政党に投票したいか」の結果を、自民、立民、維新の3政党にかんして、年齢別にプロットしています。4月と6月の形状を比較すると、自民党には大きな変化はありません。ただ、維新の会については、18~29歳、および30代の若年層で比率の上昇が確認できます。また、立民も、40代や50代の中年層で値が上昇しています。

【図2】参院選比例代表の投票予定政党(年齢別)

 野党の乱立という、与党に有利な競争条件下で行われる7月の参院選ですが、コロナへの感染が落ち着くことで、かえって新たな懸念要素としての物価上昇問題がクローズアップされるかもしれません。投開票日までの3週間、どのような展開がみられるのでしょうか。

   ★本調査関しては、https://ssrc.jp/blog_articles/20220618.htmlでご覧ください

【会社概要】
会社名:株式会社社会調査研究センター
代表取締役社長:松本 正生
設立:2020年4月1日
本社所在地:埼玉県さいたま市桜区下大久保255 埼玉大学内
       TEL. 048-714-2063
ホームページ:https://ssrc.jp
事業内容:世論調査等各種調査の受託、世論調査研究のコンサルティングおよびコーディネートなど

 

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