【岡山大学ヘルスイノベーション】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)Vol.109発行

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岡山大学の強みのひとつである医療系およびその関係分野のイノベーション成果を、より世界の多くの一般の方々に目にして頂くために、国際情報発信Webレター「Okayama University Medical Research Updates」Vol.109を2022年12月20日に発行しました!
2022(令和4)年 12月 24日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
 

◆ラットが目を掻く際、「利き足」が存在
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:槇野博史)は、2022年12月20日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界の一般のみなさんなどに届けるWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.109を発行しました。

 本号では、学術研究院自然科学学域(牛窓臨海)の坂本浩隆准教授(神経内分泌学)と、奈良女子大学研究院生活環境科学系(生活健康学領域)の高浪景子准教授(行動神経科学)(前・国立遺伝学研究所 助教)の「ラットが目を掻く際、「利き足」が存在」の研究成果を紹介しています。

 坂本准教授と高浪准教授らの研究チームは、ラットにおいてヒスタミンで両目を刺激した場合、目を掻くのは主に右の後足であること(すなわち、ラットが目を掻く際の「利き足」)を発見しました。さらに、近年マウス脊髄でガストリン放出ペプチド(GRP)受容体という神経ペプチドの受容体が「かゆみ特異的伝達分子」として機能していることが報告されていました。今回、顔面領域のかゆみは、延髄に存在するGRP系によって伝えられていることも特定しました。

 目のかゆみは、主に結膜の炎症によって起こる、とても不快な感覚です。身体の各部位から起こる皮膚のかゆみと異なり、目をこすることは良いことではなく、繊細な結膜上皮を損傷してしまう危険性があります。私たちは、身体のかゆみを伝える脊髄神経系と比較して、これまであまり研究されてこなかった目のかゆみ伝達の神経基盤を研究してきました。その結果、ラットにおいて両目を刺激された場合、目を掻くのは主に「右」の後足であること(つまり、ラットにおいて目を掻く際の足が「右利き」)を発見しました。

 げっ歯類において、身体の大部分からのかゆみ感覚には、脊髄・体性感覚系のGRP系が関与することが知られていますが、今回新たに、延髄・三叉神経感覚系のGRP系が、目から起こるかゆみ伝達に重要であることも明らかにしました。

 「GRP受容体発現ニューロン」に着目し、目からかゆみを伝える延髄・三叉神経感覚系におけるGRP系の作用メカニズムを明らかにしたことは、花粉症などを含む目の難治性掻痒症に関する新たな治療法の開発にも貢献できるものと期待されます。
 

身体のかゆみは脊髄知覚神経系を介して伝えられます。一方で、目を含む顔面領域のかゆみは三叉神経知覚系を介して伝えられると考えられてきました。今回、脊髄(身体)・延髄(顔)レベル、両方に共通してGRP系が関与することを明らかにしました身体のかゆみは脊髄知覚神経系を介して伝えられます。一方で、目を含む顔面領域のかゆみは三叉神経知覚系を介して伝えられると考えられてきました。今回、脊髄(身体)・延髄(顔)レベル、両方に共通してGRP系が関与することを明らかにしました

 

(a) 生理食塩水(コントロール)またはヒスタミンをラットの目へ両側投与した。生理食塩水、またはヒスタミン投与後60分間の後足によるひっ掻き回数(b)、および時間(c) P< 0.05 with Wilcoxon signed rank test.(a) 生理食塩水(コントロール)またはヒスタミンをラットの目へ両側投与した。生理食塩水、またはヒスタミン投与後60分間の後足によるひっ掻き回数(b)、および時間(c) P< 0.05 with Wilcoxon signed rank test.

 

本号で紹介した研究成果を担当した坂本浩隆准教授と奈良女子大学の高浪景子准教授(右)本号で紹介した研究成果を担当した坂本浩隆准教授と奈良女子大学の高浪景子准教授(右)

◆論文情報
 論文名:Footedness for scratching itchy eyes in rodents
     「げっ歯類が目を掻く際、利き足が存在」
 掲載誌:Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences(英国王立協会紀要)
 著 者: Yukitoshi Katayama#, Ayane Miura#, Tatsuya Sakamoto, Keiko Takanami* and Hirotaka Sakamoto*(#同等貢献、*責任著者)
 doi:10.1098/rspb.2022.1126.
 URL:https://doi.org/10.1098/rspb.2022.1126

 

◆Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)
 2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行して来ました。またAAAS(American Association for the Advancement of Science)が提供する、世界最大規模のオンラインニュースサービス「EurekAlert!」を利用し、世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示すリサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学を構築し、「岡山から世界に新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」となるため、強みある医療系分野やその関係する分野の国際的な情報発信を 力強く推進しています。今後も本学から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、医療現場やヘルスケアに活かせる革新的技術、健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なお、本号で取り上げた学術研究院自然科学学域(牛窓臨海)の坂本浩隆准教授との共同研究等も随時、受け付けています。ご興味ご関心のある際は、お気軽にお問い合わせ頂けますと幸いです。

◆OU-MRUバックナンバー(Vol.100~Vol.108)
・Vol.100:Understanding insect leg regeneration (学術研究院医歯薬学域(医)板東哲哉講師)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11026.html
・Vol.101:Oral tumor progression mechanism identified (学術研究院医歯薬学域(歯)河合穂高助教)
 http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11039.html
・Vol.102:Controlled cell death by irradiation with light (学術研究院医歯薬学域(薬)須藤雄気教授)
 http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11087.html
・Vol.103:High-quality growth (学術研究院自然科学学域(工)鈴木弘朗助教)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11455.html
・Vol.104:The determinants of persistent and severe COVID-19 revealed (異分野基礎科学研究所 墨智成准教授)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11473.html
・Vol.105:The dynamics of skin regeneration revealed (異分野融合先端研究コア 佐藤伸准教授)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11519.html
・Vol.106:The skin electrically modelled (学術研究院保健学域 中村隆夫教授)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11558.html
・Vol.107:COVID-19 mRNA vaccines and fever: A possible new link (学術研究院医歯薬学域(医)頼藤貴志教授)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11607.html
・Vol.108:Track changes: A new test to study cancer progression (学術研究院ヘルスシステム統合科学学域(工)二見淳一郎教授)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11645.html

◆参 考
・岡山大学大学院 自然科学研究科
 https://www.gnst.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学理学部
 https://www.science.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所
 https://www.science.okayama-u.ac.jp/~rinkai/
・奈良女子大学
 http://www.nara-wu.ac.jp/index.html

◆参考動画:岡山大学理学部付属牛窓臨界実験所研究室紹介(YouTube 3:05)
 https://youtu.be/t7jJWOBHxEk

 

◆参考情報
・「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
 https://www.okayama-u.ac.jp/eng/research/ou-mru.html
・岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/
・EurekAlert!
 https://www.eurekalert.org/

 

岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所(岡山県瀬戸内市)岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所(岡山県瀬戸内市)

◆本件お問い合わせ先
 岡山大学 学術研究院 自然科学学域(牛窓臨海)准教授 坂本浩隆
 〒701-4303 岡山県瀬戸内市牛窓町鹿忍130-17 岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所
 TEL:0869-34-5210
 FAX:0869-34-5211
 http://www.science.okayama-u.ac.jp/~rinkai/index.html

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

 岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
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 岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
 岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
 岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
 「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
 産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2022年12月期共創活動パートナー募集中:
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001066.000072793.html

 岡山大学『THEインパクトランキング2021』総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

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