大麻健康被害のリスクは若年からの使用と精神疾患の既往・家族歴

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一般社団法人Green Zone Japan代表理事のの正高佑志医師と国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦医師らの研究チームは、国内の大麻使用経験者を対象とした匿名のオンライン調査を実施し、大麻による健康被害のリスク因子について明らかにしました。本研究成果は2022年12月19日にオンライン先行で公開された“Neuropsychopharmacology Reports”誌に掲載されました。本文は以下のURLから無料で閲覧できます。 https://doi.org/10.1002/npr2.12307

研究背景:
日本では大麻が厳罰とされているため、大規模な疫学調査は行われていませんでした。そこで今回の研究チームはSNSを利用した匿名オンライン調査を2021年に実施し、大麻使用に関連した健康被害の実態について調査しました。その結果、大麻の現在使用者の9.5%が大麻使用障害に該当し、また1.5%が残遺性大麻関連障害に該当する可能性が示されました。(2021 正高ら 日本アルコール・薬物医学会雑誌)大麻使用に伴う健康被害が出現するリスクについても国内では大規模な調査報告がないため今回、追加解析を実施しました。

方法と結果:
過去1年以内に大麻を使用した経験がある3142名の回答を、大麻使用障害(大麻依存症)と残遺性大麻関連障害(大麻精神病)の有無でそれぞれニ群にわけて、二項ロジスティック解析を行いそれぞれのリスク因子を検討したところ、大麻使用障害に有意に関連する要因として“大麻の初回使用年齢の低さ“、“家族に精神障害や依存症、自殺などの既往を有する者がいること“、“大麻使用に先行する精神疾患の罹患“、“乾燥大麻以外の大麻製品の使用経験“の4項目が同定されました。また残遺性大麻関連障害については、“大麻の初回使用年齢の低さ“と“家族に精神障害や依存症、自殺などの既往を有する者がいること“の二項目が同定されました。

本研究成果の意義:
本研究は大麻使用が問題となる一部のユーザーが、問題なく大麻を使用可能なユーザーとどのような違いを有するかについての日本国内における初の大規模調査であり、若年時からの使用と本人の精神疾患の罹患、ならびに精神疾患・依存症の遺伝傾向などがリスクとなり得る可能性を示唆するものです。

【研究責任者プロフィール】
正高佑志(まさたかゆうじ)1985年生まれ。熊本大学医学部医学科卒。医師。日本臨床カンナビノイド学会副理事長。大麻についての啓発団体”一般社団法人Green Zone Japan”代表理事。2020年に大麻由来のサプリメント(CBDオイル)が国内の難治てんかん症例に有効であったことを学術的に報告し、国内での治験に向けた取り組みの端緒を開いた。著書に「お医者さんがする大麻とCBDの話(彩図社 2021年)」がある。

【掲載論文についての詳細】
タイトル:Risk factors for cannabis use disorders and cannabis psychosis in Japan: Second report of a survey on cannabis-related health problems among community cannabis users using social networking services
著者:正高佑志(研究責任者)、杉山岳史、赤星栄志、松本俊彦
掲載誌:Neuropsychopharmacology Reports
発行:日本神経精神薬理学会
Online ISSN: 2574-173X

※本文は以下のURLから無料で閲覧可能です。
https://doi.org/10.1002/npr2.12307

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