本実証事業は、愛媛県大洲市(肱川(ひじかわ)河川敷)において、「可搬型のローカル5G 環境を構築し、ドローンを活用した高精細映像のリアルタイム伝送による被害概況の迅速な確認」「取得データを防災・減災ダッシュボードに集約、3Dモデル解析・360°ビュー化による被害概況の高度な可視化」により、自治体の災害時対応業務における各関係機関の状況認識の統一および迅速かつ的確な意思決定の実現に向けて実証を行います。NTTデータ関西が実証コンソーシアムの代表機関として2023年1月から3月まで取り組んでいきます。
【実証概要】
本実証は、ローカル5G&キャリア5Gのハイブリッド接続や5G臨時局のリレー接続など、全国初の取り組みについて、実運用を意識した実証です。
実証フィールド:愛媛県大洲市の肱川(ひじかわ)河川敷(平成30年7月豪雨災害での被災地域)
(1)ローカル5Gを活用できる環境を構築
災害が発生したと仮定し、災害発生の第一報の後、災害発生地点の最寄り拠点となる愛媛県南予地方局大洲庁舎に、ローカル5G臨時基地局を設置。同時に、災害発生地点を当該ローカル5Gのエリアとできるように、リレー伝送が可能となるローカル5G中継装置を展開・設置。
(2)ドローンによる情報収集
災害地点にローカル5G環境を構築した上で、映像伝送用ドローンや測量用ドローンを情報収集に活用。
ドローンにより取得された現場映像について、災害対策本部で3Dモデル解析を行い、高精度の測量情報等をタイムリーに確認することで、災害対策初動判断の材料に活用。
■各社の役割
【背景】
自治体の災害対応では、現場の被害状況等の情報を各部署・機関で迅速かつ確実に共有し、状況認識の統一を図ることが求められます。あわせて、避難指示の発令判断や支援要請、被害現場への応急対策活動などに関する意思決定が迅速かつ的確に行われることが重要になります。
今回の実証フィールドである愛媛県は、愛媛県下20市町が一体となり、災害情報システムや被災者支援連携システムの整備・運用に取り組んでいますが、平成30年7月に発生した豪雨災害では、被害状況について国や自治体から個別に届いた情報を収集することに時間を要し、初動の災害対応に改善の余地を残しました。また、現地派遣によるヘリコプターテレビ中継システム(ヘリテレ)や被害現場の状況を撮影した写真画像は、LTE回線を利用して現場から災害対策本部へデータ伝送していますが、大容量となるため、LTE回線でのリアルタイム伝送にはネットワーク帯域の不足が懸念されます。そのため、取得した災害状況の情報を災害対策本部や各部局へ迅速に伝送・伝達し、情報を活用するためには、新たな技術の活用が求められます。このほか、キャリア5Gやローカル5Gでカバーしきれない郊外や山間部ほど、災害発生リスクも高く、通信インフラが被災するリスクも考慮する必要があります。
このような自治体の災害時の情報収集における課題から、国・県・市町・関係機関による災害初動時の被害概況の迅速な共有につなげるべく、ローカル5G環境を構築し、ドローンを活用した現場の高精細映像をリアルタイムに伝送するとともに、取得した映像データを災害情報システムの防災・減災ダッシュボードに集約し、3Dモデル解析等を行う実証に取り組みます。
【今後の展開】
本実証の実施・検証により、災害時の情報収集における解決ソリューションの提供を目指します。
災害発生リスクが高い山間部や河川等において、キャリア5Gエリア外の被害状況について、ローカル5G 可搬型基地局をリレー接続することでドローン空撮映像や地上カメラ等での撮影映像を伝送し、被害概況の迅速な確認、取得データの定量的な分析(360°3Dモデル化、災害概況の測量による可視化)などの情報収集および共有、意思決定を迅速に支援する高度化ソリューション提供を目指しています。
愛媛県及び県下の市町をはじめ、全国の自治体への展開を考えております。