ケニアでは、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大以降、病院や母子保健サービスへのアクセス低下や、医療品や医療サービスの流通・提供不全などがリプロダクティブヘルスの状況を悪化させています。また、外出規制や就業機会の減少のなかで、ジェンダーに根差した暴力の増加も報告されています。事業地となるナイロビ市のキベラはケニア国内でも特に経済的に困窮した人が多く、より深刻な影響を受けています。
REALsは、同地域が新型コロナウイルス感染症がもたらしている現在の危機を乗り越え、また次の危機が起こってもリプロダクティブヘルスとジェンダーに根差した暴力の予防に関するサービスを安定して続けていけるように、人材育成や啓発資料の開発・提供、現地関連組織の連携の確立などの支援を行います。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、行政による外出規制や感染の恐れから来る外出へのためらい、就業機会の減少・喪失、物流の混乱など、社会全体に大きな影響を与えました。そうした影響により、ケニアでは医療や母子保健サービスへのアクセス低下によるリプロダクティブヘルスの悪化や、家計状況が悪化するなかでの家庭内暴力や児童婚などのジェンダーに根差した暴力の増加として表れています。
本事業を行うケニア・ナイロビ市は、ケニア国内でも新型コロナウイルス感染症の症例数・死亡率が高く、より深刻な影響を被っています。
妊娠や出産について十分な情報を得ることができ、いざというときに頼る先があること、またジェンダーに根差した暴力に脅かされないということは、脆弱な人々が安心して毎日を送り、安定した社会を築いていくために不可欠です。危機が発生した際も、リプロダクティブヘルスの確保とジェンダーに根差した暴力の予防・対応を安定して行える現地の力を育むことが喫緊の課題です。
リプロダクティブヘルスを確保し、ジェンダーに根差した暴力を予防・対応するために
上記の状況に対応するため、REALsは以下の支援を行います。
1.新型コロナウイルス感染症による変化に対応して、地域でのサービス提供を改善する
- 新型コロナウイルス感染症下でのリプロダクティブヘルスやジェンダーに根差した暴力の予防に関する啓発活動
- 500人への心理社会的サポートの提供
- リプロダクティブヘルスやジェンダーに根差した暴力の予防に関するコミュニティの意識向上を目的としたイベントの実施
2.今後また次の危機が起こっても、安定したサービスを提供する力を現地に育む
- リプロダクティブヘルスやジェンダーに根差した暴力対策サービスを提供する50人のコミュニティ人材の育成
- 支援を必要とする人を支援につなぐためのサービスの強化
- リプロダクティブヘルスやジェンダーに根差した暴力対策の提供や連携を担う地方政府人材を15人育成
危機下にある地域で、リプロダクティブヘルスの確保とジェンダーに根差した暴力の予防・対応を、現地の人や社会とともに実現していきます。
本事業は、UNFPAによる「Hope Beyond Covid-19(COVID-19を乗り越えた先の希望)」プロジェクトの一環として実施されます。
■認定NPO法人REALs (Reach Alternatives):
REALsは争い予防に取り組む認定NPO法人です。現在の活動地は、アフガニスタン、シリア、トルコ、南スーダン、ソマリア、ケニアです。REALsは紛争やテロなどの争いを防ぎ、人と人が共存できる社会の実現を目指しています。争いの当事者となった人たちが、主体的に問題の予防や解決に取り組んでいけるように、REALsは現地での人材育成や争い予防のしくみづくり、社会のネットワーク構築などを行っています。