ファーメンステーションがワイン残渣(ぶどう搾りかす)由来のエタノール商用化製造を実現:フードロス/ウェイストをはじめとした未利用バイオマス由来の国産バイオエタノールの技術開発・商用化製造を加速

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 独自の発酵技術で未利用資源を再生・循環させる社会を構築する研究開発型スタートアップの株式会社ファーメンステーション(本社:東京都、代表取締役:酒井 里奈)は、ワインを製造する過程で出る残渣で従来有効に使われないことも多かった「ぶどう搾りかす」を原材料に、高濃度エタノールの製造を実現し商用化いたしました。ファーメンステーションでは、今後、規格外の農産物や食品・飲料製造時に出る副産物といったフードロス/ウェイスト、その他の未利用バイオマスを原材料とし、独自の発酵技術・製造設備を活用したエタノール等の発酵原料の技術開発、商用化製造を加速し、「バイオものづくり」に貢献してまいります。

 

■ファーメンステーションの未利用バイオマス由来エタノールの開発・製造技術
 ファーメンステーションでは、独自の発酵技術で未利用資源をアップサイクルする事業展開を行っており、従来より様々な未利用バイオマス由来エタノールの開発・製造を行ってまいりました。今回手掛けた、ワイナリー・ワイン工場の製造過程で出るワイン残渣(ぶどう搾りかす)は、ワイン製造時に必ず大量に発生する製造副産物であり、一般的にその処理として、肥料や飼料として有償で引き渡す、もしくは産業廃棄物として処理することが中心であり、新たに価値をつけアップサイクルすることはあまり取り組まれていませんでした。国産ワインが普及する中で、国内におけるワイン残渣の排出は増加が見込まれる中、ワイン残渣の未利用な価値に着目しアップサイクルすることの経済的意義、および廃棄処分することによる環境負荷を減らす環境的意義の観点から、アップサイクルを可能とする技術開発が望まれておりました。

 「ぶどう搾りかす」を原材料としたエタノール製造においては、アルコール発酵における主たる発酵対象物となる「糖」が果肉・果汁として既に別用途(ワイン等)の原料として取り除かれており、皮や種子を中心とした残渣が発酵対象物となることから、これまでアルコール発酵における技術的課題が多く存在することが知られておりました。今回、ファーメンステーションでは、独自の未利用バイオマスデータベースおよび発酵微生物ライブラリより最適なレシピ・プロセスを選択し、複数ステップの試験を行うことで、「ぶどう搾りかす」を原材料に商用ベースでエタノール製造を行うことを実現しました。

 ファーメンステーションがこれまでにエタノール化を実現した未利用バイオマスは多岐に渡り、公表済み(商用化)のものでは、米(休耕田・規格外)、炊飯米(余剰炊飯米)、りんご搾りかす(搾汁残渣)、バナナ(規格外)、じゃがいも(規格外)、桃(規格外)、ゆず搾りかす(搾汁残渣)、飴(規格外)等があります。その他、未公表のもの、実験フェーズの未利用バイオマスも多数存在します。また、未利用バイオマスの供給や活用にあたり、ファーメンステーション単独のみならず、未利用バイオマスを排出する企業、アップサイクルエタノールを活用する企業とも広く共創を展開しています。

 ファーメンステーションの製造するエタノールは、未利用資源のアップサイクルであることに加え、由来の明確な原材料をもとに100%国内製造していることで実現するトレーサビリティ、100%再生可能エネルギーで操業する国内工場で製造した環境負荷の低い製造、独自のテクスチャーや香りのコントロールなどの機能性など、既存のバイオエタノールにない特徴を有しております。これらの特徴をいかし、様々な用途に応用が可能な原料として、化粧品・日用品・香水・衛生用品をはじめとした高付加価値市場での活用が進んでおり、加えて、昨今需要が高まるバイオプラスチック原料や燃料等の用途としても引き合いがあります。

 国内において、流通しているバイオエタノールの多くは海外の穀物等を原材料とし国外で製造され輸入されるものが大半ですが、昨今の食糧原料の高騰やバイオエタノールの需要増加等もありバイオエタノールの供給力の安定化や増加が求められております。また、円安等の影響からも国内におけるバイオエタノール調達方法の拡充が求められる中で、ファーメンステーションは、国内で数少ない工業用アルコール(エタノール)の製造許認可事業者として、食糧と競合するような新たな資源を生産・使用せず、国内で大量に発生する未利用バイオマスを原材料に、完全に国内で製造をするモデルを有しており、多様な市場で需要が高まるバイオエタノール需要に応えてまいります。国内でも様々な用途で未利用バイオマス由来のエタノール開発の動きが生まれている中、今後積極的に外部パートナー企業とも連携し、「バイオものづくり」において技術提供や共創を通じた技術開発・製造を行っていく予定です。

■未利用バイオマス由来のエタノール製造を通じたサーキュラーエコノミー実現
 ファーメンステーションのエタノール製造における特徴は、独自の発酵技術や得られるエタノールのみならず、製造を核とした地域での資源循環やサーキュラーエコノミーの実現にもあります。ファーメンステーションでは、エタノール製造における原材料を従来廃棄等されていた未利用資源に置き換えるだけでなく、エタノールの製造過程で生成される発酵・蒸留副産物を、機能性のある化粧品原料等に事業化し、全ての生成物を有価値な商品にアップサイクルし、持続性の高い製造プロセスと事業モデルを構築しています。また、発酵・蒸留副産物は地域の鶏や牛の飼料として利用も進めており、さらにその家畜の排せつ物(鶏糞)を水田や畑の肥料にするなど、廃棄物ゼロの循環型モデルを構築し、地域循環型社会の形成にも取り組んでいます。

 今回の取り組みにおいても、「ぶどう搾りかす」からエタノール製造をする際に出る「ぶどうもろみ粕」(発酵・蒸留副産物)を、工場近隣に位置するJA岩手江刺が運営するキャトルセンター(地域の畜産農家より繁殖和牛を預かり飼養を行うセンター)で牛の飼料として活用を行いました。
 今後、様々な未利用バイオマスを活用したエタノール製造においても、発酵・蒸留副産物の用途開発や資源循環の実現を目指し、継続的な技術開発をすることで、未利用バイオマスが発生する地域や事業者周辺でのエコシステムの形成も模索し、サーキュラーエコノミーの実現にも貢献してまいります。

【ファーメンステーションについて】
 ファーメンステーションは「Fermenting a Renewable Society(発酵で楽しい社会を!)」をパーパスに、未利用資源を再生・循環させる社会を構築する研究開発型スタートアップです。岩手県奥州市に研究開発拠点兼自社工場(奥州ラボ)を持ち、独自の発酵・蒸留技術でフードロス/ウェイストおよびその他未利用バイオマス由来のエタノールやサステナブルな化粧品原料などを開発・製造しています。これらのアップサイクル原料を化粧品・日用品の原料やその他バイオプラスチック等の産業資材の中間原料として製造販売する原料事業のほか、自社ブランドによるオーガニック化粧品事業、原料提案から製品開発まで一貫して引き受けられる化粧品・ライフスタイル製品等のODM/OEM事業を行っております。また、食品・飲料工場の製造過程等で出る副産物・食品残さなどの様々な未利用資源を活用しアップサイクルすることで、新たな高付加価値の商品を生み出す事業開発を大企業との共創を通じて取り組んでおります。
 エタノールの製造過程で生成される発酵粕は、化粧品原料や地域の鶏や牛の飼料として利用し、さらに鶏糞は水田や畑の肥料にするなど、廃棄物ゼロの循環型モデルを構築し、地域循環型社会の形成にも取り組んでおります。
 また、地域社会、環境、カスタマー、従業員に対して多面的・包括的な利益を生む事業活動を実践する企業を認証する国際的な制度「B Corp 認証」を取得しています。

会社名                  : 株式会社ファーメンステーション
代表者                  : 代表取締役 酒井 里奈
所在地                  : 〒130-0005 東京都墨田区東駒形2丁目20-2
設立                     : 2009年7月7日
事業内容               : フードロス/ウェイストおよびその他未利用バイオマス由来のエタノール・発酵原料の研究開発および製造販売、化粧品・雑貨OEM/ODM、未利用資源を活用した事業共創、自社オーガニックブランド事業
自社サイト            : https://fermenstation.co.jp/
オンラインショップ: http://www.fermenstation.jp/
共同開発商品紹介 : https://fermenstation.co.jp/collabo/#products
OEM/ODMご案内 :  https://fermenstation.co.jp/oem/

このニュースに関するお問い合わせは、下記までお願いいたします。
株式会社ファーメンステーション 北畠 Tel:03-6206-9485  E-mail:info@fermenstation.jp

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