今回の調査では、新たな設問「インパクト投資を行うことに関心があるのはなぜか?」に対し、「インパクト投資を通じて社会課題の解決に貢献できそうだから」(8.7%)と一定割合の回答がありました。一方で、「投資リターンが期待できそうだから」という選択肢には20代、30代の肯定的な回答の割合が約20%と最も高く、多くの金融機関がインパクト投資に参入する中で、インパクト投資が経済的なリターンも同時に追求するものであると若年層にも認識され始めていると捉えています。
<本調査結果のサマリー>
【投資経験者】
・投資経験者は46.0%と、昨年度から1.6%減少し、過去4か年において、半数を下回る結果となっている。
(2022年度46.0% / 2021年度47.6% / 2020年度45.2% / 2019年年度 44.8%)
【インパクト投資の認知度】
・ インパクト投資の意味を多少なりとも知る認知度は7.1%。初めて7.0%台に突入した。
(2022年度7.1% / 2021年度 6.6% / 2020年度 6.1% / 2019年度6.8%)
・ 世代別では、投資経験のある20代、30代の認知度が約3割と高い。
【潜在顧客層】
・ インパクト投資を実際に行ってみることに17.7% の消費者が関心を持つ。
・ これは認知度(7.1%)より高いため、社会・環境課題解決の機会があれば活用してみたい層が一定規模いることが判明。
・ 認知度と同様、投資経験の有無がインパクト投資実施への関心度を大きく左右する。
・ また認知度同様、20代、30代でインパクト投資実施への関心度が高い。
【潜在顧客層が関心を持つ投資分野】
・ 「投資によって社会・環境課題解決を支援したい」と考える分野は、例年通り、再生可能エネルギー、環境、医療、介護。
・ 20代、30代は性別にかかわらず子育て分野への関心が高く、20代、30代の男性はインフラや都市開発への関心が高い。
【機関投資家がインパクト投資を行うことへの肯定度】
・ 公的年金、企業年金、生保がインパクト投資を行うことに対しては、インパクト投資関心度と同程度の約20%が肯定的に捉えている。
【インパクト投資商品を扱う金融機関への選好度】
・ 「インパクト投資商品を扱う金融機関との取引を新たに開始(または拡大)する意向があるか」の設問に対しては、男女問わず、若年層ほど肯定的な回答をした割合が高い。
【マーケティングインサイト】
・ ターゲットセグメントとしては、投資経験ある20代及び30代、加えて個人金融資産を多く有する60歳以上の世代が有望。
・ 商品の訴求ポイントとしては、社会貢献性が幅広い世代に有効なテーマ。
・ 投資リターンを重視する20代、30代には、他投資商品と遜色ないリターンを訴求することが効果的。
<グラフ集>
社会変革推進財団(SIIF)について
社会課題の解決と多様な価値創造が自律的・持続的に起こる社会を目指し、自助・公助・共助の枠組みを超えた社会的・経済的資源循環のエコシステムの実現を目指します。ソーシャル・インパクト・ボンドをはじめとするインパクト投資のモデル開発や実践、普及のための環境整備、調査研究・政策提言に取り組んでいます。
SIIFは日本財団から助成を受けこれらの活動を行っています。