https://ma-succeed.jp/content/agreement/post-12608
譲渡企業(譲り渡し企業):株式会社金井酒造店
・事業概要:清酒酒造・販売
・従業員数:20人 ・創業:1868年(明治元年) ・譲渡理由:後継者不在のため
↓吸収分割↓
譲り受け企業:くじらキャピタル
・事業概要:日本初の中小企業DX特化ファンドを運営。経営権を取得し、ハンズオンで経営に参画。
・従業員数:9人 ・創業:2018年 ・譲り受け理由:事業拡大
※M&Aサクシード上に金井酒造店の案件が掲載された翌日に、くじらキャピタルが最初のメッセージを送り、6カ月後に契約締結。
※M&Aサクシード経由の金井酒造店へのオファー数:さまざま業種の全国11社
■従業員の半数がエンジニア出身。初日にECサイトを立ち上げ、スピーディーにDX推進
ミッションに「世界を、素敵な会社で埋め尽くす。」を掲げるくじらキャピタルは、金井酒造店の酒造事業の経営権を取得し、ハンズオンで自らリスクを負担する株主として経営に参画。価値を上げ、次の方にお渡しする手法を用い、金井酒造店の永続的な成長にコミットしています。くじらキャピタルの従業員の半数はエンジニア出身で、金井酒造店のDXをスピーディーに推進(エンジニアを有するファンドは稀です)。くじらキャピタルの4人が日替わりで金井酒造店を訪れ、佐野社長と既存の従業員とともに、再成長を推進しています。
■金井酒造店で実施した過去1年間の取り組み
・M&A初日にECサイトを立ち上げる。ECによる売上高が全売上高の10%に。
・管理部門のDX(会計クラウドソフトやEC連動POSレジを導入し、生産性向上。スピーディーな月決算を実施)、営業部門のDX(Slack, Asana, Backlog, Google Workspaceなどコミュニケーション/プロジェクト管理ツールの活用)。
・醸造工程のDX:麹(こうじ)造りでは、数日間にわたり、泊まり込みで夜通し1時間に1回温度や湿度の確認が必要。そこで、麹造りを行う麹室(こうじむろ)に電子温度・湿度計を入れて、一定の閾値を超えた場合は隣室で仮眠中の杜氏にBluetoothで知らせる仕組みを実験的に導入。(熱とアルコールで電子温度計が壊れてしまうなど、難しい試みだが、本年度も挑戦する予定)
・コーポレートアイデンティティーやボトルデザインなどを一新。
■清酒の輸出金額は10年連続過去最高。金井酒造店は輸出も強化
清酒の国内需要は減少しているものの、海外需要は増加しています。2021年の清酒の輸出金額は前年比66%増の約402億円で、10年連続で過去最高を記録(注1)しています。2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、海外の品評会で多数の酒蔵が評価されるなど、日本酒が世界的に注目されつつあります。そこで、金井酒造店では、輸出にも力を入れていきます。
■株式会社金井酒造店 代表取締役社長 佐野 博之 様 コメント
私で6代目蔵元になります。代々佐野の人間が酒造りを営んできました。大手企業に勤めた後、1995年に戻り、2021年に70代の父からバトンを引き継ぎました。日本酒の業界はあまりよくなく、ある時期まで廃業も視野に入れていました。祖父母や私の苦労を見てきた大学生の娘から、「継ぐ気はない」と告げられたからです。酒蔵は商習慣が独特で、製造工程も長期にわたるため、私は今50歳なのですが、「私が動けるうちに何とかしないと」と悩み、さまざまな方策を探し、くじらキャピタルさんに出会いました。
ファンドとご一緒することに、心理的バリアはさほどありませんでした。ビジネスの教科書では「M&Aにおいてファンドは海外では普通」と書かれています。ハンズオン(出資者が投資先企業の経営に直接参画)で企業価値を上げていくイメージです。父の世代からするとファンドに「ハゲタカ」のイメージがあったようで、その誤解を解くのが大変でした。竹内さんと食事をして人柄にも触れてもらいました。ファンドの資本受け入れによるメリットや必要性などを丁寧に説明し、最終的には「任せる」と父が言ってくれました。それで、私に代替わりするタイミングで、竹内さんとご一緒することに決めました。
■くじらキャピタル株式会社 代表取締役社長 竹内 真二 様 コメント
日本酒は創業当初から検討対象にしていました。国内の消費や愛飲者の数は減っていますが、輸出は倍々ゲームで伸びています。日本固有のプロダクトで普遍的な価値があるもの=「SAKE」として必ず人気になると考えていました。とはいえ、酒蔵ならどこでもいいわけではなく、2年くらい探し続けました。「M&Aサクシード」で金井酒造店さんと巡り合って、「ここだ!」と思いました。
佐野さんにお会いし、お酒もいただきました。大吟醸と「ハルザケ」の原型となる生酒が抜群においしかったです。従業員20人の小さな蔵にもかかわらず、純米酒も大吟醸も造ることのできる技術力。実力がある蔵だと理解しました。そして佐野さんの柔軟さ。6代目の責任感とチャレンジ精神の両方を持ち合わせている。私たちのスキルとかけ合わせて必ず成功すると確信しました。
■株式会社M&Aサクシードよりメッセージ
本成功事例は、多くの選択肢のなかから、M&Aによって両社の強みを生かして成長する未来を描いた「M&Aサクシード」ならではの事例です。金井酒造店佐野 博之社長は、数年間にわたり、今後の経営について悩まれた末、さまざまな方々に相談されました。そして、「M&Aサクシード」に登録したところ、物流、農業、輸出入、地方創生、不動産、ギフト、ECなどさまざまな業種の全国11社(関東、関西、北信越や九州など)からオファーがあり、くじらキャピタル竹内社長からは掲載翌日に即座にオファーがありました。くじらキャピタル竹内社長は、約2年間、日本酒メーカーを探されてきたなかで、金井酒造店様の技術力、佐野社長の責任感とチャレンジ精神に感銘を受け、お互いに納得するまで何度も対話を経たうえで、最初のやりとりから6カ月間で契約締結しました。
本事例の二社様と同様に、「M&Aサクシード」では、「M&A経営」(M&Aを取り入れた「掛け算」の経営)を中核にし、経営者自らが積極的に活用しています。経営者が直接対応するケースが多いため、判断のスピードが速く、72%が半年未満で成約(注2)しています。また、譲渡企業様と譲り受け企業様が異業種だったのは48%(注2)でした。
「人生を託せる、出会いのために。」をミッションに掲げる「M&Aサクシード」は、M&Aが経営戦略における選択肢として日本に普及するよう、今後も努めてまいります。
■金井酒造店について
・神奈川県秦野市唯一の酒蔵。名水で知られる丹沢山系の伏流水を使って丁寧に醸した清酒で知られ、主力ブランドである「白笹鼓」(しらささつづみ)は神奈川県下で広く愛好されている。
・特定名称酒8種、普通酒およびリキュールと幅広いラインアップを擁する。「軸足はずらさず、片足は遊び心があっていい」という社風があり、クラシックの名曲を聴かせて醸造した「モーツァルト シリーズ」や春に限定発売する桜色の日本酒「ハルザケ」も販売、チャレンジを続ける。
・「令和2年東京国税局酒類鑑評会 清酒燗酒部門、清酒純米燗酒部門 優等賞」「令和2年全国新酒鑑評会 入賞」をはじめ、数々の賞を受賞。
詳細(二社の対談)に関してはこちらをご参照ください。
https://ma-succeed.jp/content/agreement/post-12608
■参考:日本酒の酒蔵数・出荷量ともに年々減少。コロナ禍の影響が追い打ちをかける
清酒製造業の事業者数は、令和3年度調査によると1,167(注3)で、清酒の酒造免許をもつ酒蔵は50年前と比べて半数以下となっており、さらに毎年数十単位で減少しています(注4)。休廃業の理由の多くは、後継者や職人の担い手不足、清酒出荷量の減少(ピーク時の1973年比7割減)(注1)による経営難などです。さらに、コロナ禍の影響により、飲食業界が打撃を受け、清酒出荷量の減少に追い打ちをかけています。酒税法の規制により、清酒酒造免許の新規取得は非常に困難で、新規参入で日本酒を醸造するのは実質不可能といわれており、日本酒を造る酒蔵を守っていくことは、日本文化を守っていくことにつながります。
(注1)国税庁「酒レポート 令和4年3月」 (注2)M&Aサクシード 2021年全成約データ
(注3)国税庁課税部酒税課「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和3年調査分)」
(注4)国税庁「酒類等製造免許場数の推移」
■法人・審査制M&Aマッチングサイト「M&Aサクシード」について
「M&Aサクシード」は、譲渡企業と譲り受け企業をオンライン上でつなぐ法人・審査制M&Aマッチングサイトです。譲渡企業は「M&Aサクシード」に会社や事業の概要を匿名で登録でき、譲り受け企業はその情報を検索して閲覧できます。譲り受け企業は興味を持った譲渡企業へ直接アプローチできるため、譲渡企業にとっては、潜在的な資本提携先の存在や、自社の市場価値を把握するきっかけになります。これにより、譲渡企業は経営の選択肢の一つとしてM&Aを早期から検討でき、経営者の選択肢が広がります。2017年11月にサービスを開始し、全国の譲渡案件が累計13,400件以上(掲載中4,800件以上)登録され、利用中の譲り受け企業は8,200社以上です(2022年8月時点)。URL:https://ma-succeed.jp/
■株式会社M&Aサクシードについて
「人生を託せる、出会いのために。」をミッションとし、法人・審査制M&Aマッチングサイト「M&Aサクシード」を運営。同サービスは、2017年11月に株式会社ビズリーチの新規事業としてサービスを開始。2020年2月、グループ経営体制移行にともない新設したビジョナル・インキュベーション株式会社が2021年10月まで運営。組織再編にともない、2021年11月より、株式会社M&Aサクシードとして、ミッションの実現を目指す。URL:https://www.visional.inc/ja/ma-succeed.html
■Visionalについて
「新しい可能性を、次々と。」をグループミッションとし、HR Tech領域を中心に、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するさまざまな事業を展開。「ビズリーチ」をはじめとした採用プラットフォームや、人財活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズを中心に、企業の人材活用・人材戦略(HCM)エコシステムの構築を目指す。また、M&A、物流Tech、サイバーセキュリティ、Sales Techの領域においても、新規事業を次々に立ち上げている。URL:https://visional.inc