高知県は、令和3年1月に始動し実証運用してきた農業データ連携基盤「IoP(Internet of Plants)クラウド」(通称「SAWACHI(サワチ)」)の本格運用を開始します。
今後は、これまで実証にご協力いただいてきた限られた生産者だけでなく、希望する県内の生産者であればどなたでもSAWACHIを利用することが可能となり、営農に関するデータやお知らせ等を、手軽に確認・分析できるようになります。
SAWACHIをきっかけとして、より多くの生産者にデータに基づいて生産性を高める「データ駆動型農業」を実践していただくことで、「もっと楽しく、もっと楽に、もっと儲かる」農業の実現を目指します。※1
■SAWACHIの機能とその利用
SAWACHIにスマートフォンやパソコンからログインすると、いつでもどこからでも、測定している温度などの圃場環境データを簡単に確認できます。測定する機器は、SAWACHIとの連携設定ができればメーカーや機種によらず対象となります。また、出荷量や気象など、営農に関連する他の様々な情報も一緒に確認することができます。※2
※1 この取り組みは、高知県、JAグループ高知及び県内国公立大学ほかで構成する「高知県Next次世代型施設園芸農業に関する産学官連携協議会」が、内閣府交付金を活用して取り組んでいる『”IoP(Internet of Plants)”が導く「Next次世代型施設園芸農業」への進化』プロジェクト(通称”IoPプロジェクト”)により実施しています。
※2 SAWACHIへの利用申請のほか、圃場環境、機器稼働状況、カメラ画像の閲覧には機器の導入とSAWACHIとの連携設定等が、出荷量の閲覧には県とJAへの申請が必要です(詳細は後述)。
IoPプロジェクトは産学官連携での生産者支援の取り組みであり、これらのデータは生産者本人だけでなく、県の普及員やJAの指導員も営農支援に活用します。また、研究や製品開発にも活用し、より良い機器やサービスの創出を通じた生産者へのフィードバックにもつなげていきます。
■SAWACHI利用者の声
令和3年1月からの実証運用で既にSAWACHIを利用していただいている生産者の皆様からは、
・いつでもどこでもハウスの状況を確認でき、時間短縮や安心感につながっている
・環境データだけでなく、いろいろなデータを一緒に見られるのが便利で楽しい
・他の人に相談するために自分のデータを見せるのが簡単
・高知県からの栽培技術や病害についての情報が非常に役立っている
という声をいただいています。 利用者の声はIoPホームページの「活用事例」にも掲載しています。
※IoPホームページの活用事例URL → https://kochi-iop.jp/case/
■SAWACHIを使うには
SAWACHIの利用対象は、高知県で営農する生産者です。利用申し込みにより、IDとパスワードが発行され、気象、市況、お知らせ等を閲覧できるようになります。出荷量データは、県とJAに提供同意書を提出することで閲覧可能となります。これらは、各農業振興センターまたは各JAの支所等で受け付けています。
お使いの機器の圃場環境データを閲覧できるようにするには、
その機器とSAWACHIの両方で設定をする必要があります。機種ごとに方式や手続きが異なりますので、高知県農業イノベーション推進課にご相談ください。
なお、 SAWACHIは現在無料で利用することができます(通信料は別途必要)。
今後、もし本サービスが有料になる場合は、高知県はその詳細をユーザーに事前に通知したうえで、継続利用についての同意を得るものとします。
■より良い機器やサービスの創出に向けて
IoPプロジェクトでは、高知県や高知大学その他高等教育機関等から100名を超える研究者が参画して様々な課題に対する研究に取り組んでいます。一例として現在、AIによる園芸作物の生理・生態情報の可視化や、画像からの花数・実数の自動集計が、実証に協力していただいている生産者の一部の圃場を対象としてSAWACHIに実装されています。
また、高知県は、IoPを支える人材の育成のため、令和4年8月にIoP技術者コミュニティを発足しました。このコミュニティでは、SAWACHIを使ったクラウド連携、デバイス製作及びアプリ開発の基礎を学ぶ講座の開催や、SAWACHIに関する技術サポート、参加者交流を行っています。
IoP技術者コミュニティについては、高知県ホームページをご覧ください。
※IoP技術者コミュニティ → https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/160601/2022061000094.html
こうした研究及び開発を通じて、今後もより良い機器やサービスの創出に向けて取り組んでいきます。