千年以上前から栽培されてきた北摂栗。9月上旬から10月上旬にかけてその収穫が行われている。中でも栗の王様といわれる「銀寄」(ぎんよせ)は栗の最高品種と位置付けられ、上品な甘さで人気がある。毎年10月に北摂栗生産者連絡協議会がアステ川西ぴぃぷぅ広場で開催している「北摂栗の即売会」は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、4年度も中止。
北摂栗はその大きさや形、味の良さといった点から、生産者の多くは「銀寄」をその主力品種として栽培している。
生産農家の大向善信さん(おおむかい よしのぶ)が栽培する主な品種は、「銀寄」「筑波(つくば)」「有磨(ありま)」「ポロタン」「丹沢」の5種類。年間の生産量は約1200kgでその約6割を銀寄で占める。大向さんが家族3人とアルバイト2人で作業を行う自宅から少し離れた圃場では約250本の栗の木を栽培。栽培面積は80アールほどで、例年9月上旬から10月上旬にかけて収穫している。大向さんは「今年は夏に雨が多かったおかげで、例年より全体的に大ぶりです。温度の寒暖差が出てきたので甘く上質のものを味わってもらえると思います。」などと話していた。
<北摂栗について>
大阪府、京都府と隣接するここ北摂地区は、古くは千年以上前から栗栽培が行われており、朝廷や幕府の将軍もこの地区の栗を口にしたという伝統ある産地といわれている。また、大正時代には、日本で初めて海外へ輸出を行うなど、その名を世界へと響かせていた。しかし、昭和60年代からの住宅開発や生産者の高齢化、需要の低下などにより生産量は減少。そこで、川西市と宝塚市、猪名川町の生産者たちが力をあわせ、平成17年に「北摂栗生産者連絡協議会」を結成。昨年は約15トンを出荷。うち川西市では約2.6トンを出荷した(個人販売を除く)。
<「銀寄」について>
栗には多くの品種があるが、北摂栗では主に「銀寄」という品種を中心に栽培。大阪府能勢町を中心としたこの北摂地区で誕生し、以来、栗の最高品種と位置づけられている。実がふっくらとして大きく、粉質で非常に甘く、「栗の王様」とも呼ばれている。