事業用自動車の事故削減において、健康に起因する事故の増加への対応は国土交通省においても重点施策とされています。日本交通においても、社員の健康増進、健康に対する意識の向上、安全衛生面の質の向上を目指すことで、社会の移動インフラとしての責務を果たしてまいります。
約8,000名のタクシー乗務員から対象者の受診を管理
日本交通では2022年6月に新たに、CWO(Chief Wellness Officer)が管掌し各タクシー事業所の責任者が参加する「健康管理プロジェクト」を立ち上げ、日本交通の健康保険組合である「日本交通健康保険組合」と連携を図りながら、乗務員の健康管理を強化していくこととなりました。
日本交通および日本交通の子会社に所属するタクシー乗務員約8,000名が年2回受診する健康診断の結果に基づき、一定の基準により抽出した該当者に対して、無呼吸症候群(SAS)の簡易検査の実施、乗務前の血圧測定、脳ドック受診の推奨を図り、健康状況、受診治療状況の把握を行ってまいります。また、万が一の事故発生時に健康起因が疑われる場合も、同様の対応を行っていくこととします。日本交通の秋の定期健康診断に先立ち、2022年9月より各事業所で展開してまいります。
実施する管理項目について
〇無呼吸症候群(SAS)
定期健康診断においてBMI30以上と診断されたタクシー乗務員に対して簡易検査キットを配布し、簡易検査の結果「要診断」「早期受診」に該当した者に対して呼吸器外来などの受診を指示します。
〇血圧測定
定期健康診断の2次検診で高血圧と診断された乗務員、および現在治療中のタクシー乗務員全員に対して、毎出番乗務前に血圧の測定を実施します。測定結果で高い数値が出た場合は、乗務を見合わせるものとします。
〇脳疾患
定期健康診断において高血圧、糖尿病、動脈硬化と診断されたタクシー乗務員のうち、2つ以上の健康リスクのある者から加齢、喫煙を考慮して抽出した該当者に対して、脳ドックの受診を推奨します。
なお今後は、血圧測定の全タクシー乗務員への拡大、68歳以上のタクシー乗務員の認知症検査受診の義務化を計画しています。
日本交通はウェルネス経営宣言のもと社員の健康増進に取り組んでいます
日本交通は2015年にウェルネス健康宣言を行い、各事業部門におけるCWO(Chief Wellness Officer)制度を導入し全社横断的な健康増進施策を進めています。「社員が健康でなければ安全な運転は提供できない」という考えのもと、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群など交通事故発生の原因となる疾患を事業リスクとなる健康課題ととらえ、健康リスクの見える化や検査推奨を積極的に進めてきました。日本交通はこれからも、安全・安心なタクシーサービスの提供に努めてまいります。