当初アステップで販売されている竹歯ブラシは、最もスタンダードな平型のもので1本あたり100円(最小販売単位は10本で1,000円)、1カートン(800本入り)での販売が卸価格となる1本あたり40円での販売だった。
これが9月1日より、最小販売数量の10本購入からでも卸価格の1本あたり40円で購入可能になる。丸型も同様に卸価格での購入が可能になった事に加え、全種12円〜23円の値下げも行った。
少量でも卸価格での提供が可能となった理由として、竹歯ブラシ商品の安定化がある。
昨年11月の販売開始以来、顧客の要望に応じて歯ブラシ本体の長さや個包装箱の改良を行い、新旧商品が混在した状態での商品管理に時間と労力をとられてきたものが、8月末でようやく全ての商品が改良後の新商品に入れ替えが完了した。
また、商品生産を重ねることで不良品率も下がり、時間と手間が削減されたため、この度の卸価格での供給と値下げが可能となった。
販売当初はどのホテルも「プラスチック資源循環促進法」には対応が鈍く、加えて、コロナ禍で客足が遠のく宿泊業が、プラスチック歯ブラシよりも高い竹歯ブラシを採用する理由はない。それでも一部のラグジュアリーホテルや、新規開業のホテルなどはプラスチックの代替品としての竹歯ブラシに興味を示し、徐々に採用施設が増えていった。結果、昨年11月より竹歯ブラシを販売して以来、10か月経過した現在では120万本生産を突破した。
今回の価格改定は、この勢いを後押ししたいという願いもある。
南北で顕著な竹歯ブラシの需要傾向。
竹歯ブラシで早くに相談があったのが観光産業の盛んな北海道と沖縄。北海道は温暖化により、本来の売りである「夏でも過ごしやすい北海道」のイメージが損なわれている。また沖縄は周囲が海で囲まれた環境のため、プラスチックゴミ問題は本州よりも深刻である。
これら2県から端を発し、竹歯ブラシを採用するホテルや宿泊施設は徐々に増加した。これに大手商社との提携が実現し、さらに販路を全国的に広げていく予定だ。今回の値下げは、従来の「竹歯ブラシは値段が高い」というイメージを払拭し、より一層ホテルが導入しやすいようにした形となる。
アメニティバイキングから見えた宿泊客の需要。
アステップが竹歯ブラシを販売する際に、その置き方にも同時に提案を行っている。それは「歯ブラシは備品」という考えだ。今やどこでも見かける「アメニティバイキング」のスタイルは、言い換えれば「アメニティ取り放題」であり、これが宿泊客のニーズを可視化した。実際にアメニティバイキングを実施したホテルでは、シャワーキャップや櫛などはほとんどの客が取らなかったのに対し、歯ブラシだけはほとんどの客が持っていく。
つまり、あれこれといろんなアメニティを取り揃える必要より、需要のあるものを絞って設置するなら最低限「歯ブラシ」があればアメニティは事足りるということ。そして他のアメニティを削減した分、歯ブラシに予算を投じ、グレードの良い歯ブラシを1人あたり1本客室に配置し、繰り返し使ってもらえば余分な歯ブラシの消費がなくなるのである。
歯ブラシに歯磨き粉がついていない方が良い理由
多くのホテルで見かける歯ブラシは大体歯磨き粉とセットになっているが、これでは歯磨き粉が足らなくなった場合に、歯ブラシとセットになった状態で歯磨き粉を提供しなくてはならない。これは歯磨き粉という「消耗品」と歯ブラシという「備品」をセットにしてしまっている弊害である。
なので、アステップの歯ブラシには歯磨き粉チューブは付いていない。では実際の宿泊施設ではどう対応するのか。
アステップでは歯磨き粉をアメニティバイキングの取り放題形式で必要に応じて取ってもらう方法を提案している。
ロングステイ客の多い宿泊施設なら、内容量の多い歯磨き粉チューブを歯ブラシと一緒に部屋に設置しても良い。。一律に同じアメニティを置くのではなく、そのホテルの宿泊傾向にあわせたアメニティの設置を考え、対応していくことが必要となる。
歯ブラシは備品であり、歯磨き粉は消耗品。この分離ができないと、歯ブラシは永久に「消耗品」の枠から外れることができない。
プラスチック歯ブラシ並みの普及を目指して
とはいえ都市部のショートステイが多いビジネスホテルでは、やはり歯ブラシと歯磨き粉チューブがセットになったものが最も利便性が高く、効率的で価格も安い。今後は大手商社と共同で、歯磨き粉チューブとのセット品にも対応していく。竹歯ブラシもさらにコストを抑えた廉価版を検討、開発に向けて動いている。
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