逆相HPLCにおける「ニコチンアミドモノヌクレオチド代謝物」の一斉分離に成功

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 ナカライテスク株式会社(本社:京都市中京区、代表取締役社長:半井大、以下、「ナカライテスク」)は、この度、食品中に含有している老化防止やがんの抑制に作用することで知られているニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)とその代謝物を、逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)を用いることで、分離して検出することができました。本研究成果は「Analytical Biochemistry」に掲載されました。

誌名:
Analytical Biochemistry, 2022, 655, 114837.
DOI: 10.1016/j.ab.2022.114837
論文名:
Separation of nicotinamide metabolites using a PBr column packed with pentabromobenzyl group modified silica gel
著者名:
Makoto Ozaki, Motoshi Shimotsuma, Tsunehisa Hirose

 ニコチンアミド類は補酵素の一種であり、糖尿病・認知症・がんなどの老化関連疾患への関与が報告されているサーチュインの活性化に関係しています。サーチュインを活性化させることで、ミトコンドリアのエネルギー生産やテロメアの保護作用が向上すると考えられています。その中でもNMNは、がんの抑制や老化防止に効果があるとされており、健康食品やサプリメントなどが販売されています。そのため、NMN を含めたニコチンアミド類をバイオマーカーとした分析技術の確立が求められています。

 しかしながら、ニコチンアミド類は親水性が高く、逆相HPLCで頻繁に用いられるC18カラムは疎水性相互作用を利用して分離するため、保持が小さく各化合物を分離することができません。ナカライテスクが開発したペンタブロモベンジル基を修飾したCOSMOSIL® PBrカラム(PBrカラム)は強い分散力を有しており、逆相HPLCで親水性化合物の分離が可能です。そこで、PBrカラムを用いてニコチンアミド類の合成に関与する 11 種類の化合物の一斉分離を試みました。本論文では、C18カラムでは分離することが難しい高親水性の11種類のニコチンアミド代謝物を、PBrカラムを用いることで11種類全ての化合物を非常に簡単な分離条件でベースライン分離することに成功しました(Fig. 1)。また、食品中に含有している老化防止やがんの抑制に作用することで知られているNMNなどの代謝物を、不純物由来のピークとは分離して検出することができました。

 これらの結果により、これまで困難であったNMNを含めたニコチンアミド類の分析技術の確立が行えるようになり、より一層、老化抑制、抗老化に関する研究が進むことが期待されます。

【COSMOSIL®について】
COSMOSIL(コスモシール)は、ナカライテスクが販売しているHPLC用パックドカラムのブランドです。COSMOSILは、逆相クロマトグラフィーで最も汎用的に使用されているC18カラムをはじめ、様々な固定相カラムを幅広くラインアップしています。その中でも「分離不十分」と「保持が小さい」といったC18カラムの課題を解決することが可能、且つC18カラムに近い感覚で使用できる製品を取り揃えているのがCOSMOSILの特長です。
 なお、今回取り上げたPBrカラムは、C18カラムで「保持が小さい」時に効果を発揮する逆相HPLC用カラムです。

【ナカライテスクについて】
ナカライテスクは1846年創業の和漢薬業から始まり、現在ではリサーチケミカル(試験研究用試薬)、ファインケミカル(化成品)、関連機器・機材を中心に、次代の科学を支える製品と技術提供を行っています。国内最大級の試薬・機材掲載数を誇る研究支援オンラインカタログe-Nacalai Search Versionの提供等も通じ、医療や生命科学、エネルギー、材料工学、エレクトロニクスなどの幅広い分野の研究者や技術者の支援に取り組んでいます。
https://www.nacalai.co.jp/

<ナカライテスク株式会社の概要>
所在地 :京都市中京区二条通烏丸西入東玉屋町498番地
代表者 :代表取締役社長 半井 大
創 業 :弘化3年(1846年)
設 立 :昭和33年(1958年)
営業品目:リサーチケミカル(試験研究用試薬)、ファインケミカル(化成品)、関連機器・機材

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