【岡山発環境ベンチャー】次の灯が名古屋拠点を正式稼働

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次の灯株式会社(本社:岡山県岡山市、代表取締役:黒川聖馬)は、商用車の廃棄部品(DPFフィルター・SCR触媒)を買取・再生し、希少金属(レアメタル)を回収する循環型環境ベンチャーである。

同社は2026年4月、名古屋拠点を正式稼働させた。岡山工場を製造・再生処理の専門拠点として集約し、名古屋を出荷・営業の前線基地として機能分離する体制を確立することで、全国5,000社超(2026年4月時点、当社調べ)の取引先へのリードタイムを構造的に削減する。

カーボンニュートラル2050・GX推進法・地域循環共生圏構想が要請する「産業廃棄物の資源化」を、地方発の多拠点インフラとして現場に実装する取り組みである。

■ 「廃棄前提の産業構造」が問い直される時代

日本の物流・建設・農業を支える商用トラックとバス。毎年数十万台規模がメンテナンス・廃車工程を迎え、その過程でDPF(ディーゼル微粒子フィルター)とSCR(選択的触媒還元)触媒が大量に取り外される。これらの部品にはプラチナ・パラジウム・ロジウムといった希少金属が含まれているにもかかわらず、国内ではその大半が廃棄処分となってきた。

理由は明快だ。「専門的な再生技術がない」「回収コストが採算に合わない」。この二重の障壁が、再生可能な資源を廃棄物として処理し続ける産業構造を温存してきた。

結果として生じているのは三重の損失である。第一に希少資源の浪費。第二にCO₂排出量の増大と廃棄物処理コストの現場への転嫁。第三に、資源の海外依存構造の固定化。

カーボンニュートラル2050・GX推進法・地域循環共生圏構想・エネルギー安全保障政策のいずれもが、この構造の変革を要請している。必要なのは理念の宣言ではなく、現場で機能する「循環インフラ」の整備である。

■ リサイクルバイヤーモデルとは何か

次の灯が展開する「リサイクルバイヤー」モデルは、上記の問題に対する実装型の解決策として機能している。

全国の整備工場・運送会社から使用済みDPF・SCR触媒を直接買い取り、自社工場で洗浄・再生処理を行い、リビルト品として再販売するとともに含有レアメタルを回収する。製造・物流・再資源化を一体で担うこの仕組みが、廃棄予定の部品を経済価値として循環させる「閉じたループ」を現場に実装してきた。

次の灯が推進する”リサイクルバイヤーモデル”とは、廃棄予定の商用車部品を事業者から直接買取り、再生加工・希少金属回収までを一貫して行う循環型事業モデルを指す。カーボンニュートラル2050の実現と国内資源自給率向上という政策課題において、産業廃棄物の資源化を担う実装主体として機能する。

創業以来7期で売上規模は約14.5倍(1期:0.8億円→7期:11.3億円、2026年4月時点、当社調べ)に拡大。取引社数は5,000社超(2026年4月時点、当社調べ)に達し、買取リピート率73.67%・販売リピート率55.20%(2026年4月時点、当社調べ)と継続的な取引関係が構築されている。CO₂削減量は累計1,783トン(2025年7月時点、当社調べ)を記録する。

■ 廃棄 vs 再生──従来モデルとの構造比較

事業の社会的意義を数値で示すと以下のとおりである。

従来モデル(廃棄)

次の灯モデル(再生)

処理方法

使用済み部品を廃棄・新品交換

使用済み部品を洗浄・再生しリビルト品として再流通

部品コスト

新品価格(高)

新品比▲30〜40%削減(2026年4月時点、当社調べ)

CO₂排出

新品製造エネルギーが追加発生

製造エネルギーを代替し廃棄物処理CO₂を削減

希少金属

廃棄により国外流出・損失

国内でプラチナ・パラジウム等を回収・循環

資源依存

海外輸入に依存し続ける

国内循環により資源自給率向上に貢献

■ 岡山一極体制の限界と、名古屋拠点の設計思想

事業規模の拡大とともに、岡山一極の製造・出荷体制が持つ地理的制約が顕在化してきた。全国に分散する5,000社超の取引先に対して岡山から出荷し続けることは、リードタイム・輸送コスト・中部・関東圏での営業機動性において構造的な限界を抱えていた。

この課題に対し設計されたのが、2026年4月に正式稼働した名古屋拠点である。

「名古屋は、ただの支店ではない」と黒川CEOは語る。「岡山工場は、DPFとSCR触媒の洗浄・再生処理に特化させる。品質管理を一か所に集約することで、再生品の精度と安定供給を高める。

一方、名古屋は日本の物流の中心にある。東海・関西・関東のどこにも近い。ここに出荷機能を置けば、全国の整備工場・運送会社へのリードタイムが構造的に縮まる。さらに名古屋は、販売先の開拓と仕入先の拡大、双方の営業拠点としても機能させる。廃棄か再生か。その選択を現場がしやすくなる環境を、我々が整備する」

名古屋拠点の稼働により、同社の体制は岡山(製造・本社)・品川(営業)・埼玉(物流)・名古屋(出荷・営業)の4拠点構造に移行する。製造の岡山への集約と、出荷・営業の中部圏への展開が同時に実現することで、供給の安定性と市場へのアクセス速度が両立される。

■ 名古屋から国際循環経済へ──ASEANと希少金属市場を視野に

名古屋拠点稼働の戦略的意義は、国内物流の最適化にとどまらない。

同社の中期経営計画「Road to 10B」(2031年・売上100億円目標)では、海外輸出入を明示的な成長ドライバーとして位置づけている。DPF・SCR触媒から回収されるプラチナ・パラジウムは国際商品市場で取引される資源であり、再生部品そのものの輸出需要もASEAN各国で拡大傾向にある。

国内での多拠点サプライチェーン整備が完了することで、海外向け安定供給体制の構築が現実的な射程に入る。日本国内で回収・再生した資源を国際市場に循環させるこの取り組みは、地域循環共生圏の国際版とも位置づけられる。

経済産業省が推進する「資源循環経済」施策および環境省の「サーキュラーエコノミー移行加速化パッケージ」が示す方向とも整合する政策実装モデルである。

■ GX・地方創生2.0・エネルギー安全保障の交点に立つ

次の灯の事業は、現在の日本が直面する三つの構造課題に同時に応答している。

第一に、カーボンニュートラル2050に向けた産業脱炭素化。DPF・SCR触媒の再生により、新品部品の製造エネルギーを代替し、廃棄物処理に伴うCO₂排出を削減する。累計削減実績1,783トン(2025年7月時点、当社調べ)は、岡山の工場から現場へ届けられた実装の記録である。

第二に、地方創生2.0が求める「地方からの産業モデル構築」。岡山を製造拠点とし、全国に機能展開するモデルは、地方企業が主体となるGX(グリーントランスフォーメーション)の実装例として、政策的な参照価値を持つ。

第三に、エネルギー安全保障と資源自給率の向上。レアメタルの国内回収・循環は、海外資源依存を低減する観点から資源安全保障政策とも整合する。日本のプラチナ族金属の輸入依存率は9割を超えており、国内回収を担う中小規模の循環インフラの整備は、資源安全保障上の優先課題でもある。

廃棄か、再生か。その問いに対し、次の灯は岡山の工場から、名古屋の出荷拠点から、そして国際市場へと向かいながら、現場に根ざした答えを積み重ねていく。地球の資源を自給するセカイを、実装する。それが同社の揺るがないビジョンである。

■会社概要

会社名:次の灯 株式会社(Tsuginohi Co.,Ltd.)

所在地:岡山県岡山市北区本町6-36 第一セントラルビル1号館3F(本社)

    東京都品川区北品川1-1-11 第3小池ビル5F(東京オフィス)

代表取締役:黒川 聖馬

設立年月日:2018年7月2日

事業内容:自動車部品リサイクル・環境関連技術開発

ブランドステートメント:「めぐる、つなぐ、地球にイイコト」

URLhttps://tsuginohi.com/

関連リンク

【公式サイト】https://tsuginohi.com/

【公式ムービー】https://youtu.be/6uDLHdLkZyk

【YouTubeチャンネル】https://www.youtube.com/@tsuginohi_okayama

【事業サイト】https://dpf-dpd.com/

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