株式会社商船三井(社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、公益財団法人日本財団が推進する無人運 航船プロジェクト「MEGURI2040」(以下「MEGURI2040」(註2))に参画しており、2026年3月27日、同プロジェクト 第2ステージにおいて4隻の実証船すべてが国土交通省の船舶検査に自動運航船として合格し、自動運航船として商業 運航を開始したことを発表しました。
MEGURI2040は、無人運航船の実現と人や物資の安定的な輸送を目指し、日本財団が2020年より推進しているプロジ ェクトで、少子高齢化による船員不足やヒューマンエラーに起因する事故など、海事業界が抱える喫緊の課題解決に 取り組んでいます。 本プロジェクトの趣旨および社会的意義に賛同した国内企業53社が、DFFAS+(Designing the Future of Fully Autonomous Ships Plus(註3))コンソーシアムを構築し、それぞれの強みを生かした技術開発および社会実装に向 けた取り組みを進めてきました。当社はDFFAS+コンソーシアム に参画し、実証船「みかげ」のワーキンググルー プリーダーとして、実証のとりまとめと自動運航船検査証取得の準備を実施してまいりました。
■ 実証実験、開発のポイント
DFFAS+コンソーシアムは、自動運航船を単体 の技術としてではなく、船上システム・通信シ ステム・陸上支援システムを統合した運航シス テムとして設計・開発しました。 実証船は、貨物船や旅客船など、用途や運航条 件の異なる複数の船舶を対象に、新造船および 既存船へのレトロフィット(既存機器に新たな 機能を追加して性能を向上)という形で、自動 運転レベル4相当の自動運航機能を有していま す。周辺認識、航行状況の統合表示、将来挙動 の予測、避航・航路計画の策定などの機能を組 み合わせ、自律判断と人による監視・介入を前 提とした設計を採用しています。
これらの船舶は、衛星回線および携帯回線を利用した安定的な通信回線を介して、複数船舶を同時に監視・支援可 能な陸上支援センター(常設型と移動型の2拠点体制)と連携して運航することで運航の安全性と冗長性を確保して います。

■当社の実施内容
当社は、MEGURI2040 第2ステージにおいて、既存内航コンテナ船ワーキンググループに参画し、井本商運株式会 社、常石ソリューションズ東京ベイ株式会社、古野電気株式会社と連携し、既存内航コンテナ船のレトロフィット による運航自動化に取り組んでいます。当社がこれまでに培ってきた運航管理および船舶管理の知見を活かし、プ ロジェクト全体の統括ならびにリスク評価を実施するとともに、本船の運航状況を踏まえた実証運転の実施や、「自 動運航船」としての国による船舶検査に向けた準備を行いました。 当社は、引き続き日本の内航海運が直面する船員不足の解消や労務負担の軽減、海難事故の防止といった社会課題 の解決に取り組み、安全で安心な海上輸送の実現を目指してまいります。
【実証船4隻】
第2ステージでは、用途や航行環境の異なる以下の4隻を実証船として自動運転レベル4相当の自動運航機能を商用 運航下で検証、国土交通省の船舶検査に自動運航船として合格しました。
●新造内航コンテナ船「げんぶ」
げんぶは、(株)イコーズが管理し、鈴与海運(株)が運航 する全長約 134 メートル・700TEU 型の内航コンテナ船 で、神戸から大阪、名古屋、清水、横浜を経由した東京ま での航路においてコンテナ貨物輸送に従事しています。無 人運航船の普及を見据え、無人運航に必要なすべての機能 を搭載したフラッグシップとして設計・建造され、2026 年 1 月 28 日、「自動運航船」として国の船舶検査に合格しま した。

●旅客船「おりんぴあどりーむせと」
おりんぴあどりーむせとは、国際両備フェリー(株)が 運航する全長約 66 メートル・旅客定員数 500 名の離島 航路船で、岡山県新岡山港から香川県土庄港を結んでい ます。船舶往来が盛んで障害物となる島や岩礁も多い瀬 戸内海域において、自動運航機能が適切に動作するか、 安全性評価が進められ、2025 年 12 月 5 日、国内初とな る「自動運航船」として国の船舶検査に合格しました。

●既存 RORO 船「第二ほくれん丸」
第二ほくれん丸は、川崎近海汽船(株)が運航する、全長約 173 メートル・総トン数 11,413 トンの内航 RORO 船 (「Roll-on/Roll-off」という貨物を積んだトラックやトレ ーラーが自走して乗り降りできる船)で、北海道釧路港か ら茨城県日立港まで、北海道の生乳を中心とした農産物な どの輸送に従事しており、2026 年 2 月 9 日、「自動運航 船」として国の船舶検査に合格しました。

●既存内航コンテナ船「みかげ」
みかげは、井本商運(株)が運航する、全長 96.81 メート ル・245TEU 型で、日本で最も普及している 749 総トン 内航コンテナ船です。日本の各地の港を幅広くつないで 国内物流を支えています。 日本で最も普及している内航船で自動化の普及促進を進 め国内物流の健全性維持に大きく貢献することを目指 し、2026 年 3 月 25 日、「自動運航船」として国の船舶検 査に合格しました。
注) 自動運航対象海域は神戸~名古屋

■ 自動運航船を支える 2 つの陸上支援センター
これらの自動運航船は、船上システムに加え、陸に配置された陸上支援センターからの監視・支援により安全・効 率運航を支えます。 陸上支援センターでは、複数の自動運航船の航海状況や機関状態、周辺環境などの情報をリアルタイムで集約・可 視化して監視し、必要に応じて航行支援や判断支援を行うことで、安全性の向上と船員の負担軽減を図ります。 記者会見では、商用運航下にある複数の自動運航船と陸上支援センターをリアルタイムで接続し、複数船舶を同時 に支援する世界初(註 4)のデモンストレーションが公開されました。
●常設型陸上支援センター
兵庫県西宮市の古野電気株式会社社屋内に設置されており、陸 上から用途や航行環境の異なる複数船舶を同時に航行支援する 体制を世界で初めて実現しました。船員の負担軽減や船舶の安 全性向上に加え、将来的な無人運航船の普及を見据えた運航モ デルの確立に貢献しています。

●移動型陸上支援センター
移動型陸上支援センターは、日本無線株式会社を中心に開発 されたカーゴトレーラー型の陸上支援拠点です。けん引によ って移動が可能で、災害や停電などの非常時においても安全 な場所へ移動して複数の自動運航船に対する遠隔航行支援を 継続できる点が大きな特長です。全長約 7 メートルのコンパ クトな空間に、航行監視や判断支援に必要なシステムを集約 しており、将来的な普及を見据えた現実的な運用形態として 位置付けられています。

(註1)特定エリアや条件下において、人の介入が不要な完全自動運航が可能な技術段階を指す。(船舶の自動運転定義は現在IMO 等で議論中。便宜的に自動車の定義を流用)参考:https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf
(註2)無人運航船プロジェクトMEGURI2040「無人運航船の社会実装に向けた技術開発助成プログラム」 無人運航船の実用化を推進する技術開発を行うことで、本分野の技術開発への更なる機運を醸成し、その結果我が国の物流 及び経済・社会基盤の変革を促進するべく、当該技術開発を支援する助成制度。
(註3)DFFAS+(Designing the Future of Full Autonomous Ships Plus)コンソーシアムとは、日本海洋科学を中心として構成さ れたコンソーシアム。参画企業は日本海洋科学(代表)、赤阪鐵工所、イコーズ、井本商運、ウェザーニューズ、上野トラ ンステック、EIZO、SKウインチ、MTI、NX海運、NTTドコモビジネス、川崎汽船、川崎近海汽船、川崎重工業、旭洋造 船、近海郵船、国際両備フェリー、サンフレム、三和ドック、JRCS、ジャパン・ハムワージ、ジャパン マリンユナイテッ ド、商船三井、スカパーJSAT、鈴与海運、Space Compass、常石呉ドック、常石ソリューションズ東京ベイ、寺崎電気産 業、東京海上日動火災保険、東京計器、東洋信号通信社、一般社団法人 内航ミライ研究会、ナカシマプロペラ、ナブテス コ、日本シップヤード、日本無線、日本郵船、阪神内燃機工業、BEMAC、pluszero、藤原造船所、古野電気、本田技研工 業、本田重工業、Marindows、丸紅、三浦工業、三井住友海上火災保険、三菱総合研究所、三菱造船、向島ドック、YDKテ クノロジーズ。
(註4)日本財団調べ(2026年3月時点)。陸上から商用運航中複数の自動運航船の航行支援が世界初。
〈関連リンク〉
・2020年6月15日付当社プレスリリース
「始動!自律化実現への実証航海~日本財団と無人運航船の実証実験にかかる技術開発助成プログラムを締結~」
・2022年1月25日付当社プレスリリース
・2022年2月7日付当社プレスリリース
「大型カーフェリーを用いた世界最長距離・最長時間の無人運航実証実験に成功!~内航コンテナ船に続き、実商業航海ルートに おける無人運航に成功~」
・2023年7月21日付当社プレスリリース


