組織行動科学®を提供するリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は、980社・33.8万人の実践と分析を通じて明らかになった、AI時代に必要な人材育成の考え方「判断経験設計」を公開しました。

多くの企業で、知識を教え、手順を共有し、仕事を任せているにもかかわらず、部下や若手が自分で判断して進められないという課題が見られます。
教えている。任せている。経験もしている。それでも、判断できる人材が増えにくい。その背景には、本人の能力だけではなく、実務の中で判断経験が積み上がりにくくなっている仕事構造があります。
近年、働き方改革、業務効率化、IT化の進展により、企業では以前よりも限られた時間の中で成果を求められる傾向が強まっています。
その結果、実務の中で試行錯誤し、比較し、上司と判断理由を確認しながら経験を積む余白は小さくなり、仕事をしていても判断経験が蓄積しにくい状況が生まれています。
多くの職場では、これまでのやり方や過去の成功例をもとに仕事を進めることが一般的です。それ自体は、業務を安定して進めるうえで合理的です。
一方で、顧客ごと、案件ごと、状況ごとに条件が異なる仕事が増える中では、前と同じように進めるだけでは対応しにくい場面も増えています。こうした仕事では、
-
何を優先するか
-
どの事実を確認するか
-
どの選択肢を採るか
-
なぜその判断をしたのか
を考える経験が必要になります。
しかし現在は、効率性や即時対応が優先される中で、こうした経験が日常業務の中に残りにくくなっています。
リクエスト株式会社では、この状況を踏まえ、AI時代に必要な「判断できる人材」を育てるには、知識や手順を教えることに加えて、仕事の中に判断経験を意図的に組み込む「判断経験設計」が重要になると考えています。
今回公開するのは、980社・33.8万人の実践と分析から明らかになった、この「判断経験設計」の考え方です。
なぜ今、判断経験設計が必要なのか
これまで多くの企業では、実務経験を重ねれば、ある程度は人が育つことが前提とされてきました。しかし現在は、その前提が変わりつつあります。
働き方改革、効率化、IT化によって、以前よりも短い時間で、より正確に、より効率的に進めることが求められるようになりました。
その結果、以前であれば現場で自然に起きていた、
-
迷いながら考える
-
複数案を比較する
-
上司と判断理由を確認する
-
やり直しを通じて見立てを修正する
-
結果を次回の基準に変える
といった過程が、省略されやすくなっています。
つまり今は、仕事をしているだけでは、判断経験が自然に積み上がるとは限らない状況になっています。だからこそ、AI時代の人材育成では、何を教えるかだけではなく、判断経験が残るように仕事を設計できているかが重要になります。
一見どちらも仕事を任せているように見えるが、中身は異なる
現場では、どちらも「部下に仕事を任せている」ように見えることがあります。
しかし、その中身は大きく異なります。
1.前と同じように進める仕事
-
これまでのやり方を基準に進める
-
過去の成功例や周囲の進め方を参考にする
-
まず前の事例を探してから動くことが多い
-
判断の中心は「前と同じでよいか」に置かれやすい
-
上司との会話は、確認・承認が中心になりやすい
-
仕事は進むが、判断理由が本人や組織に残りにくい
2.条件の違いを見て進める仕事
-
過去のやり方を参考にしつつ、今回の条件の違いを確認する
-
何を判断対象として扱うかが明確になっている
-
必要な事実確認や比較観点がある
-
上司との会話は、「なぜそう考えたか」の確認が中心になる
-
結果を次回の判断基準の見直し材料として扱う
-
経験が、作業で終わらず判断経験として蓄積されやすい
ここで重要なのは、これまでのやり方を使うこと自体が問題なのではないという点です。問題は、本来は条件の違いを見て判断すべき仕事まで、前と同じように進めることだけで対応しようとしてしまうことです。
あなたの職場の仕事は、どちらに近いですか?
|
前と同じように進める仕事 |
条件の違いを見て進める仕事 |
|
|
進め方の起点 |
これまでと同じやり方で進める |
今回の条件の違いを確認する |
|
見るもの |
過去の事例・周囲のやり方 |
事実・条件差・選択肢 |
|
判断対象 |
曖昧になりやすい |
何を判断するかが明確 |
|
比較 |
前のやり方との一致・不一致が中心 |
複数案の比較が行われる |
|
上司との会話 |
確認・承認が中心 |
判断理由の確認が中心 |
|
振り返り |
結果確認で終わりやすい |
判断過程まで振り返る |
|
本人に残るもの |
前のやり方のなぞり方 |
状況に応じた判断経験 |
|
組織に残るもの |
慣れた進め方・属人的なやり方 |
判断基準・確認観点・見立て |
前のやり方を使うことは問題ではありません。問題は、前のやり方だけで進めても人が育つと思ってしまうことです。
今、企業に必要なのは、これまでのやり方を参考にしながらも、条件の違いを捉え、比較し、判断理由を言葉にする経験が残るように仕事を設計することです。
自分の職場を見直すポイント
今回公開する考え方では、読者が自社の進め方を照らし合わせられるよう、次のような観点を重視しました。
たとえば、次のような状態が多い場合、仕事は「前と同じように進める」ことが中心になっている可能性があります。
-
まず過去の事例を探してから動く
-
今回の条件の違いより、前と同じようにできるかを先に見る
-
上司には結論や進捗だけを確認する
-
他の選択肢を比較する機会が少ない
-
結果は確認するが、判断理由までは振り返らない
-
経験者のやり方を覚えることが育成になっている
こうした状態は、業務を安定させる面では合理的です。
しかし、顧客や案件ごとに条件が異なる仕事、前のやり方がそのまま通用しない仕事では、この進め方だけでは判断経験が蓄積しにくくなります。
つまり、見直すべきなのは、前のやり方を使っているかどうかではなく、前のやり方だけで進めていないかどうかです。
AI時代に必要なのは「教えること」から「判断経験設計」への転換
これまで多くの企業では、人材育成とは、知識を教えること、手順を伝えること、過去のやり方を共有することとして捉えられてきました。
しかし、生成AIの普及により、知識をもとに答えること、定型的な進め方を示すこと、過去事例を参照することの一部は、以前よりも人材育成の中心ではなくなりつつあります。
一方で、企業の現場に残るのは、
-
状況に応じて何を優先する
-
どの事実を重視するか
-
どの選択肢を採るか
-
なぜその判断をするか、
を考える仕事です。
こうした判断は、教えるだけでは身につきません。実際の仕事の中で、事実を確認し、比較し、理由を言葉にし、振り返る経験を通じて、はじめて積み上がっていきます。
だからこそAI時代に企業が見直すべきなのは、教える量を増やすことではなく、実務の中に判断経験が残るように仕事を設計することです。当社では、この考え方を判断経験設計として整理しています。
当社が公開するのは、980社・33.8万人の実践と分析から明らかになった考え方
ここで重要なのは、この問題を単純に「経験不足」や「考える力の不足」といった個人の能力の問題として捉えないことです。いま不足しているのは、単なる実務量ではありません。不足しているのは、判断経験として残る実務経験です。
仕事を任せるだけでは、判断は育ちません。
前のやり方をなぞるだけでも、判断は育ちません。
やり方を具体的に教えるだけでは、判断は育ちません。
判断が育つためには、少なくとも次のような要素が必要です。
-
今回の条件の違いを見る
-
確認すべき事実を押さえる
-
複数の選択肢を比較する
-
上司と判断理由を確認する
-
結果を次回の基準に変える
これらが仕事の中に組み込まれてはじめて、経験は「作業経験」ではなく「判断経験」になります。
だからこそ今、企業に必要なのは、もっと具体的に教えることではなく、経験が判断経験として積み上がるように設計することです。
今回公開するのは、980社・33.8万人の実践と分析を通じて明らかになった、そのための考え方です。
判断経験設計の必要性や、実際にどこから見直すべきかをさらに確認したい方は、
以下の公開内容もあわせてご参照ください。
-
企業の82%で、AI時代に必須の「判断経験」が減少:33.8万人・980社の分析から、なぜ今、人材育成課題として「判断経験」が不足しているのかを整理した調査レポート
調査レポート公開:企業の82%で、AI時代に必須の「判断経験」が減少。33.8万人・980社の分析から、AI時代の人材育成課題を公開(組織行動科学®)リクエスト株式会社のプレスリリース(2026年3月16日 16時13分)調査レポート公開:企業の82%で、AI時代に必須の「判断経験」が減少。33.8万人・980社の分析から、AI時代の人材育成課題を公開(組織行動科学®) -
「判断できる人材」が育つ企業は、組織の判断構造を設計している:個人の能力だけでなく、組織構造の違いが人材育成差を生むことを整理した調査レポート
調査レポート公開:AI時代に必須の「判断できる人材」が育つ企業は、組織の判断構造を設計している ― 33.8万人・980社の分析から見えてきた共通条件(組織行動科学® 判断デザインラボラトリー)リクエスト株式会社のプレスリリース(2026年3月19日 09時19分)調査レポート公開:AI時代に必須の「判断できる人材」が育つ企業は、組織の判断構造を設計している ― 33.8万人・980社の分析から見えてきた共通条件(組織行動科学® 判断デザインラボラトリー) -
判断できる人材を育てるには、「まずどの仕事から変えるべきか?」:判断経験設計に着手する際、最初に対象とすべき業務を整理したホワイトペーパー
AI時代に必須:判断できる人材を育てるには、「まずどの仕事から変えるべきか?」企業が最初に着手すべき「判断構造設計」のホワイトペーパーを公開(組織行動科学®)リクエスト株式会社のプレスリリース(2026年3月19日 13時21分)AI時代に必須:判断できる人材を育てるには、「まずどの仕事から変えるべきか?」企業が最初に着手すべき「判断構造設計」のホワイトペーパーを公開(組織行動科学®) -
判断構造設計は、どの順番で進めるべきか?:対象業務を定めた後に、どの順番で設計・実装・改善していくかを整理した実装ステップ
AI時代に必須:判断構造設計は、どの順番で進めるべきか?対象業務の特定後に企業が行うべき実装ステップと、改善を測る指標を公開(組織行動科学®)リクエスト株式会社のプレスリリース(2026年3月19日 14時18分)AI時代に必須:判断構造設計は、どの順番で進めるべきか?対象業務の特定後に企業が行うべき実装ステップと、改善を測る指標を公開(組織行動科学®) -
あなたの職場の仕事は、どちらに近いですか?:一見似ていても異なる2つの仕事の進め方を比較し、「判断が育つ仕事」の条件を見直すための実務資料
AI時代に必須:あなたの職場の仕事は、どちらに近いですか?(組織行動科学®)リクエスト株式会社のプレスリリース(2026年3月21日 11時08分)AI時代に必須:あなたの職場の仕事は、どちらに近いですか?(組織行動科学®)

会社概要
リクエスト株式会社
会社案内:https://requestgroup.jp/corporateprofile
代表取締役 甲畑智康:https://requestgroup.jp/profile
E-mail:request@requestgroup.jp
リクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は「より善くを目的に」を掲げ、33.8万人の働く人のデータに基づいた 組織行動科学® を基盤に、7つの研究機関が980社を支援している企業です。
組織行動科学®は組織で働く私達の思考と行動が「なぜ起こり」「なぜ続くのか」を事業環境と経験から解明し、より善く再現する手段です。



