「廃業させないまち とよはし」の実現を目指し、愛知県豊橋市は、産学官で連携して事業承継支援に取り組んでいます。9月13日(水)には、市内でセミナー「事業承継×創業―とよはしの企業を受け継ぐということー」を開催。事業承継支援の一つ、創業希望者と後継者不在の事業者をつなぐ取り組みなどを説明しました。
セミナーは豊橋商工会議所で開催し、当日は会場のほか、オンラインでも聴講できました。
2部構成で、第1部では愛知大学経済学部の打田委千弘教授が「東三河の事業承継―現状と課題―愛知県における地域性を中心に」を演題に講演しました。
東三河における事業承継の現状について、株式会社東京商工リサーチのデータから読み取れる傾向を話しました。東三河は後継者がいる確率が低い上、後継者がいない場合、事業承継に関して「未定・検討中」とする回答が県内の他地域より高く、打田教授は「ここ(事業承継について未定・検討中)をどうにかすることが喫緊の課題」と指摘しました。
第2部は、パネルディスカッション「事業承継における創業との連携」で、ここでは後継者不在の中小企業を存続させるための選択肢となる創業希望者と引き合わせることを考えました。登壇したのは、豊橋市内の事業承継支援機関である愛知県事業承継・引継ぎ支援センター、豊橋商工会議所、豊橋信用金庫の担当者です。
豊橋市は、創業希望者と後継者不在の事業者を結びつけるため、「創業プラットホーム」と「事業承継ひろば」が連携し、愛知県事業承継・引き継ぎ支援センター(国の公的機関)が行っている「後継者人材バンク」の活用を促す仕組みをつくっています。この仕組みに今年度、創業支援に力を入れている市内の3大学(愛知大学、豊橋技術科学大学、豊橋創造大学)を加え、産学官の連携で事業承継支援を加速させています。
創業希望者と後継者不在の事業者とのマッチングは、創業希望者にとっては、店舗や設備などの経営資源を引き継ぐため創業時のコストを削減できます。後継者不在の事業者にとっては従業員の雇用を守り、事業の存続を望む取引先の希望に応えられ、ともにメリットがあります。
登壇した事業承継支援機関の担当者たちは、「支援機関が設ける起業・創業のセミナー等で、後継者人材バンクを案内し、創業希望者に対しても事業を引継ぐという創業の形があることを周知していきたい。」と、今後の取り組みを話しました。
事業承継セミナーの様子。会場のほか、オンラインでも聴講できました。
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