【特許概要】
特許番号 :第7262108号
発明の名称:調剤支援装置、調剤支援システム、調剤支援方法および調剤支援プログラム
特許取得日:2023年4月13日
【開発の背景】
昨今、薬剤師に求められる役割が多様化する中で、薬局業務は「対物」から「対人」へと大きく変化しています。単に棚から薬を取って患者へ正確に渡す調剤業務から、より一歩踏み込んで調剤後の服薬フォローやトレーシングレポートによる医師へのフィードバックなど、進化しつつあるのです。また、医師の働き方改革が間近に迫る中、医師から薬剤師へのタスクシフト・タスクシェアの重要性も高まっています。
当社は2019年、日本初の「ロボット薬局」梅田薬局を開設し、ロボットとICTを用いた自動調剤技術の開発に取り組んできました。2021年にベクトン・ディッキンソン社(本社:アメリカ)とのパートナーシップ契約を解消した後も研究を重ね、2022年には調剤ロボットを製造するGPI SpA社(本社:イタリア)と、最新式の自動入庫払出装置「Riedl Phasys(リードル・ファシス)」の国内独占販売契約を締結。リードル・ファシスを動かすためのソフトウェア「スマート調剤室」を当社独自に開発いたしました。今回取得した特許は、すでにロボット薬局で実用化している技術になります。
【特許技術の詳細】
本特許は、調剤準備用ロボット、自動薬剤受取機、処方せんの電子データを用いた新しい調剤ワークフローの開発です。従来のやり方では、患者が処方せんを持って来局してから薬剤師や事務員が処方せんを手入力し、その後「処方せん鑑査」「調剤」「調剤鑑査」「投薬」を行う必要があり、患者の待ち時間や処方せん入力時のミスが発生していました。しかし、本技術を使うことで処方せんの入力作業が不要になり、患者の来局前に処方鑑査(処方せん情報)および調剤準備を済ませておくことができ、来局と同時に処方鑑査(患者情報)および計数調剤・調剤鑑査が可能となり、待ち時間ゼロ・調剤ミスゼロでの投薬が実現します。
【代表からのメッセージ】
ロボット薬局の開発・普及を通して当社が一貫して目指しているのは、薬剤師を調剤という単純業務から解放し、より専門性の高い業務に専念させることです。背景には医師の働き方改革や薬剤業務の変化に加え、上陸間近とされるAmazon薬局への対抗もあります。Amazonはこれまで書店や音楽、おもちゃ、スポーツ用品など多くの業種を破壊してきました。次に狙われているのは薬局です。すべてがワンクリックで完結するAmazonに対抗するには、それを上回る利便性と安全性を既存の薬局が備えなければなりません。ロボット薬局の普及によって薬剤師が対人業務に専念できれば、医療の質向上はもちろんのこと、薬剤費の削減、重複投与防止や残薬削減による医療費の削減、患者の利便性向上など多くのメリットが期待できます。
【今後の展望】
現状では日本における統一したインターフェースが存在しないため、EHRを使うには医療機関と薬局が同じメーカーのシステムを使用しなければならず、普及するまでには至っていません。しかし、政府が情報共有の基盤となる「全国医療情報プラットフォーム」の創設を推し進めるなど、今後は統一したインターフェースの整備をはじめ、医療機関・薬局の情報共有が加速することが見込まれます。その際に本特許は強力なツールとして、医薬連携や医療の質の向上、患者の利便性向上に貢献するものと期待できます。 また、当社の指定したロボットを使用して処方せん情報を管理する外部データベースへのアクセスを行う場合に限り、ライセンス料は請求せず特許を無償開放することとします。このことは、日本の既存の薬局実店舗を守り、今後、日本独自の医薬品インフラを構築して行くうえで極めて重要な役割を果たします。
【会社概要】
社名:株式会社メディカルユアーズ
本社所在地:兵庫県神戸市灘区桜口町4-1-1 ウェルブ六甲道4番街1番館301
代表取締役社長:渡部 正之
事業内容: 保険調剤薬局の経営
自動調剤技術の研究開発
医療コンサルタント (医院、薬局の開業支援、医療モールの企画開発、企業コンサルティング)
設立: 2016年5月20日
HP:https://www.medicalyours.com/
【問い合わせ先】
本特許およびロボット薬局、スマート調剤室などに関するご相談・ご見学、メディア掲載、取材に関するお問い合わせは、こちらのメールアドレス宛にご連絡ください 。
お問い合わせ先: office@medicalyours.com