<調査結果(要旨)>
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「ビッグモーター」問題で業況悪化 中古車店の倒産が急増
集計期間:2023年9月30日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
コロナ禍の「空前のバブル」から一転、中古車業界が苦境に追い込まれている。中古車の買い取り・販売を手掛ける「中古車店」の倒産は、2023年1-9月に合計57件発生した。前年の年間件数(52件)を既に上回り、過去10年で年間最多の90件に到達する可能性がある。
2021年以降はコロナ禍の影響で半導体など部品供給が滞ったことで、人気車種・グレードの新車の納車遅れが多発したため、車検切れなどにより発生したユーザーの買い替え需要が中古車に殺到した。一部の車種では新車価格より中古車価格が上回るなどの現象が単価上昇につながり、23年3月期の中古車販売市場は過去最高となる3.9兆円を記録するなど好調だった。
一方、過熱する中古車人気によって中古車の仕入れ価格が高騰し、厳しい価格競争のなかで価格転嫁に苦慮する中古車店の倒産が増えている。加えて、2023年に入って業界首位のビッグモーターをはじめ業界大手の不正が相次いで発覚し、中古車業界に対する顧客の目が厳しくなり、販売やアフターサービスの整備入庫にも影響が出始めている。帝国データバンクの調査では、2023年3月時点と比較した9月時点の中古車店の業況が「悪化」となった企業は16.3%を占めた。中古車店からは「ユーザーが不安を抱えており、購買意欲が低下している」といった声も聞かれ、中古車業界の成長は減速が避けられない状況となっている。
足元では、10月1日から中古車の販売価格が車両価格と諸費用を合算した「支払総額」の表示に義務化され、透明性の確保に向けた取り組みが進む。業界に向けられた消費者の不信感をいかに払底できるかが、今後の中古車業界の先行きを大きく左右するとみられる。