IEO市場の健全化と発展を目指し、認定自主規制団体へ制度改革の方向性の初期案を提出

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一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(所在地:東京都千代田区、会長:廣末紀之、以下JCBA)は、ICO・IEO部会(部会長:吉田 世博)が中心となり作成し、一般社団法人日本暗号資産取引業協会(会長:小田 玄紀、以下JVCEA)に提出した、IEO制度の健全化に向けた自主規制改革の方向性の初期案を公表しました。

  • 日本におけるIEO制度の可能性と現状の課題

IEO(Initial Exchange Offering)とは、様々な事業者が活用可能な、暗号資産交換業者を介してトークンセールを実施する、Web3プロジェクトの新たな資金調達およびユーザー拡大手段です[1]。金融庁監督下の暗号資産交換業者により、プロジェクトの実現可能性について審査および継続的なモニタリングがなされるため、信頼性の向上が図られる制度となっています。また、令和5年度税制改正にて、自社発行トークンに係る法人税の期末時価評価課税の適用除外要件が定められたことから、実施環境が整備されており注目を集めています。国内では現時点で4例が実施され、第1号案件での調達額は9億円を超え、4例の販売総額合計は44億円を超えています。しかし、IEOはまだ新しい制度であることから、事業者および利用者が安心して活用できるために、価格の安定性や制度の運用方法などの仕組みに課題があります。

[1] CoinDesk JAPAN「暗号資産のIEOとは? ICOやSTOとの違いは? 過去の事例も紹介」, https://www.coindeskjapan.com/learn/ieo-ico-sto/

  • 提出した初期案と今後の取り組みについて

このような背景から、JCBA ICO・IEO部会は、暗号資産やWeb3に関わる様々な事業者によって構成される組織である知見を活用し、事業者主体となってIEO制度のあり方について本年5月より議論を重ねてまいりました。
この度、会員間での議論を取りまとめたものを暗号資産交換業及び暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体であるJVCEAへご提出いたしました。日本のIEO制度の価格の安定操作や売却制限が整備されることは、海外取引所を利用するよりも安心してユーザーが日本の規制下で自己の資産を管理することを促進するため、利用者保護に繋がります。
本提言は当会単独で議論を行った初期案であるため、今後は各関係機関と、主に自主規制規則の範疇における実現性の有無について、適切に協議および検証を行ってまいります。

  • 提出資料概要

 ・はじめに
 ・現行制度の課題
 ・国内IEOの現状
 ・IEO制度改革の4つのアジェンダ
  1.価格算定:算定方法の多様化と価格に関する注意喚起の明記
  2.流動性 :上場時流動性目標の設定と流動性が確保可能な環境整備
  3.安定操作:上場時の価格安定化措置に関するルール整備
  4.売却制限:発行体・引受交換業者へのロックアップの制度化・厳格化
 ・IEO健全化に向けた環境整備の今後の議論の方向性

  • JCBA ICO・IEO部会 吉田世博 部会長のコメント 

この度、ICO・IEO部会よりIEO制度改革の方向性に関する初期案をご提出いたしました。法規制・税制・会計の各方面を踏まえたIEOの制度化は本邦が世界に先駆けて行ったものであり、日本のWeb3産業の発展を大きく加速させる可能性を持つ一方、黎明期であることに起因する課題も顕になってきています。健全で持続可能なIEO市場の形成には、関係者が一丸となっての自主規制ルールの制定が不可欠であると考え、今回、初期案を提出いたしました。本提案を起点に、売却制限の制度化等の顧客保護施策と、IPO市場では一般的である上場時の価格安定化措置等の市場効率化施策の両面について、各関係機関と今後協議をさせていただきたいと考えています。本提言の準備にご尽力いただいた、部会の皆様をはじめとする関係者の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

  • JVCEA 小田玄紀 会長のコメント

この度はIEO市場の健全化に向けた自主的な改善施策案を取りまとめて頂いたことは非常に大きな意義があると考えています。IEOは新しい資金調達の手段として可能性があります。他方でまだ新しいモデルのため、適切に課題に向き合いこれを改善させていく必要があります。今回、事業者及び関係者自らが主体的になり、この改善施策を取りまとめたことに最大の意義があり、業界関係者が健全な市場形成のために自らを律するルールを協議していくことは、今後の日本のWeb3市場の将来性を表しています。

  • 資料のダウンロード

1.国内IEO(Initial Exchange Offering)制度改革の方向性に関する初期案(PDF)

 詳細は下記よりダウンロード願います。
https://cryptocurrency-association.org/news/breakout/202309026-001/

  • ICO・IEO部会について

活動内容  :

 ICO・IEOに関するWeb3.0ビジネスを日本で取り組みやすくする環境整備を目的とし、関連する制度のあり方について議論を行っています。

部会のページ:https://cryptocurrency-association.org/subcommittee/ico/

部会の運営体制:

   部会長 :吉田 世博  株式会社HashPort 代表取締役CEO

   副部会長:播磨 徹   コインチェック株式会社 IEO事業部

   副部会長:大和 省悟  株式会社bitFlyer クリプトストラテジー室 副室長

   幹事  :李 維寧 (Li Weining)  Amber Japan株式会社

   幹事  :初澤 慶介  ビットトレード株式会社 取締役

   法律顧問:増島 雅和  森・濱田松本法律事務所 パートナー

   法律顧問:福井 崇人  アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 パートナー

  • 協会概要

企業名 :一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会

        (Japan Cryptoasset Business Association)略称 JCBA

所在地 :東京都千代田区鍛冶町1丁目10番6号 BIZ SMART神田901号室

代表者 :会長 廣末 紀之 URL:https://cryptocurrency-association.org

設立  :2016年3月

事業内容:暗号資産、ブロックチェーン上のデジタル資産、Web3に関連するビジネスについての会員間の知見共有、意見集約、業界課題の解決に向けての論点整理や提言を通じて、ビジネス環境整備・促進、普及啓発活動に取り組んでいます。

・分科会等:現在 11 部会 税制検討、ICO・IEO、ユースケース、金融、NFT、ステーブルコイン、

DeFi、セキュリティ・ システムほか、各種タスクフォース、ワーキンググループ等が活動

・月次勉強会 :法規制、税務会計、技術、ビジネス面に関するテーマで開催

・提言、要望 :業界課題の論点整理、政党や監督官庁への提言・要望

・外部講演活動:講演等による普及啓発、司法当局や消費者センター等への講演及び協力など

  • 会員企業について

正会員:30社 準会員:92社 特別会員:4社 団体会員:11社 計137社(2023年9月時点)

Web3.0関連事業者、暗号資産交換業者、ゲーム・エンタメ事業者、システム・セキュリティ関連事業者、法律事務所、会計監査法人、税理士事務所、研究・教育機関、地方自治体など
 会員一覧:https://cryptocurrency-association.org/member/

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