三菱重工業は、浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO:Floating Production, Storage and Offloading System※1)業界大手のSBMオフショア社(SBM Offshore、本社:オランダ)と、同社の完全所有子会社であるシングル ブイ ムアリング社(Single Buoy Moorings、本社:スイス)を通じてFPSO向けCO2回収モジュールの商用化に関する協業契約を締結しました。本契約は、両社で実施した技術的および商業的実現可能性の検討を経て、合意に至ったものです。
具体的には、FPSO向けCO2回収モジュールに、当社が関西電力株式会社と共同開発した独自のCO2回収技術である「Advanced KM CDR Process(TM)」を採用します。CO2回収モジュールをFPSOへ搭載し、同設備の発電用ガスタービンから排出されるCO2を回収することで、温室効果ガスの排出を大幅に削減することが可能です。これにより、FPSOからのCO2排出量は従来と比べて最大約70%削減できる見込みです。
今回の協業契約は、SBMオフショア社が掲げる「emissionZERO®プログラム」の一環として検討が開始されたもので、豊富な納入実績を持つ当社独自のCO2回収技術と、業界をリードするSBMオフショア社の「Fast4Ward®※2」の理念を組み合わせ、早期の実用化を図ります。FPSO市場の脱炭素化需要は急速な拡大が見込まれることから、両社は今回の協業を通じて海洋CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)事業開発を加速し、グローバルなカーボンニュートラルの実現に貢献していきます。
三菱重工グループは2040年のカーボンニュートラル達成に向け、エネルギー供給側の脱炭素化に戦略的に取り組んでおり、多種多様なCO2排出源と貯留・利活用をつなげるCO2エコシステム構築はその柱の1つです。当社グループは独自のCO2回収技術を活用し、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)事業を強力に推進するとともに、ソリューションプロバイダーとして温室効果ガス排出削減に地球規模で貢献し、環境保護に寄与するソリューションの開発をさらに進めていきます。
※1 FPSOとは、洋上で石油・ガスを生産・貯蔵・積出する船型の浮体式設備を指します。
※2 Fast4Ward®とは、SBMオフショア社が開発したFPSOの標準船型「Fast4Ward®」を用いて、石油・ガスの掘削から供給までのサイクルタイムを短縮することを目指すプログラムです。
SBMオフショア社について
SBMオフショア社は、海洋エネルギー設備の設計、建設、供給、設置、運用において65年以上の豊富な経験があり、その専門知識を駆使して地域社会へのサプライチェーンの構築と経済的機会の提供に取り組んでいます。世界で7,000人の人々が働いており、従来の深海海洋インフラの脱炭素化と新エネルギーの展開に積極的に取り組んでいます。
三菱重工グループのCO2回収技術について
三菱重工グループは、1990年から関西電力株式会社と共同でCO2回収技術KM CDR Process(TM)やAdvanced KM CDR Process(TM)の開発に取り組んでいます。2023年9月現在、KM CDR Process(TM)を用いたプラントを15基納入しており、さらに3基を現在建設中です。またAdvanced KM CDR Process(TM)には、これまで納入した商用のCO2回収プラント15基全てで採用されているアミン吸収液KS-1(TM)に技術改良を加えたKS-21(TM)が採用されています。KS-21(TM)は、KS-1(TM)と比べて再生効率に優れ劣化も少ないといった特長を持ち、優れた省エネルギー性能と運用コストの低減および低いアミンエミッションが確認されています。
【三菱重工グループ「CO2回収技術」製品情報はこちら】
https://www.mhi.com/jp/products/engineering/co2plants.html
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