本講習会では、未試験物質の毒性や性質を類似物質の試験データから推計または類推する手法である「リードアクロス」の基礎と、それを支援するシステムである「OECD QSAR Toolbox」や「HESS」について、その概要と基本的な操作方法を解説します。
また、国立環境研究所から生態毒性予測システム(KAshinhou Tool for Ecotoxicity: KATE)の概要説明や操作方法の講習を行います。さらに、国立医薬品食品衛生研究所から人健康影響に関連したQSARの活用事例などについても講演いたします。
これらのシステムの様々な機能を駆使しながら評価を行うためには、コツが必要です。本講習会では、基本的な操作方法について実演を交えてご説明します。皆様のご参加をお待ちしております。
セミナー詳細ページ >> https://www.nite.go.jp/chem/qsar/ReadAcrossEdu_R5.html
-
QSAR/リードアクロス講習会 開催の目的
QSAR/リードアクロスは、未試験物質の毒性や性質を試験データのある類似物質から推計または類推する手法であり、国際的に化学品規制での利用が推進されています。
NITEでは、化学物質の安全性評価における予測手法の利用を促進するため、動物実験代替法のひとつであるリードアクロスの基礎とそれを支援するシステムであるOECD QSAR ToolboxやHESSの概要や基本操作が学べる「リードアクロス講習会」を 2012年から開催しています。
-
開催概要
【名称】令和5年度QSAR/リードアクロス講習会
【開催日時】2023年10月11日(水) 9:45~17:15
【対象者 】QSARとリードアクロスの初心者
【開催形式 】NITE本所及びWebexによるハイブリッドセミナー
【会場】(現地参加の場合)
製品評価技術基盤機構 本所1F NITEスクエア
〒151-0066 東京都渋谷区西原2-49-10
https://www.nite.go.jp/nite/aboutus/jigyosho/nite_map.html
【費用】無料(事前申込制、定員に達し次第、締め切り)
【お申込み】
■現地参加をご希望の場合
■オンライン参加をご希望の場合
-
講演プログラム
【9:45~9:50】
開会の挨拶
【9:50~10:20】
QSAR/リードアクロスの基礎
(独)製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター 櫻谷 祐企
【10:20~10:50】
生分解性/蓄積性に関連したQSARとリードアクロス・最新動向
(独)製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター 財津 由梨
【10:50~12:10】
QSAR Toolboxの概要・操作説明
(独)製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター 堀田 麻子
【12:10~13:25】
昼休憩
【13:25~14:25】
KATEの操作説明
国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク・健康領域 環境リスク科学研究推進室
高度技能専門員 後藤 碧
【14:25~15:05】
生態毒性に関連したQSARとKATEの概要
国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク・健康領域 環境リスク科学研究推進室
室長 大野 浩一
【15:05~15:30】
休憩・歓談
【15:30~16:10】
ヒト健康影響に関連したQSARとリードアクロス・最新動向
国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部 第四室
室長 山田 隆志
【16:10~16:40】
HESSの概要・操作説明
(独)製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター 渡邉 美智子
【16:40~16:45】
閉会の挨拶
【16:45~17:15】
歓談
※ 歓談は、現地参加者のみとなります。講師・受講者間での意見交換等の時間と致します。
※ OECD QSAR Toolbox及びHESSの使用方法等について、具体的なご質問への個別相談を随時受け付けています。ご希望の方は、本講習会受講登録時若しくは終了後アンケートの自由記述欄又はhess【アットマーク】nite.go.jpまでご連絡をお願いします。
-
用語解説
■QSAR:
定量的構造活性相関(Quantitative Structure-Activity Relationship)
対象物質の化学構造を入力すると、その物質の有害性等の予測結果が構造活性相関モデルから定量的に得られる。
■リードアクロス:
化学物質の評価(有害性等)を行う際に、評価者が対象の化学物質と類似構造を持つ物質の有害性などの情報を収集・整理し、エキスパートジャッジで予測(判断)を行う手法。化学品規制での利用が国際的に推進されている。
■OECD QSAR Toolbox:
OECD QSAR Toolboxは皮膚感作性をはじめとした毒性や環境動態、化学物質の性状に対してリードアクロスを支援するシステムであり、経済協力開発機構(OECD)から公開されている。類似物質を選定するための様々なツールや種々の試験データに関するデータベースが搭載されており、リードアクロスでの評価に必要な情報を効率よく取得できるシステムである。
■HESS:有害性評価支援システム統合プラットフォーム(Hazard Evaluation Support System Integrated Platform)
HESSは、NITEが公開しているリードアクロスによる反復投与毒性の評価を支援するためのシステムである。
OECD QSAR Toolboxに類似した仕組みを有するシステムだが、反復投与毒性の評価に特化しており、物質間の反復投与毒性の類似性を比較するために必要な情報を得る詳細なデータベース(毒性試験データ・毒性メカニズム情報・ADME情報等)を備えている。
■生態毒性予測システム(KAshinhou Tool for Ecotoxicity: KATE)の概要
KATEは、 環境省と国立環境研究所の開発した生態毒性に特化した予測システムであり、国立環境研究所環境リスク・健康研究センターにて公開されている。
本システムでは、化学物質の部分構造から魚類急性毒性試験における半数致死濃度(LC50)、ミジンコ遊泳阻害試験における半数影響濃度(EC50)等の生態毒性を予測することを目的としている。
KATEについて(国立環境研究所)>>> https://kate.nies.go.jp/index.html
-
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センターの概要
NITE化学物質管理センターは、経済産業省が所管する「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」および、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)」の施行を技術的な側面から支援しています。また、「化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(化学兵器禁止法)」に基づく立入検査や国際査察への立会い業務を行っています。加えて、化学物質のリスクに関する有害性等の情報を収集整理し提供しています。