この取り組みは物価高騰や新型コロナウイルスの影響による生活困窮世帯の増加や社会的な孤独・孤立の深刻化に対応するために実施し、目標としていた30,000世帯を超える過去最多の42,076世帯へ食料支援を届けることができました。
■フードバンクこども応援全国プロジェクトとは
「フードバンクこども応援全国プロジェクト」とは、全国フードバンク推進協議会と加盟フードバンクが協力して行うプロジェクトです。本プロジェクトでは、これまで把握できていなかった子どものいる困窮世帯の早期発見と早期支援、そして全国的な食料支援活動の拡大を目的としており、各地のフードバンク団体が行政や社会福祉協議会、小中学校などの教育機関と協力し、給食のない夏休みや冬休み期間中に集中的な食料支援活動に取り組んでいます。
■フードバンク団体の現状
「第5回フードバンクこども応援全国プロジェクト」終了後に行った加盟団体へのアンケート調査から、以下のようなフードバンク団体の厳しい現状が明らかになりました。
プロジェクト終了後のアンケートに回答した団体のうち、77%の団体が食料支援の要請件数が増加したと回答しました。また、食料寄付量が減少したと37%の団体が回答しています。
この結果は、今年1月に行った調査と同様の傾向を示しており、依然として社会的な支援ニーズが物価高騰の影響により増加し続けている一方で、食料寄付が一部の団体で減少しているという厳しい現状が改めて浮き彫りになりました。
回答した団体からも、支援要請が増加した理由として「これまで家計を切り詰めながら生活していた世帯が、物価高により給料の支給までもたないなどの理由により依頼が増加した」、「物価高騰による実質賃金の低下が大きい」などの声がありました。
調査時期:2023年9月、調査対象団体数:58団体(弊会加盟団体)、回答団体数:35団体
出所:プロジェクト終了時のアンケート調査を基に弊会作成
調査時期2023年2月、調査対象団体数:215団体(全国のフードバンク)、回答団体数:85団体
出典:ソーシャルアクションアカデミー(2022)「物価高の影響も含めたフードバンク団体の最新実態」P8
■参加団体一覧
■プロジェクト結果
名称:第5回フードバンクこども応援全国プロジェクト
支援実績:全国で42,076世帯への食料支援
実施期間:2023年7月1日~8月31日
参加団体数:38団体
活動内容:給食のない夏休み期間中に子どものいる困窮世帯に対して集中的な食料支援活動を行う
■過去に実施した同プロジェクトの支援世帯数
第1回目:延べ14,011世帯 第2回目:延べ10,659世帯
第3回目:延べ17,675世帯 第4回目:延べ28,565世帯
■公的支援によるフードバンク団体の基盤強化の必要性
【日米のフードバンクの比較】
日本 |
アメリカ※2 |
日米比 |
|
フードバンクの団体数 |
233団体 |
1,304団体 |
5.6倍 |
フードバンクの年間取扱量 |
約7,000トン |
7,390,000トン |
1,055倍 |
フードバンク1団体 あたりの平均取扱量 |
約34トン |
約5,700トン |
170倍 |
※2 出所:消費者庁 諸外国における⾷品の寄附の実態等に関する調査
上記のアンケート調査から明らかになった通り、物価高騰の中で社会的ニーズが増加し続ける一方で、フードバンク団体に集まる食品は一部の団体で減少しています。
一方、アメリカのフードバンクの年間食品取扱量は739万トンで、これは国内の食品ロス発生量(523万トン)より多く、国内フードバンクの取扱量の1,000倍以上に相当します。このように、アメリカではフードバンクが膨大な量の食品ロス削減と、経済的な困難を抱える世帯への食料供給に大きく貢献しています。
国内フードバンクは組織基盤(マンパワーを含む食品の保管・運搬・配布能力)が脆弱であるため取扱量が少なく、支援を必要とする世帯に十分な食品を提供することが難しい現状があります。このような課題を根本的に解決するためには、海外のように公的支援による組織基盤の強化が必要不可欠であると全国フードバンク推進協議会では考えています。
※1<団体概要>
団体名称:一般社団法人全国フードバンク推進協議会
本社所在地:〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目61−4エヌアイビル3F
代表理事:米山廣明
設立:2015年11月13日
URL:https://www.fb-kyougikai.net/
活動内容:政策提言活動、広報活動、フードバンク団体へのノウハウ支援、食品寄贈の仲介
ミッション:明日の食事に困る人のいない社会をつくる
担当者:米山(080-6895-5796)