【近年の終活の傾向】
楽天インサイト株式会社の調査によれば、「終活」の実施意向がある人は、年代が上がるにつれて上昇傾向にあり、特に女性の場合は30代から約6割以上が時期が来たら始めたいと答えており、終活に対する意識の高さが伺えます。
「終活」をする・したい理由は「家族に迷惑をかけたくないから」が7割弱でトップとなりました。特に女性50代では「家族に迷惑をかけたくないから」が約8割となっています。
次いで全体として「病気や怪我、老化などで寝たきりになった場合に備えるため」、「自分の人生の棚卸し、整理をしたいから」が約3割で続いています。
【終活で用いられるエンディングノートの問題点】
終活でよく一緒に語られるのがエンディングノートです。エンディングノートとは、自分の人生の終末について記したノートで、万が一に備えて、家族や友人に伝えておきたいことや自分の希望などを書き留めておけます。そんなエンディングノートも、書き方によってはトラブルの元になることがあります。エンディングノートは、遺言書と違い強制力がないため、逆に残った家族たちの心のわだかまりになってしまいかねません。
実際によくあるケース
●「私の葬儀はしなくていいから」という記載
エンディングノートにその記載を見つけて、ご家族は故人の意思を尊重し、家族だけで静かに葬儀を執り行いました。
その後、親戚に亡くなった旨を連絡するとその親戚はたいそう憤慨したそうです。
葬儀というのはもちろん故人のものではあるのですが、同時に残った人たちが心にけじめをつけるためのものでもあります。
故人が独断で「やらなくていい」と思っても(たとえそれが、家族に負担をかけたくないという心遣いであっても)、知らされなかった方は心にシコリとしてそれがずっと残り続けてしまうものです。
それ以降、その親戚は心に「故人とお別れができなかった」という悲しみを数十年と抱くこととなったり、「嫁」が長年に渡りいじめられ、精神疾患の事例も少なくありません。
●家族ごとにエンディングノートを分けた結果の争いごと
愛する家族に1冊ずつエンディングノートを用意する場合、一人一人にメッセージを込めて残すことがあります。
内容を見比べた結果、それぞれ書いてあることが違ったり、遺言書と相違があったりなどトラブルが起こりやすくなります。
【お葬式についての考え方】
近年、簡易的に行われることが多くなった葬儀は、コロナ禍を経てさらに変化しています。しかし近年では、式の縮小化や簡易化だけでなく、儀式的なことを一切廃止したいという考え方もあり、直葬(儀式をせずご遺体を直接火葬場へ送り、火葬・拾骨して終える葬送法)を選ぶ場合もあります。
【専門家からみたお葬式の役割】
お葬式の役割は主に2つあります。
●故⼈のため(荼毘にふす。故人を丁重に弔う)
●残された家族のため
(残った⼈たちが故人になりかわってお世話になった方々へ感謝の気持ちを述べる)
前述の親族間トラブルでも見たように、葬儀へ参列することは、残された者たちが心の区切りをつけるためにも大きな意味のある大切な儀式といえます。
【あわせて考えたい墓じまいについて】
墓じまいについてもその前によく考え、家族や周囲の人たちときちんと話し合っておくことが大切です。お墓はたいてい遠かったり、お掃除などの手間や維持費として金銭的にも負担が多く、忙しい現代人は墓じまいをする人も少なくありません。
ただし、お墓は個人のものではありません 。家族や親戚、友人が、故人に会うために訪れる場所でもあるからです。無駄な費用をかけることはありませんが、安易な墓じまいはそのような機会を親族から奪ってしまうことになるため、慎重に事をすすめないと、後々トラブルになる可能性も出てきてしまいます。
さらには、次の100年を考えた時、自分のルーツがさっぱりわからないといったことになるのではないでしょうか。脈々と受け継がれていく尊い生命。墓じまいをしたとしても、子孫が「私のルーツは?」と考えた時、しっかりわかるようにしたり、墓地に代わる「対話の場」が必要ではないでしょうか?
「葬儀・墓じまい・終活110番メールサービス」を9月18日からスタート
一般社団法人 国際永活ネットでは、自身や家族の終活や葬儀などに関するお悩みを気軽に相談できる「葬儀・お墓・終活110番メールサービス」を新たに9月18日から受付を開始します。
終活や墓じまい、葬儀などについてのご相談に、専門家がメールでお答えするサービスです。
<葬儀・お墓・終活110番メールサービス概要>
対象者:ご自身やご家族の終活やご葬儀でのトラブルについてお悩みの方
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