これにより介護事業者は客観的なバランス評価に基づき、高齢者の転倒予防の対策に取り組むことが可能となります。これまでRehab Cloudで提供してきた加算算定や記録業務の支援に加えて、テクノロジーの活用によってケアの質を高め、科学的介護の実現をより一層支援してまいります。
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サービス開始の背景
日本は超高齢社会を迎えており、要介護(要支援)認定者数は、介護保険制度が開始した2000年より3.2倍と増加し、2023年度の介護保険給付費の予算は過去最高の12.8兆円となっております(※1)。そこで近年、政府は自立支援・重度化防止の取組の推進を強化しています。
「転倒・骨折」は要介護の原因の13.9%を占めており(認知症、脳血管疾患に次ぐ第3位)、健康寿命の主要な阻害要因の一つです(※2)。毎年、高齢者の3人に1人が転倒しており、そのうちの10%は骨折に至ります(※3,4)。特に要介護高齢者では、転倒した際の重篤な外傷発生のリスクが高まり、長期入院や要介護度悪化につながる可能性があります。
転倒には様々な要因が影響しますが、特にバランス能力は加齢に伴い低下しやすい要因であり、60歳を超えると10年で16%ずつ低下するという報告もあります(※5)。バランス能力は機能訓練により改善可能な要因であり、世界転倒予防ガイドラインにおいても、バランス評価および訓練の実施が推奨されています(※6)。
しかし、RehabCloudの導入事業所における調査では、バランス評価を実施している介護事業所は限られており、約4割の事業所がバランス評価を実施できていない可能性があります。
また、当社が実施した事前調査では、体力測定評価の課題・悩みとして「正しく測定できているか不安」(37.1%)、「測定結果からリハビリ提案につなげるのが難しい」(30.6%)、「測定結果を分かりやすく説明するのが難しい」(29.0%)、といった課題が多く挙げられていました。
そこで当社は、これらの課題を解決することにより、より多くの介護事業所が転倒予防の対策に取り組めるよう「Rehab Cloud モーションAI」の開発をしてまいりました。
なお、事前調査により、本サービスを正式リリースする上では、まずモーションAIが(1)現場で安全かつ適切に使用されること、(2)介護事業所が評価結果を利用者に説明できること、の二点をクリアする必要がありました。そこで上記の課題を解決すべく昨年より実証実験を行ってまいりました。
実証実験では、課題をクリアできる設計になっていることを確認でき、加えて介護事業所、利用者、ケアマネジャーの方からも高い評価をいただくことができましたので、この度正式にサービスリリースすることになりました。
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モーションAIの概要
モーションAIでは、姿勢推定モデルをベースに、10名を超えるリハビリ専門職の知見を組み合わせて開発した独自のAIを用いて分析しています。
高齢者の片脚立位バランスの動画を撮るだけで、約1分で解析が完了し、フィードバックシートや運動プログラムができあがります。
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モーションAIの活用メリット
データに基づく転倒予防の対策が誰でも簡単に
タブレット端末等で片脚立位の動画を撮るだけで、バランス能力の客観的評価と転倒予防に向けた提案が可能となります。
評価結果をもとに、60種類以上のプログラムの中から、おすすめのバランス運動を提案します。
また、はじめてでも安心して活用いただけるよう、分かりやすいマニュアルも用意しています。
リハビリの必要性や成果を伝えやすくなる
フィードバックシートは、一目で状態・変化がわかるニコちゃんマークや、専門的な言葉を使わず平易な表現にすることで、誰でも説明・理解しやすい工夫をしております。
そのため、利用者や家族、ケアマネジャーに、リハビリの必要性や成果を分かりやすく伝えられるようになります。
またフィードバックシートは印刷資料だけでなく、オンラインでも共有いただけます。
稼働率向上につなげられる
サービス品質向上や、利用者や家族、ケアマネジャーとのコミュニケーションが円滑になることで、ケアマネジャーからの紹介数増加、利用者の定着につなげることができます。
業務進捗管理も楽にできる
業務進捗管理もモーションAI上で実施できるようになっています。これにより、事業所の運用に簡単に組み込むことができます。月ごとに測定対象者をリスト化し、測定漏れを防止できます。
サービスの詳細、料金については以下サービスページをご覧ください。
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引用文献
※1:第217回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 【資料1】介護分野の最近の動向
※2:2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 IV 介護の状況
※3:Tinetti, M E et al. “Risk factors for falls among elderly persons living in the community.” The New England journal of medicine vol. 319,26 (1988): 1701-7. doi:10.1056/NEJM198812293192604
※4:Campbell, A J et al. “Circumstances and consequences of falls experienced by a community population 70 years and over during a prospective study.” Age and ageing vol. 19,2 (1990): 136-41. doi:10.1093/ageing/19.2.136
※5:King, M B et al. “Functional base of support decreases with age.” Journal of gerontology vol. 49,6 (1994): M258-63. doi:10.1093/geronj/49.6.m258
※6:Montero-Odasso, Manuel et al. “World guidelines for falls prevention and management for older adults: a global initiative.” Age and ageing vol. 51,9 (2022): afac205. doi:10.1093/ageing/afac205
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Rehab Cloud(リハブクラウド)について
Rehab Cloud(リハブクラウド)は、介護現場の付加価値を向上し、利用者のアウトカムを追求する「科学的介護ソフト」です。導入により、①職員の業務負担削減、②加算取得により収益向上、③利用者の身体機能向上を実現します。
現在、累計導入事業所数は1,872事業所を突破し(2023年8月時点)、利用継続率は99%です。おかげさまで多くの事業所様にご愛顧いただいております。
より詳しい情報・価格について知りたい方はサービスサイトをご確認ください。
サービスサイト:https://rehab.cloud/
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株式会社Rehab for JAPANについて
当社は「介護に関わるすべての人に夢と感動を」をビジョンとし、より多くの高齢者が健康的に長生きすることで幸せに長く暮らせる世界(健康寿命の延伸)に向けて、「エビデンスに基づいた科学的介護」の実現を目指すスタートアップ企業です。介護現場のリアルデータを収集し、高齢者が元気になることを科学していきます。
・称号 :株式会社Rehab for JAPAN(リハブフォージャパン)
・創立 :2016年6月10日
・代表者:大久保亮
・所在地:東京都千代田区麹町6-6-2 番町麹町ビルディング 5F
・資本金:1,185百万円(資本準備金含む)
・URL
-コーポレートサイト:https://rehabforjapan.com/
-Rehab Cloud:https://rehab.cloud/
-Rehab Studio : https://rehabstudio.online/