海外メーカー依存を脱却、風力発電所運用に最適化した国産統合操業管理システム

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IT技術の進化に伴い、さまざまな分野でデジタル化が加速しています。しかし保安分野は長く巡視点検が基本とされ、人の目・手に拠る管理からの脱却が課題でした。
その状況に風穴を開け、保安分野の効率化・高度化への牽引が期待されるのが、「スマート保安導入支援事業費補助金」です。高度な保安業務のノウハウを持ちながらも、費用の点で新規性・革新性のある技術開発に踏み込めなかった企業や自治体が、この補助金との出会いで得たもの。それは技術開発のブレイクスルーに留まらず、企業の信頼度アップをも生み出し、次のステージへの大きな足掛かりとなっています。

日本能率協会コンサルティング (JMAC)は、経済産業省の「令和3年度補正 産業保安高度化推進事業費補助金」「令和4年度補正 スマート保安導入支援事業費補助金」を通じて、IoT/AI等の新技術を活⽤することで産業インフラの安全性・効率性の維持・向上を支援しています。本記事では、令和4年度の交付事業者の補助金活用事例を紹介いたします。

■交付事業者紹介

みなし設置者として風力発電所の運営を行うイオスエンジニアリング&サービス株式会社(本社:東京都千代田区、代表:須藤 豊)は、風力発電所運用に最適化した国産統合操業管理システムを構築、実証事業を終えたことをお知らせします。

この事業は、スマート保安技術を導入する際の技術実証を国が支援する「令和3年度補正 産業保安高度化推進事業費補助金」を利用したもの。風車メーカーごとに異なっていたシステム、データフォーマットを最適化&統合化することで、重要な情報資産となる操業データを国内事業者の管理下に置いて海外メーカー依存からの脱却を図るとともに、日本特有の環境対応も踏まえた保安力の養成、将来の洋上O&M事業への展開をめざします。

■解決したい課題

風力発電施設は厳格な保守管理が求められるものの、山間や僻地の立地環境も多く、アクセス性や作業の危険度において過酷な業務が強いられてきました。これらを解消すべく遠隔モニタリングや点検作業デバイス等を用いてきましたが、そもそも風車用途に最適化&統合化されたものはなく、風車メーカーの大半を占める海外企業製のツールは、データ格納方法やデータ取得スパン等さまざまな面で国内の保守ニーズにマッチしない点も見受けられて、現場から「国内ニーズに応える使い勝手の良いシステム」の開発が強く求められていました。

■補助金を知ったきっかけ

過去に弊社関連会社が同様の補助金事業で採択を受けた実績があり、情報共有を得て知りました。

■補助金を活用した開発内容

「①統合SCADAシステム」「②メンテナンス支援ツール」「③電気的CMS(サーモカメラ監視システム)」の3項目を開発。

具体的には、風車メーカーごとに異なっていたデータフォーマットを最適化&統合化したことに加え、データ格納方法やデータ取得スパン等を国内ニーズに合わせ統一。過去データ群と整合性を確保し、旧型施設からのデータ取得を実現できたことなどにより、風力発電に特化したデータベースを根幹とした「使い勝手の良いシステム」とすることができました。

■効果

国内ニーズに応じられたことで、現場から高い評価を得られました。①統合SCADAシステムは、データ一元化により分析時の業務効率が約25%向上。標準化されていなかった以前に比べて情報交換やデータ転用も容易になりました。また②メンテナンス支援ツールは、作業員のスキルに拠らず作業精度向上・安全性向上につながることを確認。将来的にはツールを活用したリアルタイムでの情報共有により、点検品質向上も望めます。

各ツールの効果は下記の通り。

①統合SCADAシステム

レポーティング業務効率:約25%向上 (O&Mコスト削減)

②メンテナンス支援ツール

風車点検作業効率:約37.5%向上。約16,000千円/年の費用削減見込み

 (※200基/年として試算)

③電気的CMS(サーモカメラ監視システム)

当該故障対応時の停止期間が約80%減(※キャパシタ故障対応を想定)

①統合SCADAの表示画面例/②点検アプリと実装した端末/③サーモカメラシステムのモニタリング画面例

■今後の展望

将来的には、中小事業者も含め風力発電事業者へ今回システムの導入を推進。並行してデータアナリストの人材育成およびシステム運用体制を整備し、風力発電所全体に資する継続的な保安業務の効率化と高度化をめざしています。

■問い合わせ先

社名:イオスエンジニアリング&サービス株式会社

本社所在地:東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング15F

代表取締役:須藤 豊

事業内容:

・風力発電所及び関連設備の建設、保守、運営

・洋上風力発電所、保守母港およびCTV運用、運営保守

・風力発電機保守用資機材、緊急救急資機材の輸入、販売およびトレーニング

設立:2001年9月

HP:https://eos-es.co.jp/

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「令和4年度補正 スマート保安導入支援事業費補助金」公式サイトにて他社事例も公開中

https://jmac-hoan.com/2023/blog02.html
https://jmac-hoan.com/2023/blog01.html

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ニュースリリースに関する問い合わせ先

「スマート保安導入支援事業費補助金」事務局

Mail:smart_hoan@jmac.co.jp

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