Hydroleapは今回のシリーズA資金調達ラウンドにて440万米ドルを調達しました。詳細はのHydroleapのリリースをご覧ください。
本ラウンドにて、リアルテックはシンガポールのディープテック・エコシステムを支援する政府系ファンドSEEDS Capiatlとの共同出資として参画いたしました。Hydroleap社のソリューションをより広範囲な顧客に展開すべく、日本での営業やものづくり支援などを実施して参ります。
深刻化する世界の水不足
国連の推計によると、2030年までに淡水資源の不足は必要量の40%に達すると見られる一方で、世界人口が急増を続ける中、世界はグローバルな水危機への道を一直線に進んでいます。現時点で20億人以上が、安全でない水を飲んでおり、45億人は安全に管理された衛生サービスを受けられず、予防可能な水と衛生関連の下痢症で命を落とす子どもは1日1,000人近くに上ります。
水不足の原因は人口増加に伴う産業の発展、気候変動、開発による水資源の破壊など多岐にわたりますが、人間の活動に起因する排水の80%以上は、まったく汚染除去を受けないまま河川や海に投棄されています。特に工業に付随して発生する産業排水の処理は、処理に使用する化学薬品や活性汚泥にかかる高いコスト、二次処理物(スラッジ)の発生、大量の水使用等の改善要素があり、事業者への負担も重く、環境負荷に配慮した新手法が求められています。
その解決策の一つとして排水の電気処理が上げられますが、処理対象が変動する際に調整を行う人材が必要でコストが高いことや、スケールアップ、システム実証・サービス体制に対応できないことなどから導入が進んでいません。
産業廃水に含まれる汚染物質を最大95%削減し、冷却塔の排水量を70%削減する電気化学処理技術
Hydroleapは、これまで効率が悪い上に専門知識がないと運転できなかった電気処理を独自の電極で効率化し、センサーとアルゴリズムの組み合わせで自動運転を実現し、電気さえあれば一挙に水の多くの汚染を処理できる技術を提供するユニットを開発しました。
このソリューションは電気酸化(EO)と電気凝集(EC)の2つの手法を組み合わせることで、効果的な排水処理を実現します。また、処理対象の水質から必要電力や運転条件を学習し、予測・実行することで、排水の性質変化にも人手を介さず対応することが可能であり、専門人材に依存しない自動化を実現しながら処理後の水質を保証します。ユニットはモジュール化されており、顧客の要求容量に応じたスケールアップが比較的容易にできることが可能です。
現在このユニットは食品工場の排液や、データセンターの冷却塔の循環水リサイクル業界へ販売されています。
今後の展開と調達資金の使途
Hydroleapは、冷却塔の水のリサイクルや食品・飲料廃水処理といった既存の分野での独自の電気化学処理能力を高めながら、技術革新を進めてまいります。また、今後はより高度な排水処理技術の求められるパーム油廃水処理の領域へ進出します。パーム油工場からの排水(POME)は、環境に悪影響を及ぼし、油分や有機物を多く含むため、廃水処理業界にとって最も困難な問題の一つとなっています。
今回の資金調達は、シンガポールとオーストラリアにおける強力な世界クラスの研究開発(R&D)および操業チームの強化・構築に充てられます。
※:正式名称:「リアルテックグローバルファンド1号投資事業組合」
■Hydroleapについて
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設立年月:2016年12月
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所在地:Unity Centre 51 Bukit Batok Crescent, #04-07 Singapore 658077
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代表者:Dr. Mohammad Sherafatmand
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事業内容:次世代グリーン廃水処理ソリューションの開発
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公式サイト:https://hydroleap.com/
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出資時期:2023年2月
■リアルテックファンドについて
地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジーを有するスタートアップ(リアルテックベンチャー)への投資育成を行うベンチャーキャピタルファンドです。国内外の政府・企業・自治体と密に連携し、技術の社会実装を最速・最大化させるためにフルハンズオンで支援を行っています。これまで200億円以上を運用し、国内外のスタートアップ80社以上に投資しています。 2021年には、ディープテック領域に投資するファンドとしては日本で初めてのインパクト投資ファンドを設立しました。
<お問い合わせ先>
リアルテックホールディングス株式会社
広報担当:成田