【紛争地の投降兵の社会復帰を促進】現地政府と共同で更生支援センターを開設。施設からの中継イベントを7月16日(土)に実施 ~国境を越えた市民参加型のケアカウンセリングで更生を支援~

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テロ・紛争問題の解決に取り組むNPO法人アクセプト・インターナショナル(東京都中央区、代表理事:永井陽右)は、紛争地ソマリアにて現地政府の協力の下、いわゆるテロ組織「アル・シャバーブ(Al-Shabaab)」が州の東部半分を実効支配する地域、ガルムドゥグ州に組織から脱退した投降兵を受け入れる「更生支援センター(リハビリテーションセンター)」を開設しました。
7月16日(土)には、本センターと日本を生中継で繋ぎ、テロ組織から投降した若者にインタビューや参加者との交流を行うイベントを実施します。テロ・紛争の最前線で起きていることをお伝えすると同時に、当法人独自の紛争解決アプローチRPAモデルに基づくケアカウンセリングの一環として、個々人が持つ問題意識や背景、将来を共有します。

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/020mmnjvwef21.html#detail
(ご取材希望の報道関係者の方は、事務局までお問合せください。)

更生支援センター更生支援センター

  • “世界最悪の紛争地”ソマリア

1980年代に勃発した内戦が全国に拡大し、1991年から2012年までの21年間無政府状態を経験した国、ソマリア。正式政府が発足した現在でも、度重なる飢饉や難民・国内避難民が発生し続けています。さらに、アフリカで最も危険な組織であるアル・シャバーブによるテロ行為や住民に対する暴力、支援物資の搾取などにより、内戦状態は激化・長期化しています。アル・シャバーブは、ケニア・ウガンダなど周辺諸国においてもテロ活動を行い、甚大な犠牲者数を出しています。

  • 600名以上の投降・社会復帰を実現したこれまでの活動

 

活動の様子活動の様子

ソマリア事業では、これまでは主に首都モガディシュにおいて、アル・シャバーブの投降兵および逮捕者に対する脱過激化と社会復帰の促進を実施しており、現在もモガディシュを中心に活動しています。
また2018年より、独自のRPAモデルに基づいたテロリストの”脱過激化・社会との接点構築・社会復帰”を進める「DRRプロジェクト」を実施。アル・シャバーブに対する投降促進活動により240名以上が脱退した他、投降兵や逮捕者合計360名以上の脱過激化・社会復帰を実現するなど、着実に成果を出し続けています。(2022年3月時点)
●ソマリアでの活動詳細:https://accept-int.org/activity/somalia/

  • 紛争地の前線地帯に「更生支援センター」を開設 ~日本発の独立系NGOだからこそ実現に繋がる~

■見過ごされてきた人々を「受け入れる」場所を整備

ソマリア中部ガルムドゥグ州ドゥサマレブの集落ソマリア中部ガルムドゥグ州ドゥサマレブの集落

今回「元テロリスト更生支援センター」を開設したガルムドゥグ州は、東部の約半分がアル・シャバーブに実効支配されています。現地政府軍との前線地帯のため投降促進が期待できるエリアである一方、これまで適切な保護やケアがなされる施設・環境がなかったため、仮に武器を捨ててやり直そうとした投降兵がいたとしても、受け入れや支援が難しい状況でした。また、ソマリ社会を特徴づける「氏族(クラン)」の力学*としても、この地域はソマリアの紛争解決において極めて重要な場所のひとつになっています。(*詳細は下部の参考情報をご覧ください。)

更生支援センター更生支援センター

■独立したNGOだからこそできる 世界に先駆けた「本当に取り残された」地域へのリーチ
これまで本地域は、アル・シャバーブとの紛争の前線が近いことから危険度も高く、拠点となるような国連やアフリカ連合ソマリアミッション(AMISOM)の安全な住居施設がないためにオペレーションコストが高いことから、現地政府からもガルムドゥグは見捨てられてきました。
また、紛争解決分野において先進的なイギリスを中心とした欧米先進諸国などの各国ドナーもODA予算を確保できていませんでした。仮に支援を開始できたとしても各国政府や議会の都合で、急遽取り組みが打ち切られるリスクがあり、本当に必要とされる支援が実行される可能性は極めて低い状況にあります。このような中、当法人は用途や採択可否が国の意向に左右される助成金ではなく、寄付を中心とした自主財源で運営。「アンバダサー制度」という日本国内の支援者様からの寄付金で活動しており、独立性・中立性・不偏性を持ったNGOのため、”本当に取り残された”場所や人への迅速なアプローチをでき、今回の施設の設立にも貢献しています。
センターの開所式にはソマリア政府の大臣や市長、議員、中央政府担当ディレクター、警察、軍、コミュニティ代表者などが来場するなど、現地で大きく評価・歓迎されました。

開所式の様子開所式の様子

■今後の展開について
センターでは、すでに10名の投降兵を受け入れており、大工や裁縫などのスキルトレーニングや市民教育、宗教・平和教育のプログラムなどが始まっています。本センターを起点として、より多くの若者が武器を置き、若者として生き直すことを実現するべく、取り組みを進めてまいります。
また、ソマリア独自の社会制度により取り越されてしまう人々を「受け入れる」ため、ガルムドゥグを皮切りに新たな拠点整備の拡充を見据え、ソマリア全土の紛争解決に寄与していきます。

  • 施設からの中継イベントを7月16日(土)に実施
  • ~国境を越えた市民参加型のケアカウンセリングで更生を支援~

7月16日(土)には、本センターと日本をオンラインで繋ぐイベントを開催します。当日は、代表・永井をファシリテーターとして、現地状況や施設の紹介の他、投降した若者に「組織に加担した背景、現地の生活、将来の夢」などのインタビューを実施。
個々人が持つ問題意識や背景を共有し、解決に向けた選択肢を共に考えることを通じて、人生のやり直しのプロセスを共有するケアカウンセリングを、日本からの参加者と共に実施します。

【ソマリアの紛争最前線から元テロリストと直接交流するオンラインスタディツアー】
・開催日時:2022年7月16日(土)16:00~18:30
・開始形式:オンライン
・イベントの詳細:https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/020mmnjvwef21.html#detail 

※現地の状況によって、急遽イベントが中止・延期となる可能性もございますのでご了承ください
※現地のインターネット接続状況などにより、終了時間が多少前後する可能性があります

 

*参考情報:氏族(クラン)問題により複雑化するガルムドゥク
紛争が複雑化する背景には、ソマリア社会を特徴づける「氏族(クラン)」の力学があります。クランとは、父系の血縁関係に基づいたネットワークであり、往々にして地理的に隣接しています。そのため、北部ソマリアと南部ソマリアとではそれぞれの地域で主力となるクランは異なります。
 
今までは首都・モガディシュをはじめとした、ガルムドゥグとは異なるクランが多くを占める地域にしかハード面での整備がありませんでした。クランというコミュニティの結びつきが強いゆえに、たとえガルムドゥグ出身の投降兵が、”テロリスト”であることをやめ、武器を捨ててやり直そうとしても、本人がコミュニティの外に出て、異なるクランの中に入ることで、マイノリティとなることを恐れていたり、クランの指導的立場にある長老が人的流出を阻んでいたりすることから、”元テロリスト”の行き場がなく、彼らを見守る存在もいない中で、社会の中で見過ごされてきたのが現状でした。
また、”元テロリスト”というレッテルゆえに一般社会からも目をつけられ、テロ組織を脱退したという点からアル・シャバーブからも追われる立場となり、身の危険を感じながら日々過ごしており、場合によっては再度テロ組織に加入してしまう可能性もあるというリスクを負った状況に置かれていました。
こういった背景を受け、当法人はガルムドゥグにおいて「見過ごされてきた人々」を受け入れ、見守る場所を作るために、当地において史上初となる「更生支援センター」を開設・運営する運びとなりました。
  •  RPAモデルについて

RPAとは、「Re-define(再定義する)、Prepare(準備する)、Action(行動する)」の略。
刑務所などに収容された元テロリスト等の人々の中から、釈放直前・直後の人々に対して、心理・経済・社会的なサポートを実施することで、彼らの社会復帰を促進し、再過激化を防止します。また、一度過激化してしまった人々が社会に戻っていける環境を創り、テロ組織からの投降者を増やすことも目指します。

 

問題構造と解決アプローチ問題構造と解決アプローチ

一方的に矯正・更生させるのではなく、同じ人間として彼ら一人一人と向き合い、対話を通じて彼らのマインドと行動を変えています。

RPAモデルRPAモデル

◆RPAモデルの詳細ついて:https://accept-int.org/activity/approach/

  • ​現地ファシリテーター/代表理事プロフィール

 永井陽右
1991年、神奈川県生まれ。NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事。国連人間居住計画CVE(暴力的過激主義対策)メンター。テロと紛争の解決をミッションに、主にソマリアなどの紛争地にて、いわゆるテロ組織の投降兵や逮捕者、ギャングなどの脱過激化・社会復帰支援や過激化防止を実施。また、テロ組織との交渉および投降の促進、専門家会議委員および専門作業部会委員として国連機関の政策立案やレビューなどにも従事。London School of Economics and PoliticalScience紛争研究修士。国内外で受賞・選出多数。著書に『共感という病』(かんき出版)、『僕らはソマリアギャングと夢を語る:「テロリストではない未来」をつくる挑戦』(英治出版)、『ぼくは13歳、任務は自爆テロ。:テロと戦争をなくすために必要なこと』(合同出版)、『共感という病』(かんき出版)など。

  • アクセプト・インターナショナルについて

今、この地球では、歴史上かつてないほどの高水準でテロと紛争が発生し、途方もない死者数と難民問題など副次的な問題も発生しています。それらの問題に対して、世界各地では排除や駆逐の論理に基づく軍事的取り組みがなされてきました。しかし、現状は一向に改善されません。それどころか、2011年以降、世界は未だかつてない規模のテロや紛争に直面しています。
~排除するのではなく、受け入れる~
この状況を前に私たちは「アクセプト(受け入れる)」という論理が必要とされていると考えています。それは単なる博愛主義ではありません。テロと紛争の解決に何が必要とされるのか、憎しみの連鎖の歴史と問題構造を分析した時、「受け入れる」取り組みが必要とされています。私たちは、テロ・紛争解決という分野だからこそ、武力ではなく平和的な手法を選びます。

  • 組織概要

・名称:NPO法人アクセプト・インターナショナル
(NGO Accept International)
・住所: 東京都中央区日本橋堀留町1丁目11-5
     日本橋吉泉ビル301号室
・設立:2017年4月
(前身団体・日本ソマリア青年機構は2011年9月設立)
・代表理事:永井 陽右
・主な活動国:ソマリア、イエメン、ケニア、インドネシア、日本
・公式サイト:https://accept-int.org/

  • 人の指から鳩を放ち、銃をツタに絡め封じているこのロゴには、「人権的な手法で暴力を機能停止させる」という意味を込めています。葉の多様な彩りは多様性を意味し、10枚という枚数は数秘術において寛大や再生を表しています。
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