帝国データバンクは、食品メーカー主要195社における価格改定動向について調査を行った。
<調査結果(要旨)>
-
食品の「値上げ率」、2023年は徐々に低下? 値上げ疲れで勢い弱まる
※品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウントした。値上げ率は発表時点における最大値を採用した。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む
※対象期間:6月30日9時時点
※調査機関:株式会社帝国データバンク
度重なる値上げについていけない消費者の値上げ疲れが、企業の「値上げ幅」にも影響し始めている。1回の値上げにおける平均値上げ率は2023年(6月末時点)で約14%となり、今年1月時点(16%)に比べると低下した。この結果、22年通年の平均である14%に並んだ。
2022年は、原材料価格や原油価格の高騰に加え、急激に進んだ円安の影響でコストが急増した。また、食品各社では値上げへの抵抗感が薄まったほか、消費者でも値上げを受け入れる「値上げ慣れ」が広がり、10月単月の平均値上げ率は18%に達するなど、機動的かつ大幅な値上げを行う品目が相次いだ。一方、23年に入ると2月の17%をピークとして、10月は年内で最も低い12%にとどまるなど、値上げ率は年後半にかけて低下傾向にある。人件費の上昇や電気・ガス代などのコスト増は続いているものの、消費者の「生活防衛」「節約」志向の高まりなどを背景に、コストアップ分を都度価格へ転嫁する「値上げ」の勢いは22年ほどの力強さがみられない。
足元では、主力商品より廉価な商品を販売するなど低価格戦略に戻りつつある兆しもある。値上げは当面続くとみられる一方、大幅な価格の引き上げは当面「凍結」される可能性がある。