「広報」の最新定義、日本広報学会が策定

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広報の学術団体である日本広報学会(会長: 筒井義信、日本生命保険相互会社 代表取締役会長)は このたび、「広報」の定義を機関決定しました。広報の研究者・実務者など637名の会員を擁する当学会は、約2年をかけて、広報の概念が生まれてから100年の議論をもとに、研究者および実務者への調査を踏まえつつ広報の定義をまとめ、6月20日の年次総会で発表しました。当学会が「広報」を定義するのは、1995年の設立以来、初めてのことです。
2023年6月20日に発表した、日本広報学会が定義する「広報」は、以下の通りです。

【広報の定義】 
組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。

 サステナビリティ経営が求められ、また情報環境の変化などもあり、企業など組織において広報の重要性が増しています。一方で、1923年にエドワード・L・バーネイズが現代の広報を提示してから100年を迎える現在まで、繰り返し議論はされてきたものの、「広報」の定義を研究者と実務者が協力してまとめた例はありませんでした。AI、マスメディア、デジタル・SNS、組織内、各種ステークホルダーなど多様なチャンネル・ツールや場、相手とのコミュニケーションが求められて広報業務が拡充する中、当学会においても広報概念の混乱が生じやすくなっていることが問題視されるようになり、改めて現在の「広報」の定義が必要とされました。

 そこで日本広報学会では、2021年に理事長直轄のプロジェクトを発足し、約2年の歳月をかけ、研究者と実務者が力を合わせて定義をまとめました。今後これを学術領域における広報研究に加えて、広く実業・実務における広報の役割を確認・展望する一助として捉え、議論の土台として活用してもらいたいと思います。

 定義の注目点としては、①主語に組織と共に「個人」を加えていること ②コミュニケーションそれ自体を広報の目的ではなく手段としたこと ③広報を「経営機能」と位置づけて広報部門だけでなく経営者を含めた組織全体に関わる役割が担うものとしたこと などがあります。 

 定義についてより詳しくは、当学会公式サイト上(https://www.jsccs.jp/)に解説をまとめていますので、ご参照ください。

 尚、今回の「広報の定義」をもとに、関連する業界団体や組織などと連携して2023年秋に公開シンポジウムの開催を計画しています。詳しくは、日本広報学会の公式サイトなどをご確認ください。

【柴山慎一 理事長(社会構想大学院大学教授)のメッセージ】
「この定義は、今後の広報のあるべき論の議論のスタート台にもなりうるものです。広報という概念に対する混乱がなくなることを通じて、広報に対する理解が高まり、関係者の共通認識が定着し、広報に関わる全ての人達のステイタスの向上に繋がることを期待しています。」

【定義をまとめた 国枝智樹 上智大学准教授のメッセージ】

「本プロジェクトは2年近くかけて、いくつもの調査や議論、中間報告を重ね、広報の定義を作成するという国際的にも珍しい試みとなりました。ぜひ定義の文言に込めた背景や意味を汲み取っていただき、広報とは何かについて、考えるきっかけにしていただきたいと思います。」

《日本広報学会について》 

日本広報学会は、広報の学術的および実践的な研究と理論の体系化などをめざして1995年に設立された学術団体です。2023年3月現在、広報の研究者・実務者など637名(2023年6月7日現在)が会員として参加しています。

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