パナソニックグループでは、グループ共通戦略として、「地球環境問題の解決」と「一人ひとりの生涯の健康・安全・快適」へのお役立ちを果たすことに取り組んでいます。「一人ひとりの生涯の健康・安全・快適」へのお役立ちに向けては、グループ横断で、多様なくらしにおける多様なつながりとデジタル・AIの活用を進めていくために、松岡陽子を本部長とする次世代事業推進本部を2023年4月に立ち上げました。
また、パナソニックグループでは、デジタル・AIの活用において、お客様にパナソニックグループのAI製品やサービスを信頼してお使いいただくために、2022年8月に「パナソニックグループのAI倫理原則」を策定し「責任あるAI」活用の実践に取り組んでいます。
今回、AI・ロボティクス分野での様々な経歴を持つ研究者であり、グーグルやアップルといったAI企業の幹部を歴任したパナソニックHDの松岡陽子が、パナソニックグループの考える「責任あるAI」について力強く発信しました。
<「IEEE ISCAS 2023」キーノートスピーチ”Not a Science Project!”>
テーマ:責任あるAI ~人間のための、人間による、人間に寄り添うAI~
講演者:パナソニック ホールディングス株式会社 執行役員 松岡陽子
内容:
AI技術の急速な進化が、学術界と産業・マーケットの境目をあいまいにしています。市場での差別化が激化する中、テクノロジー自体の進歩より、どこにどのように実装していくのかが潜在的にますます重要になっています。今こそ、人間中心の考え方を軽視することなく、Human-centric(人間中心)な姿勢でお客様に向き合い、責任あるAI開発・利活用を行うことが重要です。「責任あるAI」のポイントは次の3点です。
■人間のためのAI-常に人間とユーザを中心に置き、そのうえで役に立つテクノロジーは何か考えましょう
まさかと思われるかもしれませんが、モノやサービスの開発が「人間のため、人間の生活をよりよくするため」であることは往々にして忘れられがちです。けして、「私たちはエネルギーを節約します」、「私たちはユーザーデータを保護します」といった表面的な文言を並べて満足してはいけません。
私たちは、極めて注意深くお客様を理解することこそが重要であると、心に刻む必要があります。また、テクノロジーファーストのアプローチを疑うことや、潜在的な消費者に対して適切にテストされていない製品の出荷を行わない決断を行うこと、こうした考え方を私たち人類は学びとる必要があります。
■人間によるAI-必ずオペレーションループの中に人間を置き人間がAIを制御しなければなりません、AIは人間が習得し使いこなすツールと位置付けるべきです
いまの技術では、「解決策に関わる実在の人間」なくして、家族の生活と健康を劇的に改善することはできません。「道具としてのAI」と「人間」が何をすべきかを検討することこそが重要です。今や、人間は話し言葉からもAIをプログラムできるようになりました。誰もがAIをツールとして、正しく安全に使用する方法を学ぶことができるようになりましたし、率先して学んでいかねばなりません。
■人間に寄り添うAI-倫理感と責任感のある者こそが成功します、非倫理的な使われ方は断固阻止せねばなりません
残念なことにいま、世界は生成AI(Generative AI)の実験場となってしまっています。倫理感と責任感なくしては、私たちの生きる社会が滅びかねません。パナソニックグループは、お客様の私生活に密接に関わってきた、コンシューマ製品を提供する企業として、家族のウェルビーイングを守り、よりよくするために、非倫理的な科学プロジェクト(Science Project)とは全く異なる角度から倫理にアプローチせねばなりません(Not a Science Project!)。パナソニックグループでは、「パナソニックグループのAI倫理原則」を策定し全社で「責任あるAI」に取り組むことをお客様にお約束しています。製造業のリーディングカンパニーとしてこの問題にしっかりと向き合っていきます。
パナソニックグループは、「一人ひとりの生涯の健康・安全・快適」へのお役立ちのために、「責任あるAI」活用により、社会変化に対応した一人ひとりに合った価値を提案できる「くらしのソリューション・プロバイダー」を目指して取り組んでいきます。
【関連情報】
・「パナソニックグループのAI倫理原則」を策定(2022年8月29日)
https://news.panasonic.com/jp/press/jn220829-1
・パナソニックグループのAI倫理原則
https://tech-ai.panasonic.com/jp/responsible-ai/