このアプリはスマートフォンのカメラから取得する画像情報から利用者の位置情報を取得する、VPS(Visual Positioning Service)技術とAR技術を活用し、現地の実際の風景に高精度で震災後の被災状況を再現しています。大槌町と凸版印刷は、本アプリの提供によって、東日本大震災津波の記録と教訓を後世へ伝承していきます。
■ 開発の背景
2011年3月11日に発生した東日本大震災津波は、大槌町に家屋の全壊・半壊4,167棟、死者・行方不明者1,286名という未曽有の被害をもたらしました。
大槌町は、このような被害が繰り返されないために、津波の記録を正確に残し、将来の町民に「防災文化」として継承していく必要があると考えています。また、国内外に向けて東日本大震災津波の教訓を伝承し続けていくことは、南海トラフ地震を始めとする将来の大災害に備えることの重要性を多くの人に認識させることに繋がるものであり、東日本大震災津波を経験した大槌町の取り組むべき責務であると考えています。このような背景のもと、被災した旧役場庁舎および旧民宿あかぶ、観光船はまゆり跡地などを震災伝承活動に活用できるよう震災伝承事業を推進してきました。
凸版印刷は、印刷技術で培われたカラーマネジメント技術や高精細な画像データ処理技術、形状を精確にデジタル化する計測技術といった先端表現技術を活用し、ARやVR技術を用いたデジタルアーカイブなどのソリューションを提供しています。2021年10月にはスマートフォンのカメラから取得する画像情報から利用者の位置情報を取得する、VPS(Visual Positioning Service)技術を用いて、現実の空間にバーチャルコンテンツを高精度に融合させたガイドシステムを開発、博物館や観光地などに提供し、アーカイブデータを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めています。
この度、大槌町と凸版印刷は、大槌町が保管していた写真資料を始めとする被災状況の記録資料を基に、凸版印刷が長年培ってきたCG制作技術と、最新のVPS技術を活用し、被災した当時の状況を現地で体験できるスマートフォン向け高精度ARアプリを開発しました。
■ 「大槌町震災伝承ARアプリ」の特長
・現在は解体された被災建築物を被災時の姿で再現
大槌町旧役場庁舎と、観光船はまゆりが乗り上げた旧民宿あかぶの写真資料を収集し、その記録を基に高精細なCG表現で被災建築物を再現しました。現地でスマートフォンのARアプリを立ち上げ、カメラで画像情報を取得することで、現在の風景に建物の位置や大きさなどが正確に再現され、当時の状況を体験することができます。
・周囲を回りこみ詳細な箇所まで観察
VPSによるリアルタイムでの位置情報測位により、被災した建物の表示位置を固定させたままでの、回り込んだ観察を実現。それにより、写真などのような静止画像では伝えづらい情報を、体験者の動きに合わせて、さまざまな角度で得ることができます。
・津波の浸水高を表示
スマートフォンの画面で見ているAR画像には、当時押し寄せた津波の高さ(役場旧庁舎:10.7m、民宿あかぶ:12.9m)のスケールが表示されます。また、AR画像を撮影して画像として保存する機能も搭載。震災津波の状況を体感し、記録することで改めて危機意識の醸成や教訓を現地訪問者に伝承します。
■ 「大槌町震災伝承ARアプリ」利用方法
アプリ入手方法:App StoreおよびGoogle Playよりダウンロード可能です。
・iOS: https://apps.apple.com/jp/app/id6444295742
・Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.toppan.shinsai.otsuchi2022
※iOS 15および16、Android OS 12および13に対応、一部機種では正常に作動しないことがあります。
* 「iOS」は、Apple Inc.のOS名称です。 「IOS」は、Cisco Systems, Inc.またはその関連会社の商標であり、ライセンスに基づき使用されています。
* 「App Store」は、Apple Inc.の商標です。
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以 上