少子高齢化が進む日本社会では、さまざまな問題が生じています。
大都市圏へ人口が流出することによる、地域コミュニティの衰退もそのひとつ。
そのため多くの地方自治体において、持続可能な地域おこしが求められています。
このような状況の中で注目されているのが、地域おこし協力隊です。
地域おこし協力隊とは、都市部で暮らす人が人口減少や高齢化などの進行が著しい地方へ移り住み、地域力の維持・強化、そしてその地域への移住・定住を図るためにPR活動や地域活性化のサポートを行っていくという取り組みです。
地域おこし協力隊は平成21年度に開始され、政府は令和6年度には隊員数を8,000人に増やすという目標を掲げています。
では、地域おこしを行っている地方自治体では、地域おこし協力隊をどれくらい受け入れているのでしょうか?
また、実際に地域おこし協力隊はどのような活動をしているのでしょう。
そこで今回、自治体のコンサルタント事業を手掛ける株式会社GAROO (https://ga-roo.com/)は、①自治体関係者②地域おこし協力隊経験者(現在働いている方も対象)を対象に、「自治体の地域おこし」に関する調査 を実施しました。
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【受け入れを行っている自治体は4割】地域おこし協力隊に求めることとは
はじめに、地域おこし協力隊の受け入れについて自治体関係者に伺っていきたいと思います。
「ご自身の自治体で地域おこし協力隊の受け入れは行っていますか?」と質問したところ、『行っている(43.0%)』『行っていない(57.0%)』 という回答結果になりました。
地域おこし協力隊の受け入れを行っていると回答した方が4割以上いる一方で、受け入れを行っていない自治体も多いようです。
では、現在受け入れを行っていない自治体の方は、地域おこし協力隊に協力してほしいと思うことはあるのでしょうか?
前の質問で『行っていない』と回答した方に、「現在、地域おこし協力隊に協力してほしいことはありますか?」と質問したところ、『かなりある(3.1%)』『ややある(23.9%)』『あまりない(46.4%)』『まったくない(26.6%)』 という回答結果になりました。
地域おこし協力隊に協力してほしいことがある方が2割程度いるようですが、どのようなことを協力してほしいのでしょうか?
前の質問で『かなりある』『ややある』と回答した方に、「どのようなことを協力してほしいか(どこに課題があるのか)教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『地域ブランドや地場産品の開発・販売(53.9%)』 と回答した方が最も多く、次いで『地域のPR(48.7%)』『住民支援(37.2%)』 と続きました。
地域ブランドや地場産品の開発、販売や地域のPRなど、地域活性化に協力してほしいと思うことが分かりました。
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【求めるスキルはコミュニケーション能力】地域おこし協力隊の課題が判明
先程の質問で、地域おこし協力隊の受け入れを行っている自治体の方が4割以上いましたが、実際に地域おこし協力隊の受け入れを行って良かったと思うことは何なのでしょうか?
ここからは、地域おこし協力隊の受け入れを行っていると回答した方に聞いてみたいと思います。
「地域おこし協力隊を受け入れて良かったと思うことを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『地域のPRになった(43.6%)』 と回答した方が最も多く、次いで『地域に活気が戻った(40.8%)』『新たな地域の魅力が発見された(28.0%)』 と続きました。
地域のPRができたり、以前のように活気が戻ったりしたことで、地域おこし協力隊の受け入れをして良かったと感じているようです。
一方で、地域おこし協力隊について感じた課題などはあるのでしょうか?
そこで、「地域おこし協力隊に感じた課題があれば教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『地域おこし隊員は一時的なもので持続的解決にならない(36.7%)』 と回答した方が最も多く、次いで『具体的なミッションが見つかりにくい(28.4%)』『隊員のイメージした活動と実際の活動にズレがある(28.0%)』 と続きました。
地域おこし協力隊を受け入れて良かったことはあるものの、一時的なもので持続的な解決にはならないといった課題を感じている方が多いようです。
では、地域おこし協力隊に求めるスキルとは何なのでしょうか?
続いて、「地域おこし協力隊として活動するうえで、具体的にどのようなスキルがあれば良いと思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『コミュニケーション能力(66.1%)』 と回答した方が最も多く、次いで『事業の企画力(52.3%)』『パソコンやSNSの基本的な操作(47.3%)』 と続きました。
コミュニケーション能力と回答した方が6割以上いるようです。
また、事業を企画できる力や、パソコンなどの基本的な操作といったスキルがあれば良いと思うことが分かりました。
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【貢献できたと感じている人は7割】地域おこし協力隊員の本音
自治体関係者の方が、地域おこし協力隊の受け入れを行って良かったと思うことや求めるスキルなどが明らかになりました。
では、地域おこし協力隊経験者の方は実際どのように感じているのでしょうか?
ここからは、地域おこし協力隊経験者に伺っていきたいと思います。
「地域おこし協力隊として地域に貢献できた(できている)と思いますか?」と質問したところ、『とてもそう思う(19.9%)』『ややそう思う(55.7%)』『あまりそう思わない(19.7%)』『まったくそう思わない(4.7%)』 という回答結果になりました。
7割以上の方が、地域に貢献できた、あるいはできていると感じているようです。
一方で、貢献できていないと思う方も2割以上いることが分かりました。
そう思う理由を詳しく聞いてみました。
■地域おこし協力隊として貢献できた?できなかった?
【とてもそう思う】
・地域の皆さんが喜んでくれたから(20代/男性/神奈川県)
・イベント開催により集客出来たので(40代/男性/高知県)
・たくさんの地域の方の笑顔が見られた(50代/男性/京都府)
【ややそう思う】
・祭りで地域の結束ができた(30代/男性/広島県)
・イベントなどを積極的に開催している(30代/男性/栃木県)
・地域の方たちと協力して、大きなイベントを成功することができました(40代/女性/宮城県)
【あまりそう思わない】
・自発的に行動しなかったから(30代/女性/兵庫県)
・あまり参加できなかった(40代/男性/千葉県)
・具体的な成果が出なかった(50代/男性/岐阜県)
【まったくそう思わない】
・参加できていない(20代/男性/栃木県)
・不定期で軽く手伝ってる程度のため(20代/男性/東京都)
・長続きしなかったため(40代/男性/東京都)
地域の方が喜んでくれたり、イベントを成功させることができたりといった理由から貢献できたと感じているようです。
一方、なかなか活動に参加できなかったことや、具体的な成果が出なかったことで地域に貢献できていないと感じている方もいることが分かりました。
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【事業の企画力が必須!】地域おこし協力隊員自身が感じる必要なスキル
地域おこし協力隊として、地域に貢献できた、できなかったと感じている方の割合が分かりました。
では、実際に地域おこし協力隊として活動してみて、スキル不足を感じたことはあるのでしょうか?
「地域おこし協力隊に参加してみてスキル不足を感じた経験はありますか?」と質問したところ、『とてもある(19.9%)』『ややある(54.0%)』『あまりない(22.0%)』『まったくない(4.1%)』 という回答結果になりました。
地域おこし協力隊に参加してみてスキル不足を感じた方は非常に多いようですが、では、どのようなスキルが不足していると感じたのでしょうか?
前の質問で『とてもある』『ややある』と回答した方に、「具体的にどのようなスキルが不足していると思いましたか?(複数回答可)」と質問したところ、『事業の企画力(45.9%)』 と回答した方が最も多く、次いで『コミュニケーション能力(45.4%)』『農業や水産業に関する知識(33.3%)』 と続きました。
事業の企画力や、コミュニケーション能力が足りないと感じた方が多いことが分かりました。
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【まとめ】地域おこし協力隊は受け入れる側も働く側もメリットがたくさんある。予備知識・スキルがあればもっと活躍できる!
今回の調査で、地域おこし協力隊に対して自治体が求めていることが明らかになりました。
地域のPRができたり、活気が戻ったりといった理由で地域おこし協力隊の受け入れをして良かったと感じている一方で、地域おこし協力隊にはコミュニケーション能力や事業の企画力を求めているようです。
実際に、地域おこし協力隊に参加した方は、地域に貢献できたと感じている方が多いものの、7割以上の方が事業の企画力やコミュニケーション能力といった自身のスキル不足を痛感していることが分かりました。
自治体側が求めるスキルとも概ね一致しているようです。
地域おこし協力隊として、スキルがあればより活躍できる場が広がるのではないでしょうか?
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地域で活躍する人材なら“GAROO”
今回調査を行ったのは、自治体のコンサルタント事業を手掛ける株式会社GAROO (https://ga-roo.com/)です。
当社は、青山学院大学ヒューマン・イノベーション・コンサルティング株式会社のパートナーコンサルタントとして地方創生の事業推進の役割を担っております。
近年、「地域おこし協力隊制度」を活用した地方創生の動きが高まっていますが、地域と隊員本人の間に以下のような課題が挙がっています。
・地域の求めた資質・能力を持った人材とマッチングしない。
・赴任した人材が、100%の能力を発揮できていない。
・地域と隊員とで円滑な連携が図れていない。
・活動を通して期待されていた成果が表れない。
- 『地域おこし協力隊』ポイントセミナー開催
この度、株式会社GAROOでは6月2日(金)に「地域おこし協力隊」にスポットをあてたポイントセミナーの開催が決定いたしました。
地方自治体にとって効果的に協力隊制度を活用していくためには、これらの課題を早急に解決する必要があります。
今回のオンラインセミナーでは、全国の地方自治体のコンサルティングに従事してきたゲスト講師による“隊員のスタートアップを支援するための考え方”や事例紹介、現役隊員による本音トークができる座談会を実施します。今後の協力隊員との連携や、目指す地域像の実現に向けて参考になる情報が盛りだくさんですので、是非ご参加ください。
■株式会社GAROO:https://ga-roo.com
■お問い合わせ:nakajima@ga-roo.com
調査概要:「自治体の地域おこし」に関する調査
【調査期間】2023年1月31日(火)〜2023年2月2日(木)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】①自治体関係者:507人②地域おこし協力隊経験者(現在働いている方も対象):533人
【調査対象】①自治体関係者②地域おこし協力隊経験者(現在働いている方も対象)
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ